シリアスのチラ見せがうますぎる アニメ「けものフレンズ」 レビュー

   

 放送時期  2017年1月~3月
 原作  動物
 公式サイト  http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/kemono-friends/

あらすじ
ジャパリパークの「サバンナちほー」に暮らす「フレンズ」であるサーバルはある日、自分の縄張りに現れたひとりの迷子を見つける。
自分が何者なのか、どこから来たのかの記憶を持たない迷子に対し、彼女は迷子の持ち物にちなんだ「かばん」という名前をつける。サーバルはかばんに対し、「図書館」に行けば何かが分かるかもしれないと提案し、図書館までの案内を引き受けるのであった。

 

評価点数:86点 (良作) ★★★★☆

 

※ネタバレはありません

 

明らかな糞アニメ臭だったが・・・

全く注目されていなかった状態から一気に覇権になったこのアニメ。

自分のこのアニメの最初の評価は、率直に言うと「面白い糞アニメが出てきたな」であった。
(2017年冬アニメの一話感想まとめはこちら

低クオリティなCG、狂気を感じる棒読み声優、特別な引きや展開があるわけでもない脚本。
設定も、動物の擬人化と言うありきたりな設定だ。
冒頭5分であまりの酷さに耐えきれず視聴を止めようかと思っていたが、ここまで酷い出来だと逆に面白いと感じてしまい、視聴を続けていった。

そうすると、レイヤーミスか何かで急に画面が不自然に暗くなるシーンが2回も出てきたり。
いきなり現実世界の動物園の飼育員の解説パートが入ったり。

自分の糞アニメ好きの血がこれらの要素を面白いと感じてしまったのである。
だが、糞アニメだと思って2話を見ていると、「糞アニメ感」とは違った魅力が滲み出てくる。

 

日常?ギャグ? ジャパリパークの世界

正直、劇的な展開のないストーリーだ。
セルリアンと言う明確な敵の存在は描写されているものの、物語の大きな目標はセルリアンを倒すことではない。

物語の大きな目標は「主人公の出自を知る」ことである。
その過程で、出会うフレンズたち。
彼女らの問題を主人公のかばんちゃんが「人間らしい」知恵で解決していく。
基本的には一話完結型のストーリーである。

 

このアニメのジャンル分けは個人的には凄く難しい。

ギャグアニメのような個性的なキャラがギャグを連発する感じではないし、ほのぼの日常アニメのように話に全くオチがないわけでもない。
この見ていて凄く心地の良い感じは、この作品ならではだろう。

この心地よさの最大の原因は、キャラクターとして登場するフレンズたちだ。
彼女らは動物が擬人化した存在だ。
彼女らは他のアニメの擬人化キャラと違い、本当に「純粋」なのである。
正に「動物の擬人化」と言える純粋さを彼女らは持っているのだ。

この純粋さは、「アホの子」とも言えるだろうが、世間一般的なアホの子とは印象が違う。

怒る時は怒るし、楽しいときは素直に楽しむ。
礼儀とか、社会性とかはほとんどない。
現代の「人間」として生きている我々が縛れている制約なんて関係なく、自分たちの気のむくままに生きている。
だからと言って他者を認めないわけではなく、個人の個性を尊重し、他者を他者として認め、付き合っていく。

こうした純粋なキャラの行動に、自然と癒やされる。

けものフレンズの原作は「動物」であると、コンセプトデザインの吉崎観音氏が語っていたが、動物らしい「純粋さ」、それが醸し出すこの作品ならではの雰囲気が大きな魅力だろう。

 

ロードムービー的な面白さ

この作品の魅力はもう一つある。

それは「ロードムービー」の面白さだ。

基本的には一話完結な話だ。
一話につき、一つの地方を舞台に物語が動き、その話の最後でその場で出会ったフレンズたちと別れて、新たな地方に行く。
かばんちゃんとサーバルちゃんという二人のメインキャラ以外はその話が終わったら基本的には出てこない。

この出会いと別れこそが、今作品のもう一つの魅力だ。
出会いと別れ、と言っても、涙を流して別れるような劇的な話ではない。
その場で出会って「友達(フレンズ)」になり、「友達」と別れるように別れていく。

このドラマチック過ぎない、丁度良い距離感が、我々の琴線に触れてくる。

 

主人公たちは目的なく、旅しているわけではない。
主人公の出自を知るために「図書館」に行くという目的が設定されており、そこに話数が増えるにつれ、近づいていくという流れだ。

このことにより、視聴者は一話完結ながらも、「物語が動いている」という感覚を持つことが出来るようになっている。

目的地に少しずつ近づきながら、旅先で出会った人々との出会いと別れを繰り返す。

意外と最近のアニメにはなかったこのロードムービ的な要素が、この作品の大きな魅力である。

アライさんとフェネックの存在の意義

こうしたロードムービ的な魅力をより一層引き立てるのは、アライさんとフェネックの存在だ。

毎話Cパートにて彼女らが主人公たちを追っていう様子が描写される。
そこでは、主人公たちが出会ったフレンズがおり、そのフレンズたちから話を聞いたアライさんが、また主人公たちを追いかけていく。

こうした形で主人公たちと同じように目的地に近づいていく様子が、また物語の進行を感じさせる。

このパートの一番の魅力は、主人公たちが会ったフレンズが再登場する点である。
別れたはずのフレンズにもう一度出会える、そのことが単純に嬉しい。

1話会っていなかっただけに、妙な懐かしさを感じるのがこの作品のすごいところだ。

毎話毎話、Cパートが非常に楽しみなアニメになっていた。

 

絶妙なシリアス

今作品で最も上手なのは、シリアスと日常を完璧に共存させている点だ。

この物語のメインは、フレンズとの出会いと別れ、つまり日常モノのようなゆるやかな雰囲気だ。

一方で、セルリアンの謎、主人公にだけ喋るロボット、時たまに示唆される「ヒト」の存在。
こうした様々な謎、伏線のようなモノが示され、そこからシリアスな雰囲気が醸し出される。
だが、決してその謎をメインに置いた、シリアスな展開にはならない。

『まどマギ』のように、日常から一気にシリアスになると、もう日常には戻ることは出来ない。
そしてシリアスに突入すると、視聴者は一気にシリアスな物語を見る目線になってしまう。
だから、登場人物の死などのシリアス展開にも、衝撃が薄まる。

だが、今作品はあくまでメインは日常の物語であり、不穏な雰囲気を漂わせつつ、最後まで『けものフレンズ』の作風は崩さない。
「シリアスのチラ見せ」、とでも言うのだろうか。
この作品はただの日常モノではありません、という主張をしつつ、決してシリアスには移行しないのが、非常にもどかしつつ、魅力的に感じてしまう。

 

あまりにシリアスの要素を押し出されると萎えてしまうが、この作品はシリアスの要素の出し方、「チラ見せ」が非常にうまかった。

その結果、「考察班」というものが現れ、Twitterなどを中心に話題を呼び、ここまで話題の作品になったのである。

 

成功する作品は常に「王道」

自分の主張である、「王道」展開こそがやはり面白い作品であり、世に残るのは「王道」作品だけだというのを、この作品は見事に実現してくれた。

視聴者が求めていたもの、それ以上のものを、圧倒的な完成度で届ける。
それこそがクリエイターであり、作品であると自分は感じでいる。

これを実現するには、やはり「王道」展開をするしかないだろう。

『けものフレンズ』、最終回は正に「王道」を実現した最終回だ。
この最終回を見るためだけでも、この作品を見る価値はあると言っても良いかもしれない。

それだけ素晴らしい物語の終わらせ方、必見だ。

 

序盤の糞アニメっぽさを耐えきれば

全体的に素晴らしいアニメではあるのだが、第一話、二話のオチも意味もない低クオリティなシーンを耐えれるかどうかが最大の山場だろう。
ここを耐えれば、この作品の魅力、見方が把握出来てくる。

最初は「名作」として期待せず、糞アニメを見るような気持ちで見るのをオススメする。

前期最大の話題作、話題になるだけの魅力はあったといえる作品だろう。

 


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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