作画と芸術性と「ア゛ァァァッ!」感に包まれて…。「ユーリ!!! on ICE」レビュー!

      2017/01/17

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発表時期 2016年10月~2016年12月
 原作 久保ミツロウ × 山本沙代
 公式HP http://yurionice.com/

グランプリファイナルでボロ負けした勝生勇利。
引退を考えながら帰省していた実家近くのスケート上にて、幼なじみの前で滑ったグランプリファイナル覇者にして世界トップ選手、ヴィクトル・ニキフォロフのプログラムが、まさかのネット上に拡散。
それを見て勇利を訪ねてきたのは、まさかまさかのヴィクトル本人。
そして彼は、自分は勇利のコーチになると言い出して……。

 

評価点数:79点 ★★★☆☆(野心作)

 

※レビュー後半に明確なネタバレを含みます

 

何よりテンポの良さが圧巻の前半

正直、プロモーションがあまりにも「ア゛ァァァァッッッ!!」な感じ過ぎたので、あまり見る気がしなかった作品だった(w)のだが、一話の開始5分ぐらいであっさりと虜になる。

とにかく、シナリオのテンポが良すぎてむちゃくちゃ見やすい。

良作ギャグアニメのようなサクサクテンポ感。
リズミカルに話が進んでいき、「待ち」を感じさせないこのシナリオの出来映えは、圧巻だろう。
スケートシーンが目立つようになると、作画の異次元感がビリビリ来たりもするが、あくまでも本作の魅力の根底にあるのは「話のテンポ」だ。
伏線だの何だの、細かいことは全くどうでも良くて、ポンポンと小気味良く話が進み、あっさりと物語が進展していく。
ギャグ要素も綺麗に決まり、「あ゛ぁぁぁぁっ!!」と叫びたいシーンもリズミカルにさっさと終わってくれ(笑)、チラチラと覗かせるスポ根要素も身に纏う。

良作揃いの2016年秋アニメの中でも、トップランナーとしての快走を予感させてくれる。

 

これらを支えるのは、「気前のいい」キャラクターたちだ。

本来、キャラクターというのは「影」があるものだ。
陰影をつけることで、キャラクターというのは初めて魅力を備える。
人間らしさ、を見せつけるようにそのキャラクターの「裏側」を用意して、表側との対比の中で深みと魅力を作り出すのが、一般的だと思う。

にも関わらず、本作のキャラクターは「影」がない。
いやまああるっちゃああるけど、目立たないしむしろ必要ない。
ともかく快活なキャラクターたちが、嫌味のないストーリーをぶっ飛ばし続けるのが、この作品序盤のすごみだろう。

 

やりたいことに比して、深みが増さない中盤

一方で、大会が始まりフィギュアスケート感が前面に押し出されてくるにつれ、なんだか煮えきれない展開が続く。
スポーツ要素を期待して見ていた自分だけに、特に「何か違う感」が大きかった。主にバンダイチャンネルで視聴していたのだが、しばらく視聴を凍結して、放映終了してから一ヶ月後まで見なかったくらいでした。

 

本作のこの中盤における「弛み」の原因は明確で、

見たことも無いキャラをいきなりライバルたちって言われても困るお(・ω・)

という現象である。
たくさんの選手たちが登場するのだが、主人公との因縁や過去エピソードも薄く、「主人公以外に気になるキャラがいない」状態で試合が続いていくのだ。
フィギュアスケートシーンは相変わらず超作画だが、全く作画のムダ使いにも思えるほど、他の選手のスケートシーンがどうでもよい……つまり大会の帰趨にあまり興味が沸かないのである。
手に汗握りながら「これは主人公勝つのか!? 負けるのか!?」とハラハラする感じがないわけではないのだが、ライバルの描写が極めて少ないために力不足なのである。
これは本作中盤における明確な欠点だ。

 

一方で、恐らくこれは「狙ってやってる」展開でもある。
別に中盤を捨てた、というわけでもないだろうが、製作側としては、

  • 選手の個性をすべてフィギュアスケートで魅せる
  • お楽しみはグランプリファイナルに集約させる

という2点をメチャメチャ意識したのではないだろうか。

前者については、正直すごいと思う。
「いきなり出てきた謎のライバル」である各選手が、滑走後には個性と魅力を備えた立派な強敵へと変貌しているのだ。
単純にフィギュアの演技を見るだけで、選手の個性と魅力を視聴者に植え付ける。
競技シーンは最初、全く興味がないながらも見ている、という程度だったのだが、滑走が進むにつれそのキャラクターのことがわかってくるし、その展開に興味も沸いてくる。
デザインも作画も、そして振り付けやBGMも、素晴らしい仕事をしたからこそ果たせた現象だろう。
普通にこんな荒っぽいプロットで物語をやったら、中盤は破綻である。
それを強引に軌道に乗せているのだから、凄まじいとしか言いようがない。

ただし、それでも私は、「個々のライバルキャラクターとのエピソードを十二分に描破して欲しかった」と感じる人間だ。
尺の都合でこうするしかなかったのはわかっていても、残念無念きわまりない。
むしろ2クールにしてでも、ライバルたちを描くのには単に競技のみではなく、エピソードを伴って欲しかったと感じてしまう。
単に競技のみでこれだけ魅せてくれたからこそ、余計にそう思ってしまうのだ。
何よりこの手法では、ライバルに「興味」を持てるのは、ライバルの滑走が終わった後になってしまうのである……。

 

しかし。

 

GPファイナルでの大一番

※ここからは明確なネタバレを含みます。

 

GPファイナルは、なかなかの出来映えである。

この最終決戦を見れば、先述した中盤の「弛み」も、なるほど1クールで物語をGPファイナルまで展開するには、確かに唯一にして最善の手法だったのだと思える。
それほどまでに、GPファイナルの破壊力は大きい。

それを支えるのは、中盤の「弛み」を乗り切ったことで確実に引き締まった作品の「肉」だ。
全6人の滑走者の顔ぶれは、中盤までの競技と大差ない。
だが、確かに主人公との明確な因縁関係こそ薄いものの、既に彼らは「全く知らない誰か」ではない。
明確に個性付けされた強敵として、主人公の前に立ちふさがるのだ。

そして、ラストへの決着の持って行き方も素晴らしい。
主人公の競技人生を賭した覚悟と、ヴィクトルの現役復帰への想いの重なりが絶妙だ。
本作らしく、決して個々の想いに深入りせずに、上手に匂わせながら期待感を煽ってくれる。
間違いなく、ラストバトルに相応しい名勝負が繰り広げられると言っても良いだろう。

 

ただし謎なのが、最後に勝者。
何故「敢えてユリオを金にしたのか?」が全く読めない。
話の流れ的に、ユーリが金でユリオが銀で十分だったと思うのだが……。
最後のヴィクトルへの「お願い」を引き出すためなのだろうか、ただしむしろ、ユーリくんには金を取ってもらって、「来季はヴィクトルとガチ勝負よ!」な展開の方が燃えたんだけどなぁ……。

 

幅広くおすすめできる野心作

とにかく話に入りやすいというのが、最大の魅力。
個々のキャラクターの完成度も非常に高くて、作画に至っては抜群だ。
終盤の展開も気合が入っており、ダレる要素はあるものの、完成度の高い良作だと思う。

ただし、トータルの13話の完成度で考えれば、中盤のダレは結構大きい。
序盤が最も面白く、決戦も結構盛り上がるが、一般的な「良作」群からは半歩ほど劣ってしまうというのが個人的な印象だ。
一方で、芸術的なまでのハイレベルな作画や、独特の世界観をこの上なく堪能したい方には、イチオシのアニメでもある。

何にしても、比較的「ア゛ァァァッ!」なシーンが多いことを除けば、幅広くおすすめできる野心作であると言えるだろう。

 

そして言わずにはおれないのが、この作画で銀盤カレイドスコープをやって欲しかったという、昔超好きだったラノベアニメに対する未練であるw

 


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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