結局、峰不二子というキャラを描けなかった作品 「LUPIN the Third -峰不二子という女-」 レビュー

   

 放映時期  2012年4月~6月
 原作  モンキー・パンチ
 公式サイト http://fujiko.tv/

あらすじ
ある秘宝を狙い、孤島に侵入するルパン三世。
そこでルパンは美しくも妖しい女と出会う。
その女の名は「峰不二子」という、謎多き女怪盗であった。
甘美で危険な2人の邂逅が、この物語の始まりを告げる…

 

評価点数:52点 ★★☆☆☆ (視聴可能)

 

過激で独特な作風なルパン

まず、本作品の一番の特徴は独特なキャラデザと深夜アニメでもなかなかない過激な描写だろう。

キャラデザは原作のハードボイルドな作風を意識してかなり大人っぽいデザインとなっている。
色彩や、影の付け方も他のルパン作品とは一味違う雰囲気だ。

更に、今作品の特徴の一つとして、深夜アニメらしい過激な描写がある。
峰不二子といえば、今までのシリーズでも裸を晒すキャラではあった。
だが、乳首などの局部が映されることは殆どなかった。
今作ではその規制が解禁されている。

基本的に裸のシーンでは乳首は見えているし、セックスシーンも(直接描写されないが)しっかり存在する。

そういった意味で、非常にアダルティな作品と言えるだろう。
全体的に大人な雰囲気がただよっている作品だ。

この雰囲気がよく分かるのはルパンと不二子の関係だろう。
他のルパン作品と違い、今作品のルパンは不二子の尻を追っかけるキャラではない。
余裕を持った態度で不二子と接している。
ルパンシリーズに代表される「ルパンダイブ」は行わないし、不二子は「盗む対象」、面白い女といった感じで接しており、この微妙な関係はそれだけで魅力的だ。

この関係にみられるような俗に言う「ハードボイルド」さがこの作品の一番の魅力だろう。

 

中盤までのルパン一味の活躍は魅力的

中盤までは峰不二子に焦点を当てながら、一話完結で物語が進んでいく。

このとき、ゲストキャラ的ポジションでルパン一味の誰かや銭形警部が登場してくる。
この中盤までの一話完結型の話は非常に完成度が高い。

作風的に地味にはなってしまうが、出て来るキャラのカッコよさでそれを補っている。
特に顕著だったのが、ルパンと次元の回で、この二人のそっけないやり取りは、峰不二子を完璧なオマケ扱いにしてしまうほど魅力的だった。

ルパン一味の魅力を、この作品の独特な雰囲気で新たに伝えていこう。
そういう製作者の意図がよくわかり、また十分にその意図は達成されていたと思う。

 

ただ、一つ個人的に微妙だと思ってしまったのが五ェ門の扱いだ。
今までのルパン作品では、五ェ門はクールで冷めていて、不二子にゾッコンなルパンにあきれる、というポジションだったが、今作品ではそうではなく、逆に不二子に本気で惚れてしまっている。

その惚れ方も、ルパンのようなクールな惚れ方だったら良かったのだが、五ェ門の口調も相まって、凄く気持ち悪い惚れ方に感じてしまった…
「拙者はそなたの「がーるふれんど」になるのだ」
なんて言う五ェ門は正直見たくなかった。

こんな物言いでも、いざというときに頼りになるカッコよさや、一つの信念を持って行動していたならそれはそれでギャップに惹かれただろうが、今作品の五ェ門はそういうわけでもない。

何か信念を持って行動しているわけでもなく、ただ自分の鍛錬というよくわからない理由で暗殺を請け負うただの殺し屋だ。
それでいて、仕事をクールに完璧にこなすわけでもない。(むしろ失敗している方が多い気がする)
これではカッコいいと思えるわけがない。
ルパンや次元の描写が非常に魅力的だっただけに、この五ェ門の扱いは残念だった。

 

完全に失敗したオリキャラの存在

今作品のレギュラーオリジナルキャラクターとして、「オスカー警部補」というキャラがいる。

このキャラは完全に失敗だったと言わざる得ない。

このキャラの特徴として、銭形警部を「凄まじく」愛しているというキャラだ(もちろん男キャラである)。
これがギャグテイストな作品の登場人物だったらホモキャラとして面白いキャラになっただろう。

しかし、今作品の作風は硬派なハードボイルドだ。
その中では、完全にこのキャラは浮いてしまっている。
銭形警部につきまとう彼の姿は、正直いってかなり気持ち悪い。
不二子やルパンが銭形が追ういつもの展開になったとき、彼らへのオスカーの嫉妬の深さ、描写は凄まじいもので、ドン引きだ。

このホモ描写が物語の展開に必要だったらまだ納得出来るが、序盤から終盤まで、オスカーのホモ設定が作品の展開に必要だったことはなかった。
正直、オスカーの行ったことがモブ警官Aでも物語に支障はなかったと思う。

このキャラが脚本家の趣味なのか、それとも上から大きい女の子を獲得するためのファンサービスとして作れと指示されていたのか知らないが、完全に「失敗」なキャラだったと言えるだろう。

 

全てを台無しにした終盤の展開

ラスト3話ほどかけて、峰不二子の過去の真実を暴く展開に入っていく。

だが、この肝心要のこの終盤の展開が絶望的につまらない。

まず、薬による幻覚症状などの演出があり、見てるこっちも何が真実かよくわからなくなってくる。
個人的にこういう演出をする映像作品が大っ嫌いなのもあり、全く物語に集中出来なかった。

そして肝心の不二子の過去編自体、面白さが全くない。
相変わらずホモ警部補オスカーはウザい。
焦らしていた割には予想出来た内容であったためワクワク感もない。
不二子もいつもの飄々とした余裕を持った態度がなくなっており、キャラとしての魅力がない。

クライマックスと言うにはあまりに緊張感がなかった。
ルパン一味も集結するのだが、脚本の都合で無理やり集められた感が強く、盛り上がりもない。

 

そして最悪なのが、最後のどんでん返しだ。

良いどんでん返しというのは、予想できず、かつ物語を綺麗に別の形で終わらせることだ。
しかし、この作品のはどちらかと言うとちゃぶ台返しに近い。

何しろ
「今まで描いた峰不二子の過去は全く意味ありません」
という宣言をしたのだから。

あっと驚かせるような脚本にしたかったのだろうが、こんなので抱く思いは驚きではなくあきれと怒りだ。
峰不二子の正体を描くという大役から逃げてるとしか自分は思えなかった。

せっかく、序盤・中盤は丁寧な一話完結型で地味ながら良い面白さを持っていただけに、この終盤の展開は残念だった。

 

結論:不二子がいないほうが面白い

「峰不二子という女」がタイトルな割には、不二子が前面に出た回ほどつまらなかったというのは何とも皮肉な話だった。

不二子にガッツリ焦点を当てるのではなく、不二子の視点からこの作品のルパン一味を紹介するというスタンスで一話完結で進行していたときが一番おもしろかった。
終盤の不二子の物語は前述した通りさっぱり…

 

今作品で印象的なキャラデザを行った小池健は、後に「LUPIN THE IIIRD」シリーズの監督からキャラデザ、作監まで務め、優秀な劇場作品を世に送り出している。
「次元大介の墓標」  「血煙の石川五ェ門」 の2作品だ。(どちらもレビュー済み)

間違いなく今作品よりも面白く、今作品の序盤の雰囲気が好きだった方は必見な作品となっている。

 

余談だが、この作品のせいでまた「岡田麿里は終盤でやらかす脚本家説」の信憑性が上がってしまった…

 


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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