アニメ「競女!!!!!!!!」はスポ根良作か!? その不足は「お色気アニメ」故の枷…?

      2017/01/12

競女!!!!!!!! Vol.1(初回仕様版) [Blu-ray]

発表時期  2016年10月~2016年12月
 原作 空詠大智
 公式HP http://keijollllllll.com/

「尻」と「胸」を使って、水上に浮かぶランドの上で繰り広げられる、落としあい。
21世紀の新しい公営ギャンブルである「競女」の世界で一攫千金をもくろむ神無のぞみは、瀬戸内系所養成学校に入学する。
数多のライバルたちとの戦いを経て、彼女はプロの競女選手を目指していく。

 

評価点数:70点 ★★★★☆(佳作といえばそうだが…)

 

※ネタバレを含みません

 

圧倒的期待感立ち上る第一話

水着姿の女性の押し相撲をスポーツ化し、あまつさえ公営ギャンブル化してしまうというトンデモ感。
尻と胸を使って相手を攻撃するというセクハラ性。
ギャグとしか思えないような本作の設定は、誰がどう見ても間違いなく「お色気アニメ」だし、それはそれで事実でもある。

でもあるのだが、第一話を見終えたとき、この作品の完成度に思わず唸ってしまった方は多いはずだ。

 

「これはスポ根アニメだ!」

 

私はそう強く確信し、膝をうったものである。

胸と尻を武器に可愛い女の子が戦う場面は、エロいというより何だかシュールだが(笑)、その戦いの内容は非常にアツい。
何より戦闘パートが非常にマジメであることが重要だ。
水の浮かぶランドの上で繰り広げられる「落としあい」は、完全な格闘バトルである。
そしてその展開は、周到に準備された合理的な知略戦であったり、積み上げられた努力に裏打ちされた実直な殴り合いであったりと、一切の妥協がない。

第一話の時点で、本作がリアルな「水上の格闘技」であることは理解できた。
トンデモ感はめちゃくちゃ強いにしても、繰り広げられる世界はスポーツアニメであり、バトルアニメそのものだ。

 

エピソードの弱さが目立つ中盤

とはいえ、期待感に胸を膨らませた第一話の高揚は、物語の進展とともに「徐々に」薄らいでいくことになる。

これは別に、第二話以降がただのオパイアニメに立ち戻るとかそういうワケではない。
いわゆる「お荷物」的な立場でギリギリプロになった主人公たちが、上位のエリートたちと勝負を繰り広げるという展開は、やはりスポ根もののノリであり、その点での本作の魅力が薄らぐことはない。

 

ただし、単純にエピソードが弱い。

 

主人公があっさりと必殺技を会得したり、主人公以外の味方が何故かあっさり強敵に勝ったりと、まあ興ざめな要素が非常に多いのだ。
尺の都合だとしても、エピソードをはしょりすぎである。
一話で飛躍的に高まった期待感に、シナリオの「濃さ」がついていけず、徐々に萎えてくる感は否定できない。

 

例えば必殺技について。

多くの場合、挫折を克服するために人は思い悩み、苦しみ、そして努力を加速させる。
その中で、絶え間ない努力と周囲の友人からのサポートを得て完成させるのが、「必殺技」である。
だからこそその技は重く、強く、そして美しく輝くのだ。

一方で、本作は「挫折」がない。
少なくとも必殺技に関して、大きな挫折と対比して描かれている様子はない。
あくまでも、「授業中に偶然見つけた必殺技」といったレベルである。
勿論、モノにするために主人公は大いに努力はするのだが、「挫折」がないために物語への感情移入が出来ず、その努力に周囲の感情がついてこないのでドラマ性も薄い。

エリートクラスでも一般生徒でもどちらでも良いが、主人公が叩きのめされるような熾烈なエピソードが、本作には必要だったのではないか。
劇中でほとんど見せなかった、天真爛漫の神無のぞみが崩れ去るようなエピソードを、この冒頭の必殺技習得のために用意するべきだったのではないか。
降りしきる雨の中では「このままでは通用せぇへん…」みたいに崩れ落ちるシーンがあれば、物語の充実はかなり違っただろう。

最も、それは本作の「気楽に見れるおバカなオパイアニメ」という枠を崩すものになりうる。
作品としての立ち位置を考えれば、このくらいが限界なのかもしれない。

 

細かな要素が描ききれない弊害は随所に…

ルームメイトや同級生のライバルたちについての描写があまりに少なすぎるのも、本作の欠点である。

先に少し触れたが、落ちこぼれであるはずの友人が「あっさり」強敵に勝利したり、かなり強くなっていたりするのは、本作の硬質な魅力を大きく落とす要因でもある(そんな魅力誰も求めていないのかもしれないがw)。
物語の主軸を構成するのは主人公と、その親友である宮田さやかでこと足りるにしても、周囲を固めるサブキャラたちのエピソードは非常に重要である。

 

特に、中盤から終盤への流れで目を引くのが、

「昨日の敵は今日の友」

要素の薄さである。
実際には、一度戦ったライバルたちとはすぐに仲良くなり、日常パートにおいて結構再登場してくれるし、最後には味方となって共闘したりもするのだが、それはスポ根・熱血バトルに必要な要素ではないはずだ。
表現を言い換えるとするなら、

「昨日の敵は今日の強敵(とも)

になっていないのである。

 

一度戦ったライバルは、物語の幹を太くする重要なファクターである。

破れたライバルは、置物のように敗れたまま納得しているわけではない。
本来、主人公を再び超えるべき努力に努力を重ねるはずなのである。
その努力が、物語を太く、強固なものに変えるのだ。
まして、主人公を破ったライバルがいるとすれば……。

 

本作の欠点は、メインバトルに関係しないライバルたちを、単にモブとして描きすぎなことだ。
彼女たちが更なる深化・強化を目指す過程について言及がない。
努力しているライバルたちを描くことで、ライバルたちの魅力を更に進化させなければいけないし、ライバルたちが今主人公と比べてどの位置にいるのか、パワーバランスを視聴者に推測させる仕掛けを作っていかなければいけないしのだ。
かつての悟空のライバルたちの修行の様子が描写されていたからこそ、ベジータ&ナッパのTUEEE感、絶望感がハンパなかったのを忘れてはいけない。

本作では、その描写がないまま、ラストバトルに発展してしまう。
結果的にラストバトルにおいて、かつての主人公のライバルたちは影が薄くなる。
もっともっと盛り上げられたはずの要素を捨ててしまっているのは、尺の都合と言われればそれまでだが、残念極まりない点だろう。

「乳秘孔」なんぞいらないのだ(笑)

 

もっとも、ラストバトルに関して言えば、そんな描写不足の中でもかなり上手く描けていると思う。
特に第二戦は、青葉さんの活躍によって見応えのある知略戦に仕上がっていた。
はっきり言って、第一話と並ぶベストバウトだと思う。

 

原作と比較すると、やはり…

ちなみに視聴時点では原作を知らなかったのだが、気になったのでAmazonで大人買いしましたw

 

原作とアニメ版の大きな違いは、やはり「競女学校への入学試験エピソードの有無」だろう。

アニメ版では回想という扱いで河合さんとのバトルシーンのみを描いていたが、原作では新体操をやっていたのぞみが大学推薦を蹴って……というあたりから物語がはじまる。
宮田さやかとの出会いから、競女学校への入学試験も願書提出、一次試験、二次試験、そしてあのバトルへ……というふうにきちんと全編が描破されており、この入学試験の完成度が非常に高い。
というより、この入学試験のエピソードは、少年漫画でよく見るバトルアニメ、スポ根アニメの「メチャクチャ高難易度試験」シリーズなので、スポ根満載で面白いですw

 

何にしても、アニメ版競女は決して駄作ではない。
エロいと言えばエロいのだが、シナリオが普通に充実しているために、オパイアニメだったという印象はない。むしろイメージがギャグ方向に近いだろうw

ただ、駄作ではない一方で良作でも秀作でもない。
もう一歩を踏み出せば変えることができたはずのそれが、本作の立ち位置を考慮して敢えて潰された未来だったとしたら、非常に残念に思います。

なお、このレビューは本作を「硬派なスポーツアニメ」と捉えた場合のレビューですので、あしからずw

 

ところで最終回だけめちゃくちゃ作画悪くなかった…??(・ω・)

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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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