これが私の見たかったルパンです。「LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標」 レビュー

      2017/01/08

LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 通常版 [DVD]

 発表時期  2014年6月
 原作  モンキー・パンチ
 公式サイト  http://jigen-movie.com/

あらすじ
秘宝「リトルコメット」を狙い東ドロアに潜入したルパン三世と次元大介。東ドロアは犯罪率が低い世界屈指の平和な国。ルパン達は「リトルコメット」を盗み出すが、何故か行く先々に警察が待ち構えている。かいくぐり逃走するルパンと次元だったが、どこからも死角のはずのビル影から飛び出した瞬間、一発の銃弾が次元を襲う。
次元は自分の身体を貫いた弾丸を見て気づく。それは、西ドロアで暗殺されたクイーン=マルタを撃った弾丸と同じものだった。
次元はルパンとともに墓地を訪れる。そこには『次元大介』の名が記された墓が…

 

評価点数:88点(良作) ★★★★☆

 

ネタバレはありません

 

ひたすらにハードボイルド

ハードボイルド。

 

この作品を一言でいい表すのならば、この一言に尽きるだろう。
ルパン三世と次元が単なるビジネスパートナーから真の「相棒」になるまでの過程を描いたのが今作品だ。

見出して感じるのはキャラデザの違和感だろう。
特にルパンの顔に視聴者は違和感を感じるはずだ。
今までのルパンの親しみやすいキャラデザに比べ、かなりカッコよく、二枚目に書かれている。

だが、この違和感はすぐになくなる。
今までのルパンの作品では浮いてしまうキャラデザだが、今作品のようなハードボイルドな作風にとても似合う。
むしろこのキャラデザがより作品の格好良さを上げていく。

 

更に、この作品の雰囲気作りに意外と一役買っているのが峰不二子の存在だ。

相変わらずのお色気キャラだが、彼女の今作品の役割というものは今までの作品とは少し違う。
ピンチになり、ルパンに助けられるという流れはいつも通りだが、今作品にはないお約束が一つあるのだ。

それは「ルパンダイブ」に代表されるようなルパンとのコメディじみた関係だ。
今作品でも、ルパンは不二子に惚れているのだが、この二人の距離感が実に良い。
ルパンが不二子に対し余裕を持って接しているのが分かるような描写をされており、これが非常に「ハードボイルド」な感じなのだ。

更に、今作品でも不二子のピンチシーンはお色気演出なのだが、そのシーンもまた「ハードボイルド」作品っぽい。
直球で分かりやすいエロ、というよりも、フェティシズムを感じるような奇妙なお色気シーンは、80年台の「ハードボイルド」作品ぽさを演出してくれる。

 

敵キャラにしても、どうしてもコメディ要素が出てしまう銭形警部は登場せず、狙った獲物は絶対に逃さない殺し屋のみになっている。

この敵キャラも素晴らしい。
彼についての掘り下げは殆どないが、それでも十分にカッコいいと思える設定、容姿、雰囲気を持っている。
サイコロで出た目の数の弾を目標に当てて殺すなど、こだわりを持って仕事に挑むその姿は非常に魅力的だ。

 

キャラデザ、敵キャラ、そして相変わらずのJazz風の音楽。
全てが「ハードボイルド」な感じを伝えてくる。

テンポの良い前編

前編の20分ほどはかなり早いテンポで話が進んでいく。

少しテンポが早すぎて淡白に感じてしまうくらいだが、中盤にはルパンらしい迫力のあるカーチェイスが描かれ、キチンと盛り上げどころが存在する。
また、最後には「次元の死」という衝撃的な内容で終わっており、引きも十分だ。

この若干急ぎ足な展開は、後編のためにある。
決して前編だけ見てこの作品を見限らないように。
この作品の真価は後編で発揮される。

 

 最高の決闘。最高のラスト

後編に入ると、今までのルパンらしい若干コメディな勢いに戻っていく。

しかし、最後の敵キャラとルパン一味の一騎打ち。
このシーンになると再び西部劇のようなハードボイルドの世界になる。

この最後の決闘シーンは非常に素晴らしい。
正直、敵キャラを打開するための展開は予測出来たし、そのトリックの説明の長さには若干の違和感を感じたが、そんなものを吹き飛ばすくらい最後の決闘シーンはカッコいい。

ガンマンの打ち合いというのは絵的には地味になりがちで、かなり難しい描写なのだが、今作品はその難しさをあっさりとびこえたガンマンの決闘シーンを描いたくれた。

 

そして今までの広げた風呂敷をやや無理やりだが綺麗に畳つつ迎える最高のラスト。

ただ単に上手い脚本だとか、そういった言葉では表せれないラストシーンである。

このラストシーンは良い話!と思うような感動的なセリフで締めようとする日本作品っぽい作りではなく、西部劇のようなそっけない、だが滅茶苦茶カッコいいセリフで締める作りだった。
日本のアニメ作品にもまだこういう「ハードボイルドな締め」が出来る作品があったことが非常に嬉しかった。

正義のためでもない、金のためでもない、何故ルパンたちは泥棒でいるのか。
そんな「ルパン三世」という作品の根幹に関わるセリフを今作品のラストシーンでは聞ける。

このラストシーンのルパンと次元のやり取りを見た時、余りのカッコよさに変な声が出てしまった(笑)
それくらいカッコ良い二人のやり取り、男なら必見のシーンだ。

 

これが私の見たかったルパンでした。

個人的にはこの作品、ラストシーンだけで十分名作と言える作品だ。

しかし、前半の淡白さ、作品全体に伴う地味さはやはり欠点になってしまうだろう...
ハードボイルドな作品というものにありがちな欠点を超えることが出来なかったのが非常に惜しい。

ラストシーンは100点満点だが、これらの欠点を考慮して、作品全体の点数は88点、名作へは後一歩という評価にした。
90点にするかどうかでかなり悩んだが...

ただ、正に自分の見たかったルパン三世像を示してくれたこの作品は非常に心に残る作品だった。
今年の2月には石川五右衛門に焦点を当てた作品が発表されるので、非常に楽しみである。

ちなみに、最後には長年のルパン三世ファンには嬉しいカットがあり、あの懐かしい映画版のキャラが登場する。
こうした粋なファンサービスも含まれているのも嬉しい要素だ。

ハードボイルドな作品が好きな人、どうもルパン三世にしっくりこない人、逆にルパン三世が大好きな人。
多くの人にオススメ出来る快作であった。

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ビッテンk

ビッテンk

熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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