安っぽくて地味、それが良さに!? アニメ「普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。」 レビュー

      2016/10/19

普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。Vol.7(初回生産版) (イベント参加優先申込券付き) [Blu-ray]

放送時期 2014年7月~2014年9月(全12話)
原作 小杉光太郎
公式サイト http://www.tbs.co.jp/anime/locodol/

地方の小都市・流川市に住む普通の女子高生、宇佐美奈々子は新しい水着を買うために、市役所に勤める叔父から頼まれた時給1000円のアルバイトを始める。叔父の話では簡単なイベントの手伝いだったのだが、実際は流川市をPRするアイドル、「ろこどる」としての出演だった。何やかんやで仕事を受けてしまった奈々子は、美人でスタイル抜の先輩、小日向縁とともに流川市のろこどる、流川ガールズとして活動することになる。

評価点数:70点 ★★★☆☆ 佳作

地味さが逆に良い、「ろこどる」の世界

最初に言っておくと、このアニメには「ラブライブ」や「アイドルマスター」のような高クオリティなライブシーンはない。
個性の塊のような強烈のキャラもいない。

普通のアイドルアニメのならば、これらの要素は全てマイナス要素だ。
だが、このアニメに限ってはこれらがプラスの要素になってしまう。

画面から漂う予算不足な感じ、それが逆に好感触になるのはこのアニメだけだろう(笑)

予算不足を利用した、逆転の発想

その理由は、このアニメがアイドルアニメではなく、あくまで「ろこどる」のアニメだからだ。

主人公たちはトップアイドルではなく、ローカルアイドル。

そのローカルアイドルのローカルらしさを、画面のチープさが効果的に表わしてくれている。

予算の低さやチープさを見事に作品の世界観づくりに取り入れたことがこのアニメ最大の特色だろう。

個人的にはこの演出の思い切りの良さだけで60点ほど与えたい気分だ。

 

特に何も思わなかった、普通のキャラだと思っていたのに・・・

本作の主人公、宇佐美奈々子はタイトル通り、普通の女子高生だ。

アイドルに対して強いあこがれを持っていたわけではない。

小学生の時に作文に『アイドルになりたい』とは書いたものの、高校生の現在ではそんなことは微塵も思っていない。

アイドルになったきっかけも、1000円という高時給につられ、なし崩し的に市民プールでのイベントに出演しただけだ。

その初舞台で行ったことといえば、若干gdgdなトークと、地元の歌を歌っただけ。

とても主人公の初舞台とは思えない内容だ。

彼女は踊りの天才でもなければ、奇跡の歌声を持つわけでもないし、センスのあるトークができるわけでもない。

ただ真面目で、ほんの少しおっちょこちょいな女子高生なのだ。

第一話では、この主人公に対して何も思うところはなかった。むしろ苦笑いをしながら「典型的な普通系主人公か...」とマイナスの感情を抱いていた。

 

だが、視聴を続けていくうちに、どんどんと可愛く思えてくる。

そして、最終話付近では完全に彼女のファンになってしまっていた自分がいた(笑)

全くもって地味なこのキャラクターが、ここまで愛おしく思えるのはこうしたキャラが受け入れられる世界観をしっかりと作り、その上でしっかりとした脚本、構成が練られているからだろう。

 

キャラを浮かせない、しっかりと作られた世界観と演出

このアニメの特徴としては、前述した画面のチープさに加え、まったりとした雰囲気があげられるだろう。

第一話を見てもらえばわかるが、このアニメのテンポはあまり早くない。

だがこのゆるやかなテンポが、キャラクター達を完全に世界になじませている。

この物語に、世界の命運を左右するバトルのような非日常的なイベントはない。

非日常的なイベントといえば、「ろこどる」としての活動なのだが、その舞台は主人公たちが寄り道していた商店街やデパート、近所の河川敷などだ。非日常感をほとんど感じない。

それゆえにこのアニメは日常系のようなテンポでも違和感はない。

この日常系の世界観の中だからこそ、ごく普通の女子高生たちがアニメのキャラクターとして成立し、我々も感情移入できる。

 

丁寧な脚本によるキャラの掘り下げ

このような土台の上で一話一話丁寧にそれぞれのキャラクターを掘り下げていく。

わかりやすくキャラの特徴を描写し、それぞれの人物の課題や悩みを他のキャラと絡ませながら、解決していき、成長させる。

また、話が進むにつれ「ろこどる」の二人以外にも登場人物が少しずつ増えていく。

学校では先輩でありながら芸能界的には後輩なゆるキャラの中の人だったり、実は主人公たちの一番のファン(ややストーカー気味)なマネージャーなど。

これがまた作品の雰囲気を壊さない程度に個性的で、魅力的なキャラクターばかりだ。

この新たなキャラクターたちによる掛け合いによって、さらにキャラクターの魅力が溢れていく。

一話の段階で登場人物に愛着を持てないからといって切るのは本当に惜しい。

テンプレラノベキャラのような4文字くらいで説明できる個性をつけずに、話の中でキャラクターを魅力的に描写することは実はかなりレベルの高いことだと思う。

画面や演出にチープさが感じられるが、脚本や構成は非常に優秀な出来だ。

 

「ろこどる」としての成長物語

そして、このアニメが普通の日常アニメと大きく違うのは「ろこどる」としての成長物語がある点だろう。

正直、物語の始めはアイドル要素も、「ろこどる」要素もかなり薄い。

だが、第三話のライブシーンから主人公たちの「ろこどる」としての成長物語が本格的にスタートする。

本当にうっすらとだが、「地元の」アイドルとして、彼女たちが「ろこどる」になっていく様子が描かれ始める。

といっても爆発的な面白さがあるわけではない。このライブシーンも、他のアイドルアニメと比べるとやっぱり地味だ。

踊りだって体を少し揺らすくらいで、歌もお世辞には上手いとは言えない。

だが、この作品の世界観をはっきりと表したライブシーンで、最後まで見た後ならば名シーンといえる出来だ。

 

「ろこどる」といっても、最初から地元ではアイドル、といった状況ではない。

地元でも知名度はほとんどなく、主人公が友達にろこどるのことを伝えても誰も知らない様子だった。

だが、そんな中でも地道に与えられた仕事をこなしていく。

もちろん、仕事といってもローカルなので、商店街の和菓子屋さんの食レポや、蜂の巣駆除会社の宣伝、ローカルニュースの最後にほんの少しだけ市からのお知らせをする、のようなローカル感溢れるものばかりだ。

さらに、取材先までの移動手段が徒歩だったり、三本撮りが当たり前だったりと、ローカルらしさを増させる描写が入ってくる。

 

だが、そんな仕事も真面目にこなしていくうちに、ほんの少しずつだが、地元での知名度が上がっていく。

小さな女の子だけれども、初めての固定ファンがつく。

さらに最初はタジタジだった主人公も、スムーズに「ろこどる」として活動できるようになっていく。

もちろん彼女は素人なので、セリフを噛んでしまったりなどの小さなアクシデントがあるが、それもまたキャラの魅力や、「ローカルさ」をにじみださせ、作品の雰囲気を作り出していく。

話数を重ねるたびに、ほんの少しずつだけれども、流川市の「ろこどる」、流川ガールズが地元の人に認知され、愛されていく様子が丁寧に描写されていく。

登場人物にしっかりと感情移入できているから、こうしたほんの少しの成長でも感動は大きくなる。

 

「ろこどる」だからこその身近さ

そして他のアイドルアニメと違い、このアニメは前述した「ローカルさ」を感じさせる演出によりアイドルである彼女たちの存在が非常に身近に感じる。

この距離感によって本当に彼女たちのことを応援したくなる。

本当に心から流川ガールズを応援しているから、彼女たちが認められていくことへの嬉しさも並々ではない。

 

完璧な最終回。完璧なライブシーン。

そして気が付けば迎えている最終回。この最終回のライブシーンが本当に素晴らしい。

劇的な演出や驚異的な作画があるわけではない。

何も知らずにこのシーンをみたら「地味だな」と思うかもしれない。

だが、最初は持ち歌や踊りや衣装すらももっておらず、誰にも知られていなかった彼女たちの活動を一話から見てきていれば、アイドルらしい衣装を着て、アイドルのように立派なステージで自分たちの歌を歌い、踊る彼女たちを見て、感動しないはずがないだろう。

もちろんそこには、予算不足なために衣装は彼女たちのマネージャーが夜なべで手作りしたなんて相変わらずのローカルエピソードも存在する。

そして最後の最後には、自分たちは「アイドル」ではなく「ろこどる」ということを表すエピソード。

 

このアニメ評価はこの最終回で大きく上がった。

完結できずに尻切れトンボで終わる作品も少なくないなか、1クールかけて描いてきたものの集大成をはっきりと示した、本当に素晴らしい最終回だったと思います。

 

本当に、騙されたと思って最後まで見てほしい!!

この作品の欠点とした、前述したまったり感だろう。これは世界観づくりに大きく役立っているのだが、正直にいえばテンポは悪い。

特に序盤はこれといったギャグがなく、キャラクターを魅力的に感じられないので、見るのがつらいと思うかもしれない。

この作品は見ているうちにジワリジワリとキャラクターが好きになっていくアニメなので、ど派手な面白さもない。多くの人が一話、二話で切ってしまうのもわかる。

できれば三話までは頑張って見てほしい。こう書くとで劇的に面白くなるのかと思われそうだが、そうではない。

話に動きが出始めるのが三話だと思ったからだ。正直にいうなら、黙って最後まで一気見しろ!と言いたい(笑)

雰囲気的に見るのに負担をかけるアニメではないとは思うので、何も期待せずにとりあえず一気見してほしい。

気が付けば流川ガールズのファンとして最終回のライブシーンをリピート再生しているはずだ(笑)


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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