こんな中途半端な作品じゃなくてしっかりとした続編を… OVA 「翠星のガルガンティア 〜めぐる航路、遥か〜」 レビュー

   

翠星のガルガンティア ~めぐる航路、遥か~ 前編 [Blu-ray]

発表時期  2014年11月~2015年5月
 原作者  なし
 公式サイト  http://gargantia.jp/

あらすじ
愛機、チェインバーとの別れから半年。
大海原を往く船団ガルガンティアで、レドは新たな人生を踏み出していた。
サルベージチームの一員として懸命に働くかたわら、失われた旧地球文明の痕跡をたどる日々。
そんな彼の前に、かつての上官・クーゲルの船団からやってきた少女『リーマ』が現れる。
彼女はエイミーの後輩としてメッセンジャーをするが、その真の目的は…

評価点数 76点 ★★★☆☆ (佳作)

 

後編のレビューになると若干のネタバレがあります。
TV版のネタバレも多少あります。TV版のレビューはこちら

 

後日談のOVAとしては非常に優秀な前編

本作品は「翠星のガルガンディア」というTVアニメの続編として作られたOVAである。

前編では、基本的に新たなストーリー展開を行うというよりも、チェインバーがいた頃の日常生活やイベントを回想する場面が主である。
TV版の後日談としてサルベージ屋になったレドの活躍ももちろん描かれるが、劇中の尺の割合的には半分半分といったところか。

これは批判的な要素ではなく、前作からのファンには嬉しいサービスだ。
チェインバーに乗って若干カタコトで喋るレドの姿。
まだ少し距離があるエイミーとレドの二人の関係。

そんな懐かしい様子を、相変わらずの面白さ、作画の良さで提供してくれている。

 

更に、このOVAが優秀な点は、こうした回想への導入が非常にスムーズに行われている点だ。

一応、今作品にも新たなキャラは登場する。
クーゲル船団から仲間になり、新しくエイミーの後輩としてメッセンジャーを始めた「リーマ」と呼ばれる少女だ。
回想の導入には必ずこのキャラが絡んでいるし、この新キャラがレドたちに絡む大きな理由が、前編と後編を通しての大きな話の軸の一つになっている。

つまり、メインのストーリーをほっぽり出して回想を入れるのではなく、メインストーリーを進めつつも、ファンには嬉しい過去のエピソードを追加するという後日談のOVAとして理想的な展開を見せてくれている。

完成度の高いエピソード

さらに、過去の回想、サルベージ屋となったレドの活躍を描くTV版の後日談、この両方共エピソードの完成度が高い。

単にキャラの魅力をあげるためのエピソードを描くにしても、その中でしっかりと困難によってピンチな状況になり、各々の個性や仲間との協力で立ち向かい、解決するという流れを作り、盛り上がりをエピソードに持たせている。
その中身に関しては王道であり、言語化すると単純で予測出来るものであるのにもかかわらず、緊張感を持って作品に入り込めているのは、やはり演出の良さと、TV版から引き継がれたキャラの良さにあるだろう。

主人公のピンチに仲間が駆けつける、という単純な流れでも、TV版でしっかりと掘り下げられ、感情移入したキャラ達の行動には感動せざる得ない。

 

最後には大きな引きがあるのも素晴らしい

どちらかというとガルガンティアでの日常、ちょっとした事件といったものが今作品の前編では焦点を当てられたものであり、SF的展開や、主人公たちの葛藤を描いた重い話はない。

だが、最後には「ユンボロ」でもない謎の新たな「ロボ」の存在が示唆される。
しかもその形状はどこなくチェインバーを思い出させるのだ。

そしてそこで前編は終了し、後編に続いている。
最後にはしっかりとガルガンティアという作品の世界の核心に迫る秘密が提示され、ミステリアス的要素による「引き」を作っている。

思わず次の巻に手が伸びるような構成になっているのは素晴らしいものである。

 

尺の足りなさを感じる後編

素晴らしい引きの後に続く後編。

この後編の内容だが、正直言って尺不足を感じてしまう。
前編では新キャラの紹介含め、丁寧に描写してきたのに、後編になると一気に展開が早くなる。

早くなっても、決して意味不明な展開ではなく、何が起きているかは分かるし、全くつまらないという訳でもない。

だが、まるで総集編かのように、最低限の展開の描写しかされない。
ある行動をする過程までのキャラの葛藤、行動をした時の他のキャラのリアクション。
そういったものをバッサリとカットしている。

前編の展開が丁寧で後編への期待感が高かっただけに、このお急ぎ展開は非常に残念だった。

 

描きたいものがTV版と同じでは…?

カットが多かったので制作側の本心ははっきりとは分からないが、今回の作品のみを見ていると、結局描きたいものはTV版と何も変わっていなかったように感じた。

兵士として任務のためにしか生きていなかった人間が、ガルガンティアでの日常の中で新たな価値観に芽生え人間味を取り戻るという展開。

自我を持ったAIと、そのAIとのドラマ。

どうしてもTV版の既視感を感じてしまう展開だ。

おまけに、先程述べた通りに展開がかなり駆け足なので、TV版に比べて感動が薄い。
あまりこのOVAでの見る価値が感じられない。

では、この作品の目的は…

展開や人間ドラマで魅せることができなくても、もう一つ大きな役割がこの作品には期待されていた。

それは、世界観を広げることである。

 

実際、今作品で「陸地国家」と呼ばれる新たな集団の存在が明らかにされ、一気に世界観が広がり、我々は大きなワクワク感を得ることができた。
さらに、ヒディアーズと銀河同盟との戦争の問題など、全く解決していない設定もある。

このように、いくらでも掘り下げれば面白そうな展開ができる優れた設定や伏線を持っているのだから、それらを掘り下げ、物語、ひいては作品の世界観に大きな魅力を出すのもこのOVAの大きな役割だと考えていたのだが…

 

全てが中途半端なまま終わってしまう

この作品、終わりはTV版と違い、色々と文句が言いたい終わり方だ。

「陸地国家」という新たな設定に対して掘り下げきれず、新キャラである「リーマ」の結末も不明なままにし、中途半端なキャラにしてしまった。
制作側の事情もあるのだろうが、これではあまりに視聴者がこの作品を見てきた意味がない。

小説版につなげるために何とかお話をまとめました、という印象しか感じられなかった。
TV版や前編が素晴らしい出来であっただけに、後編のこの結末は非常に残念である。

一応、後編の魅力としては相変わらずの高クオリティな作画と、未来的なロボットが現代兵器相手に無双する気持ちいい戦闘シーンがあることはあるが、それ以上に残念なところの方が多い。

前編だけなら80点以上の良質なOVAとして評価できだが、この終わりでは高い評価をつけることは出来ない。

小説版の評判が良いだけに、ぜひともProduction I.G には頑張って次回作をアニメとして作り、この汚名を返上してほしいです。


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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