「スレイヤーズTRY」の真価とは? 立ちふさがるのは90年代の壁…?

   

スレイヤーズTRY DVD-BOX 期間限定版

放送期間  1997年4月~1997年9月
原作  神坂一
公式HP http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/slayers/

天才美少女魔導士を自称するリナ・インバース。
フィブリゾを倒したことにより、大陸を覆っていた結界が消滅し、外の世界との行き来が可能となった。
リナは、外の世界からやってきたというフィリアから、滅びの神託による世界危機を告げられる。
原作にはないTVオリジナルストーリーとなる、第三期!

 

評価点数:73点 ★★★☆☆ (秀作だが序盤は…)

 

*ネタバレは含みません

 

NEXTから失ったもの

面白いことは面白いのだが、「NEXTから見れば明らかに見劣りする」というのが本作についての偽りなき評価だろう。

無印よりは良いものの、明らかに作画の時点でNEXTに劣る。
細やかさはともかく、動きと安定感に欠ける印象だ。

 

だがそんなことより、NEXTとの最大の違いは

物語に張り詰める緊張感

の有無だと思う。
より具体的に言えば、魔族の陰謀が渦を巻いていた前作の重たさが、本作前半には全く感じられないのが、最大の難点と言える。
概略だけを切り出してみれば、スレイヤーズは平凡なファンタジー作品に過ぎない。
それを傑出した存在へと昇華させているのは、濃密なキャラクターの他に、魔族という絶対強者を軸にしたストーリーの重厚さ(ミステリアス性、と言ってもいい)があるはずなのだ。

ヴァルガーヴという強敵は出てくるものの、本作における魔族は比較的影が薄い。
変わりに出てくる「絶対強者」的な存在も薄く、「とんでもなく強い相手にどうやって立ち向かうか」という少年マンガ的な熱血要素やスリル感に乏しい。
本作の最大の問題点は、そこにあるのだろう。

んで、表立って出てくるのが、フィリアをはじめとする龍族となっては、「うわー、ゼロスに秒殺された方々ですね」としか言いようがないんですよね、ハイww

 

フィリアという新キャラクターがカギだったはず

新キャラであるフィリアは前作のゼロスやマルチナと違って、ほぼレギュラー扱いになる。
漫才要員としてはそれなりに適応してはいるものの、特に物語にもたらすものがない(戦闘力もなければ目立った伏線もない)のが、非常に惜しいところ。
何だか本作を象徴しているようなキャラクターである。

例えば彼女が超強いけど敵になっちゃうとか、何かすごい敵に狙われる鍵的な存在で絶対守らなければいけないとか、そういう重要な要素を持っていれば、物語の興奮度はまた違ったものになったはずなんだけどね……。
変身すると迫力はあるが、種族的限界を感じます……。

ハンマー(メイス)持って殴りとばすだけのキャラクターは面白いんだけど、物語の深い部分にイマイチ絡まないのがツライところだろうか。

 

後半部分はそれでも盛り上がる

とまあ、NEXTとの相対的な比較で散々disってしまったTRYだが、それでも後半部分の盛り上がり方はかなりのものだ。
序盤の煮え切らなさを差し置いても、終盤のラストバトル付近は大迫力で、見るべき価値は十分にある。

いざ盛り上がって来ると、

「ああ、TRYはこれがやりたかったんだな」

と、とても納得する。
NEXTと比較しようがしまいが、十分に面白い。
何しろ今作のラスボスは、NEXT以上に「デッカイ」ので、当然のように盛り上がって来るわけなのですな!

ただ、やはり中盤あたりから徐々に盛り上がってはくるものの、序盤の「まったり感」がやや冗長に持続するのも事実だろう。
実際の90年代なら、リナ御一行相当の漫才コメディは非常にレアだったので、それだけで平均を満たすことができたのかもしれない。
だが、現在アニメのストーリー水準は当時以上に高いのだ。
私は基本的に90年代懐古厨だが、その点は認めざるを得ない。

現在において、乱立するアニメたちが生き残りを賭けるポイントに、「3話の壁」がある。
これは「たいていの人は3話まで見て続きを見るか判断する」ことを揶揄したものだが、果たして本作が現在にあったとき、この壁を超えることができるだろうか。
時代を超えて相対的に見たときに、序盤のエピソードで「切られる」可能性は否定できない。
盛り上がりどころまでたどり着けるかが勝負となる。

 

んで、TRYは見るべきなのか

正直な話とすれば、

「NEXTだけでも十分」

というのが私の感想だ。
TRYファンの人には申し訳ないが、客観的に見てそうだと思う。

理由は先述した通り、TRYは盛り上がりどころまでが非常に長いからだ。

現代的なアニメの構築法からすれば、これはTRYをはじめとする90年代アニメの大きな欠点だろう。
主に大人の視聴者をターゲットにし、乱立するアニメ作品の中で如何に個性を主張するかを徹底的に練り込んだ現代ストーリーテリングは、「間断ない面白さによる構築」という一点において90年代アニメを凌駕する。
作品全体として見れば、本作「スレイヤーズTRY」は十分に秀作なのであるが、この導入部分の出来によって、「切られても文句は言えない」作品として評価せざるをえないのだ。

ただ、TRYは決して駄作ではない。
終盤の盛り上がり方はNEXTにも匹敵するレベルで高い完成度を誇っている。

序盤の冗長さに付き合ってくれる方は、是非すべてを見てみて欲しい。
何故本作が、原作を捨ててまでオリジナルエピソードに走ったのか、その真価を堪能できるはずだ。

 


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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