アニメ「魔弾の王と戦姫」レビュー。1クールでなければきっと名作だった……

      2016/12/13

魔弾の王と戦姫 第1巻 [DVD]

発表時期 2014年10月~2014年12月
 原作 川口士
 公式HP http://www.madan-anime.jp/

ブリューヌとジスタート。
両大国が激突したディナントの戦いは、ジスタート王国7戦姫の一人、エレンの率いるジスタートが圧勝する形で幕を閉じた。
そんな中、貧乏貴族であるティグルは、味方の後退を助けるためエレンを討ち取ろうとするが失敗し、彼女の捕虜となってしまう。

 

評価点数:68点 ★★☆☆☆(凡作)

 

※ネタバレを含みません

 

良質な戦絵巻だが、キャラクターデザインは…

作画というか、キャラクターデザインからは全く想像もできない世界だが、本作の物語はかなり硬派な「大河ロマン」である。
近い作品を挙げるとするなら、問答無用で「アルスラーン戦記」と答えるだろう。

 

いやマジで。

 

とにかく露出の多さと胸のあざとさに辟易させられるキャラクターデザインに、明らかに多すぎる女性登場人物、そしてお約束のように仕込まれたお色気シーンと、原作ライトノベルであるが故の「商業的な」制約が見え隠れする。

特にキャラクターデザインには、原作小説の段階から「女の色気を露出と胸でしか描けません」的な限界が見え隠れし、本作の放つ硬質な魅力に明らかなミスマッチだ。
また、男なんて書いたことがないのではないかと思わせるほどに、男性キャラクターがモブい。
ライトノベル作品故の事情はあるだろうが、それにしても酷い。
原作途中から絵師が交代したのは、小説の評判が思った以上に好調だった点で、良い絵師をつけなおしたのかもしれない。

むしろアニメ版では、原作の「下品」とさえ言えるようなキャラクターデザインを頑張って修正しているとさえ言える。
根本的な衣装や顔立ちについては、ある程度リファインはしつつも、原作を遵守して基本形は残したというところだろうか。
服装や胸の大きさについては、もっとガッツリ修正を入れてくれても良かったのだが……。

 

なお、明らかに多すぎる女性陣については、しっかりと理由付けがなされている。

戦絵巻にこれだけの女性(しかも若い)が、最前線に登場するためには、相応の所以が必要だ。
本作においては、「竜具」と呼ばれる特殊な武器によって選ばれるのが、若い女性のみという設定が、メインヒロインのエレオノーラたちが最前線の将たることを許している。
また、彼女たちはそれぞれが為政者・権力者として立派な人間に描かれており、人一倍努力し、才能を研磨させる鍛錬を怠らないことも作中にきちんと組み入れられているため、物語中においてはそれほどに違和感がない。

唯一エレンの補佐官であるリムだけは、「竜具」を持たぬ女騎士であるため、やや違和感が残る。
ふるまいがややテンプレートに寄っている点もその原因だろう(胸のサイズも)が、やはり人物的にはしっかりしているし、エレンの補佐官には女性が適任である点もわかるので、そのうち納得ができる。

 

とにかく「尺の都合」がすべて

そんな本作であるが、キャラクターデザインという大きな欠点もさることながら、ストーリーの展開上最大の欠点となっているのが、

「尺の都合」

である。
全13話で描くにしては、物語があまりにも長すぎた。
なんだか総集編のようなペースで、とんとんと話が進んでいくのだ。

このきらいは後半、つまり本来なら物語が盛り上がるであろう部分において次々と顕在化するため、序盤には「まあまあ」と我慢できていた部分が次第に我慢できなくなる。
明らかに語るべき物語が長すぎる。

劣勢であるはずのティグルが次々に苦境を覆していくことこそ、この戦記の面白さであるはずなのだが、その描写が明らかに性急すぎで、視聴者を置き去りにしてしまう感が強い。
テンポが早すぎて登場人物も満足に描ききれず、「あれっ?今の誰だったっけ?」的な場面は結構多いだろう(そもそも登場人物が多いのはあるが)

また、大河ドラマの戦絵巻であるからには、合戦シーンは一つの見せ場であるはずだが、これが「チェスのような駒で戦況が表示」されて淡々と進んでいってしまったりする。
予算の都合も尺の都合もあるのだろうが、残念でならない。
軍略が決まった瞬間の高揚感こそが、本作の最大の見せ場であるはずなのに……。

 

大河ロマンとして、あらすじを追いかけると結構「面白そう」なのだ。

だが、実際に描いてみるとそれは「ちょっと充実したあらすじ」だったというのは、やや乱暴な言い方ではあるが、本作のわかりやすい表現かもしれない。

 

アニメよりも原作推奨

全くつまらないというわけではないし、序盤はそれなりに見れることも事実だ。

だが、盛り上がるはずの中盤以降が満足に盛り上がりきらないので、肩すかし感も強い。
正直、書いているよりは面白い作品だとは思うのだが、「これはもっと面白いだろ!」という匂いが展開からプンプンしているし、原作ファンから見るとこのアニメ化は「基本的に失敗だろ!」と思ってるので、やや厳しめの感想をつけましたw

それでも、13話の尺でこれだけのボリュームに挑むのが不可避だったと考えれば、頑張って描いているとは思います。
26話だったら絶対に面白かっただけに、惜しいよ。

 

ちなみに、原作は間違いなく面白い。
著者川口士は、田中芳樹氏の戦記ファンタジーが好きな人には間違いなく刺さる作家なので、小説読むのが好きな人には是非ともお勧めしたい。

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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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