真の「オタク」を描いた良作日常アニメ 「監督不行届」 レビュー

   

TVアニメシリーズ「監督不行届」行き届き DVD-BOX(完全初回生産限定)(豪華加筆版原作コミック付)

 放送時期 2014年4月~7月
 原作  安野モヨコ
 公式HP  http://www.fuyukitodoki.com/index.html

あらすじ
日本オタク四天王の一人であり、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の監督である庵野秀明をモチーフにした「カントクくん」と、その妻である「ロンパース」(安野モモコ)の日常を描いたショートアニメ。
あまりの圧倒的な「オタク」ぶりを見せる夫に影響されて徐々にオタ嫁化していく様をコミカルに描く。

 

評価点数:80点 ★★★★☆(良作)

 

※ネタバレはありません

 

真の「オタク」を描いた日常アニメ

唐突だが、私は自分のことを「オタク」と呼ぶことに凄く抵抗感を持っている。

別に他人がオタクを自称するのは気にならないし、他人から「お前オタクだなぁ」と言われるのも仕方がないものとしてあきらめている。(客観的に見たらオタクにカテゴライズされるのは仕方ない性格・趣味なので)

だが、自分が自分のことを「オタク」と言うのだけはNGなのだ。

その理由は、「オタク」という単語に付き物な「暗い」「キモイ」といったイメージが自分に付くのが嫌なのではない。
むしろ「オタク」というのは「キモくて当然それがどうした」と思っている。

ではなぜ「オタク」を自称するのが嫌かと言うと、「オタク」に一種の尊敬の念を持っているからだ。

一般人が社交性とか容姿に振る時間や努力全てを己が趣味に捧げ、同じ趣味を持つもの以外とは会話出来ないほどの深い専門知識を持ち、生半可な知識で己の領域に近づく者を許さない排他性を備えた、非常に厄介な、だがその知識量と情熱は誰にも負けない生き物こそが「オタク」であると自分は考えている。

そんな誰にも負けない情熱を持つ「オタク」を、何をやっても半端者な自分が名乗るのはおこがましい、という思いを持っているから「オタク」を自称したくないのだ。

そんな少し歪んだ「オタク」愛を持つ自分だから、最近の主人公に多い「エセオタク」な主人公たちは自分はどーしても好きになれなかったのである。

前置きが長くなってしまったが、本作品の主人公である「カントクくん」は、ご存知の通りオタク四天王と名高いエヴェンゲリオンの監督「庵野秀明」である。
そんな「オタク」のお嫁になってしまった漫画家「ロンパース」こと安野モヨコと庵野秀明との夫婦生活を描いた漫画をアニメ化したのが今作品だ。

今作品で自分が最も好きなのは、本物の「オタク」の日常をしっかりと描いている点だ。
適当に2ch用語を喋ったりただグッズを買わせている描写を入れているだけのオタク系主人公とは違う。

いきなりアニメキャラのセリフだけで会話したり。(しかもそのアニメが毎回マニアック)
ある昭和特撮作品の主題歌のサビが思い出せずにいきなり頭を抱えて悩み始めたり。
結婚式には仮面ライダーのコスプレをしたり。

一般人からすれば完全にドン引きな行動のオンパレードであるが、「オタク」の行動としては非常にリアルで良く描けていると思う。
特に、この作品が他のオタクを取り扱った作品と違うのは本物の「オタク」である庵野秀明がモデルだからこその奇抜さ・知識の深さをが描かれている点だ。

この「カントク」くんこと庵野秀明の素晴らしすぎる「オタク」ぶりに最近のオタク系主人公に辟易していた自分は拍手喝采であった。

「庵野監督の日常」ではなく一人の「オタクの日常」

一応今作品の「カントクくん」は庵野秀明がモデルになっているが、このアニメにおいて庵野秀明が「監督」である面はほとんど存在しない。

あくまで描かれるのは一人の「オタク」の日常である。
だから尚更このアニメは面白い。

あのエヴァンゲリオンを作った天才監督が、いやあのエヴァンゲリオンを作った監督だからこその「オタク」全開の日常に驚きながらもそのギャップに魅力を感じる。

「監督」という役割から解放された「オタク」の庵野を描けるのは原作者が庵野の妻である安野モヨコ氏だけだろう。
「エヴァの監督」という世間からのレッテルを一切出さず、カリスマも糞もない「オタク」として庵野監督を大胆に描き切ったことはこの作品の大きな魅力の一つだ。

 

 「オタク夫婦」の日常

更にこのアニメが日常アニメとして秀逸な点は、「オタク夫婦」の日常を現実味を持って(そりゃあ実際に作者は「オタク」と結婚しているのだから現実味はある)描いていることだ。

「オタク」な夫に不安を持ちながらも、何だかんだ自分も「オタク」な要素を持っており、夫婦二人仲良く更に濃い「オタク」になっていく。
この二人のなんとも言えない距離感、夫婦生活が素晴らしい。

また、「カントクくん」のキャラが濃すぎるから目立たないが、安野モヨコこと「ロンパース」もなにげに変人だ。
「オタク」のことを好きになる人はやっぱどっかしら「オタク」っぽい変態さがあるよね!と常々思っていた私にとってこの「ロンパース」のキャラ付けは非常に納得できる描写であった。

 

ベテラン声優の名演技、細かなアニメスタッフの情熱

「ロンパース」を演じるのは林原めぐみ、「カントクくん」を演じているのは山寺宏一である。
やはりベテラン声優二人の力はこのアニメの魅力を大きく上げている。

3分のショートアニメなので画面の動きはほとんどないと言ってもいい。
そんな状態でキャラの感情を分かりやすく魅力的に表現しているのは流石の一言だ。

両キャラとも非常に棒読み風なキャラにも関わらず、棒読みな演技の中でこの演じ分けは、おそらくこの二人のクラスでないと出来ないだろう。
ベテラン声優の実力の高さをヒシヒシと感じた作品であった。

更に、このアニメ、一々作中に出てくる細かいネタの解説がEDで丁寧に行われる。
これはスタッフの愛情がにじみ出る出来であり、EDの下部が真っ白になるくらい埋め尽くされた解説の文字の多さにドン引きすること間違いなしである(笑)

 

意外と人を選ばない?良質な日常アニメ

一応このアニメには大量にパロディネタなどが出てくるが、これを全て把握してギャグとして受け取るのは難しいだろう。
なにせネタが非常にマニアックだからだ(笑)

だが、だからと言って全く笑えない訳ではない。
このネタが「濃い」と言うのは雰囲気で分かるし、その雰囲気で笑わせるだけの勢いがある。
更にパロディネタがわからなくてもすぐさま別のネタで夫婦漫才が始まるので、ダレることはない。
この勢いはショートアニメだからこそできる素晴らしいテンポだ。

さらに、パロディネタだけではなく、本当の「オタク」の奇妙な生活習慣はそれだけでネタになる。
これらのことから「オタク」的な知識はなくても十分楽しめる作品になっている。
なので、「オタク」を描いた日常モノとして身構えなくても、誰でも楽しめる良作となっている。

Youtubeで公式から第一話が公開されているので、試しに見てみるといいかもしれない。
何か良いかな、と思ったら、最後まで一瞬で見れるはずだ。


個人的には非常に好きな作品であった。
ショートアニメだからと言って侮ることなかれ。
オススメである。


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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