「美少女戦士セーラームーンCrystal」レビュー! 旧作との違いは劣化なのか?

      2017/01/25

アニメ 「美少女戦士セーラームーンCrystal」DVD 【通常版】1

放送期間  2014年7月~2015年7月
原作  武内直子
公式HP http://sailormoon-official.com/animation/

90年代に放送された往年の名作、「美少女戦士セーラームーン」の完全新作アニメーション作品。
原作の第一話からを、完全新作で再びアニメ化している。
ちょっとドジな平凡な女子高生、月野うさぎが、不思議な力を持った猫であるルナと出会うことから、物語は始まる……。

 

評価点数:44点 ★☆☆☆☆ (ファンのための作品?)

 

*ネタバレは含みません

 

如何に90年代の旧作が優秀だったか

単純な「絵」は悪くない。
より少女漫画らしい繊細な絵のタッチは好みが別れるところかもしれないが、少なくとも立ち絵に関しては近代アニメらしい洗練された作画だと思える。

そしてOPも悪くない。
旧作のムーンライト伝説の印象が強過ぎる中で、ももクロの「MOON PRIDE」は非常に良い味を出している。
OP作画も含めて、ムーンライト伝説に負けじというアーティストとスタッフの気概を感じることができる。

 

ただ、そこまでだ。

 

本作を視聴すれば、如何に90年代に少女たちの話題を席捲した旧「美少女戦士セーラームーン」が、どれほどの完成度に満ちた良作だったのかがよくわかる。
シナリオ面でも作画面でも、およそ20年以上前の作品である旧作に全く歯が立たないと言っていい。
唯一の利点は話数の短さによる「捨て話」がないことだが、「本編」の内容が旧作の「捨て話」に勝てない品質であることもまた、事実だろう。

本作をみると、きっと旧作である90年代の「美少女戦士セーラームーン」を見返したくなるはずだ。
私もそうで、旧作50話全部見ちゃったよチクショウww

 

※ちなみに私は原作(漫画)は知らないので、あくまでもアニメとしての感想を書かせて頂きますm(_ _)m

 

創意工夫のない作画と演出

正直に言えば、声優が読んでいる紙芝居を見ているのと大差ない。

作画は全く動かないわけではないが、それぞれの構図が稚拙で、まったく「動き」「迫力」といったものを感じないのだ。
最近のアニメでここまで「燃えない」作画に出会ったのは、ずいぶんと久しぶりだ。
予算の関係はあるにしても、それを補う創意も工夫も感じられない。
コマ数をケチっているというよりは、本当に構図のセンスがないと感じられる作画だろう。

これは物語の序盤から、随所に散見される。
一番最初に、うさぎが走って登校しているシーンで、既に「おやっ?」と思う人がいるだろう。
最初のうちは「これが新しいセーラームーンか!」という高揚感もあってごまかせないこともないのだが、どんどんと見ていくうちに倦怠感が増していく……w

 

変身シーンのCGを旧変身シーンと比べてみれば、その「残念さ」はいやがおうにも目につくだろう。

 

物語はあまりに平凡かつ性急

何故だろうか、大筋は旧作と同じ物語なはずなのに、本作のストーリーには全く魅力を感じない。

実際に見比べてみると、その理由は様々な要素が重なりあった結果であると言えるが、例えば本作は基本的に「伏線というものが存在しない」世界である。
物語序盤はまだしも、話が進むにつれてその傾向は強くなる。
これが「次はどうなるんだろう」というワクワク感を完璧に欠如させ、本作を「ながら見」アニメに劣化させている。

次いで、「そもそも魅せ方が悪い」のだ。
話が破綻しているわけではないのだが、魅せ場であるはずのシーンがあっさり終わったり、拍子抜けするような結末に終わったり、全くもって面白くする工夫が見られない。
また、困難なエピソードも、登場人物が努力で解決するといったシチュエーションがなく、月の力でどうにかなってしまうために、シリアスストーリーとしてはいやがおうにも盛り上がりに欠けてしまうのだ。

 

そしてすべてに起因する問題だが、キャラクターに魅力がない。
これが旧作との最大の違いだろう。

 

セーラー戦士たちはモブである

正直言えば、月野うさぎ以外のセーラー戦士はモブキャラだと思っても差し支えない。
一応、それぞれに登場エピソードがあって、それぞれにお話があるのだが、いざ話が核心に迫るにつれて、彼女たちの活躍の場は失われる。
個々のエピソードもそれぞれの魅力をそれほど掘り下げるものではないため、必然的に彼女たちは「ミニスカの可愛いお姉さん」以外の存在ではありえない。

そもそものキャラクターが全体的に「普通」であり、旧作アニメ版のような飛び抜けた個性を割り与えられてはいない。
話数の都合上、サブキャラクターで冒険できないという都合もあるのかもしれない。
だが、話数が少ないからこそ、サブキャラクターには明示的な個性を与え、短い出番の中でも映えるようにする必要があったのではないだろうか。

彼女たちは言ってみれば、「月野うさぎにとって都合のいい友達」でしかない。
本来、友達とは「本音でぶつかりあえる」からこそ美しい存在だ。
必然的に、物語で友達を描くには「対立し、わかりあう」という構図が欠かせない。
だが、本作はそういったプロセスを一切経ずに集団を形成するため、「友達であっても親友ではない」といった立場のキャラクターしか描けない結果となっている。

 

旧作との差異にみる月野うさぎのキャラクター

一番興味深いのは、月野うさぎという主人公のキャラクターだろう。

これも旧作の面影はあるものの、何かが違う。
明らかに「はっちゃけ感」が薄くなって、普通の女の子になってしまった。

この狙いは明確で、本作が「ラブストーリー」を目指した結果だと言える。
旧作の「美少女戦士セーラームーン」はラブ要素もそれなりにあったものの、あくまでもコミカルなギャグを交えた子供向けアニメだ。
うさぎのキャラクターはまるで「わぴこ」(セーラームーンの前番組の主人公)のようなはっちゃけ感が強調され、作品全体としてのコミカルな要素が強まった結果、ラブストーリーの要素は必然的に薄らいでしまう。

今作では、明らかに最初から「少女漫画的なラブストーリー」(といっても原作は少女漫画ですけどw)をやる気満々といった感じだったので、このような性格に落ち着いたのだろう。
その狙いはそれほど外れてはおらず、タキシード仮面様との恋愛の描写はこちらのほうが丁寧で、より「乙女チック」だ。

 

ただ、これは表裏一体の事象であり、月野うさぎが「乙女チック」に恋をしてしまうので、旧作にあった「アイツはイヤな奴だけどなんか気になる……」といういわゆるツンデレ感(w)が薄くなってしまっている。
目指している方向性が違うので賛否は簡単には語れないが、まあツンデレ感は野郎ウケする要素だと考えれば(?)、少女向け作品だったセーラームーンはこちらのほうが本来なのかもしれない。

 

しかしながら、一つだけ明確に言えるのは、

本作の月野うさぎにはカリスマがない

という事実だろう。
旧作においては、彼女がセーラー戦士たちのリーダーだと言われれば、うなづくものがあった。(厳密には美奈子ちゃんなんですけどねw)
あまりにもはっちゃけたそのはっちゃけ感が、リーダーとしての器量・カリスマを感じさせてくれたからだ。
そしてその「はっちゃけ感」があるが故に、勝負シーンでの締まった彼女との差異がまた、戦士としての魅力を感じさせる。
周囲の仲間たちも、そんな彼女を仕方のないヤツだと思いながらも、危うさを可愛がり、そしていざというときの彼女を頼りにしていた感じがある。

前項でもふれたが、そういった周囲との絆が描けていないのが、友情要素ダイスキーなワタシ的には大きな残念ポイントであった。
ただ、話数の都合を考えれば、これは難癖と言うべきなのかもしれないが……。

 

あくまでも恋愛アニメであり、ファンのための作品

本作を語る上でのポイントは、「恋愛アニメ」だろう。
旧作と違い、また他の変身ものの少女向けアニメとも違い、「美少女戦士セーラームーンCrystal」というのはあくまでも「恋愛アニメ」なのだ。
そう考えれば、全体的に納得できないわけではないような気もするけどちょっとどこか納得いかないぞうーむ(笑)

あくまでもアニメだけの括りで書かせて頂いたが、原作ファンからすると本作のほうが原作に近いという声もあるらしい。(原作未読)
硬派なストーリー至上主義者の意見として、あまり高評価をつけることはできなかったが、「原作の純粋な映像化」としてみるなら、もしかすると楽しめるのかもしれない。原作未読なので推測ですw

 

また、言うなれば本作は、ファンのためのアニメとして語られるべきものかもしれない。

セーラームーンを知らない視聴者を、新たにファンとして獲得できるだけの魅力は持ち合わせていない。
だがよく知るファン(原作ファン?)からすれば、とても魅力的な要素が包括されているのかもしれない。
旧作を好きだった世代からしても、必殺技の名前を聞いただけで涎が止まらないかもしれない。

本作はあくまでそういうアニメなのだろう。

 

私的には、いきなり「ムーンティアラアクション」の技名が違って結構びっくりしました。でも原作通りらしい!


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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