何故こんな凡作に堕ちた? 「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 弐」(二期)レビュー!

   

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 弐 1 (特装限定版) [Blu-ray]

 放映時期  2016年10月~2017年4月
 原作 矢立肇、富野由悠季
 公式サイト http://g-tekketsu.com/

2015年に放映されたアニメ、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の続編。
地球での戦いを終え、自分たちの地位を築きつつある鉄華団のその後を描く。

 

評価点数:66点 ★★★☆☆(凡作)

 

※ネタバレを少し含みます

 

凡庸な物語がすべてを不意にした凡作

批判を承知で真正直な気持ちを言おう。

本作は「凡作」だ。

少なくとも、第一期に感じたあのシビれるような興奮は、本作からは見て取ることができない。
物語の中盤から続く平易で興奮のないシナリオは、予定調和の世界をダイジェストで閲覧しているかのようだ。
プロットは計画的に整備されているし、アニメーション作品としての完成度も決して低くはないのだが、本作についてはやはり、下らない物語が他の有り余る魅力をすべて押しつぶしていると思う。

 

何かに媚を売るかのように……

断っておくが、本作について好意的な評価を寄せる方は多いだろうし、その方々が感じた「面白い」という感情までも私は否定するつもりはない。

エンターテイメントとして極上とまでは言わないまでも、最初から最後まで、それなりに視聴者を楽しませた……そういう努力を惜しまなかった作品であることは事実だ。
ラストに向けた急展開は、多くの方々が何となく感じていた終わり方だろうし、別に違和感があるわけでもない。
本作のトータル的な完成度が、決して凡庸なSFロボットアニメのよくするところではない点については、私も同意する。
ガンダムという冠を外し、第一期や二期序盤の完成度の高さから来る期待値に目を伏せれば、決して悪い作品ではないのだろう。

 

ただ、本作において決定的にクオリティが低いのは、「物語」だ。

それはプロットの整合性や、伏線の構築術などといった技術的な問題とは全く別の要素である。
もっともっと、作品の根幹を織り成す根源的な要素だ。

 

本作終盤、私が見たのは、まるで何かに媚を売るかのような「堕ちる」展開である。

まるで高慢なスポンサーが、作品のラストはこうあるべきだと制作陣に展開を強要して、それで無理矢理つくらされたような物語が、そこに展開されていたのである。
懸命に生きていたキャラクターたちが、一足飛びにその「生き方」をはく奪されたかのようだった。

一体何故か、と思う。
あれだけ面白かった物語が、いつの間にか中身のない、弛緩した「あらすじ」に変わってしまった。
「こう終わらせなければいけない」という強い想いが、順風満帆だった物語を捻じ曲げたのだろうか。

 

わかりやすく、はっきりと問題を言う。

本作の物語は、中盤以降全くキャラクターを描いていないのである。

 

誰も精一杯生きていない

はっきりとポイントを指摘させて頂くならば、

ミカヅキ・オーガスは何に悩み、何と戦ったのか?

というのが一番わかりやすい。
主人公であるはずのミカヅキは、最後の最後までオルガ・イツカの手から離れることはなかった。
言ってみれば、「カミナの死なないグレンラガン」のようなものだろう。
ミカヅキ一人ではなく、鉄華団はすべからくオルガ・イツカの懐に抱かれていて、そこに団員自身の主観から来る生き様は存在しなかった。

 

故に、具体的に言えば、

本作の登場人物で、真剣に悩み悔やみ泣きながら答えを探したキャラクターはいるのか?

というのが、私が本作に対して懐疑的である最たる理由だ。

 

本作の中盤以降、ひたすらエピソードが山積されて、その消化にかかりきりになる。
その際に、エピソードに伴って、キャラクターをしっかりと描写できていればいいのだが、その気配は全くない。
目の前で何かが起きて、杓子定規に悩む様子は見せるものの、そこに本作のキャラクターらしい「肉付け」は皆無だ。

極端なことを言えば、この話をするのなら、オルガは鉄華団の内部メンバーに刺殺されるべきだと思う。
そうすれば、鉄華団内部の様々な意見の違いと、それに伴う団員の懊悩は計り知れないものになっただろう。
現実の本作においては、「オルガを信じて進むぜ!」が団員の合言葉で、その団員の一図さはまるで50年前の子供向けアニメのようでさえある。
心情の精緻な描写を要求される近代ストーリーテリングでやるべき内容ではなく、畢竟キャラクターの描写も、一切感じられないという「ヌルイ」展開に終始してしまっているのだ。

このように、「精一杯生きたキャラクター」を感じられなかったからこそ、私は本作を「何かに媚を売った制作側が捻じ曲げた物語」だと思ってしまうのだ。

 

英雄を描破できなかった現実

前述の「オルガを信じて進むぜ!」論を是とするのならば、本作において物語上のキーになったキャラクター、つまり本作の主役は、ミカヅキ・オーガスではない。
真の主役になりえた存在を探すとすれば、鉄華団の総帥であり、すべてのキャラクターをその懐に抱くオルガ・イツカと、唯一彼の懐から主体的に逃れ出たタカキ・ウノの2人だろう。
ここにマクギリス・ファリドを加えた三名が、本作の中核となるべき存在だったことは疑いない。

 

まず、オルガ・イツカについて言えば、二期に入って制作側が彼を持て余した印象を受ける。
つまり、オルガをどう描くべきか、基本的なラインを定めないままに物語が構築されたように見えるのだ。
何しろ二期のオルガには、全く決断の機会がない。
状況に流され、可能性に流されたまま、わかりやすい方向に流れついたというだけに過ぎない。

このオルガ・イツカは、恐らく多くのファンの期待を完全に裏切っただろう。
オルガが一期の頃のような輝きを魅せるのは、小物を蹂躙して「オトシマエ」をつけるときだけだ。
鉄華団の長である彼は、団員から見ても、そして視聴者から見ても、「本作最強のキャラクター」でなければならなかったはずだが、残念ながら本作のオルガは、状況に流される中間管理職でしかなかった。

それが彼の能力的限界だと言うのなら、それでもいい。
だとすれば前述のとおり、彼の能力的限界に対する団員の反発、または妄信的な団員に対するアンチテーゼを、もっと魅せるべきだった。
モビルアーマーなどというどうでもいい無機物の相手などさせる間に、描くべきエピソードは無数にあったはずだ。
そしてそのための要素は、きちんと整っていたのである。

 

さて、その最大の要素たるタカキに至っては、まさかの扱いである。

取り扱いなし。

その後の彼については、後日談まで一切触れられない。
こんな衝撃的な展開があっていいのか。
オルガの庇護のもとから自分の意志で抜け出した彼は、きっと鉄華団に対するアンチテーゼとなり、最後の再び仲間の元に集うのだろうと、そういうシナリオを期待していた私の高揚感を返して欲しいww

 

また、マクギリスは面白い存在だったが、残念ながらやることなすことすべてが小物だった。
彼は優秀なパイロットではあったが、それ以上の存在ではなかったのだろう。

このマクギリスの描き方に、本作の技術的な限界が見て取れる。
オルガの魅せ方にしてもそうなのだが、ようするに本作は、

英雄を描こうとして失敗した

感がものすごく強いのだ。

後世の歴史家にマクギリスの評価を尋ねるとすれば、「血気盛んに反乱を企てた偶像崇拝家。青年将校を引き連れてマクギリス・ファリドの乱を起こしたが、あまりにも勝算がなかった」という程度にしか認識されないだろう。
いわゆる、ただの「タカ派」である。
英雄としての側面を、第一期の彼は完璧に満たしていたのだが、バエルという偶像崇拝を持ち出したあたりから限界が知れてしまう。これがマクギリスについては決定的であった。

英雄は、偶像になど頼りはしない。
英雄は自らの知略と信じあう仲間たちとの絆によって勝つのだ。

そして英雄はその力故に負けてはならない。
負けるとすれば、己の足をすくう小さな裏切りによって、奇跡を起こし損ねるという負け方でなければならないのだ。

 

逆説的に言えば、この物語は元々「等身大のキャラクターを描くつもりがなかった」という可能性もある。
オルガとマクギリス、二人の「英雄」が重なり合う一大歴史絵巻を、銀河の歴史に掲げたかったのかもしれない。

まあ、描けなかったわけだが。

そう考えれば本作後半の失速感は、「全然面白くない時代を大河ドラマにしちゃった!」感に、僅かに重なるような気もする……かなぁ??

 

何故ハッシュがガンダムに乗らないのか

本作開始時点では、先述した3名以外にも、本作における物語のもう一人の主役(候補)がいた。

第二期から登場する、鉄華団の新入団員、ハッシュだ。

 

二期の第一話を見たとき、思わず膝を打ったものだ。
「こういう手法で来たか!」と思った。
ミカヅキという超人キャラを頂きに据えた上での、実質的な主役交代。
二期の、少なくとも前半においては、このハッシュという新キャラクターが物語の中軸に据えられるものだとばかり思っていたし、実際ハッシュら新隊員は、「鉄華団という完璧な集団に対するアンチテーゼ」という一期では描けなかった要素として、第一話では完璧に機能していた。

集団の中に混じる異物と、そこから生じる亀裂。
その中で生まれる懊悩の中で、下される決断から創られる「明日」。

ミカヅキという巨大な壁に悩みながら、ハッシュがエースへと成長していく。
新入団員たちは亀裂を生じながらも、それぞれがきっちりと成長して、それぞれの答えを見つけていく。
そういう成長譚が繰り広げられることを、期待してやまなかったのだ。

 

だからこそ言わせてもらう。

何故ハッシュはガンダムに乗らなかったのだ?

 

彼が主役への成り上がりを断念し、ミカヅキさんパネェっす要員に堕ちてから、物語が失速した感は否めない。
重ねて言うが、本作には、描くべき要素は無数にあったのだ。
ハッシュら新入団員にを懇々と描くことができれば、鉄華団はもう少し血の通った組織として描くことができただろう。

盛大に用意した伏線を、一切消化しないままに終わった……それがこの二期だ。
傑作たりうる要素は無数にあったのに、モビルアーマーなどという何の感情も錯綜しないお話を展開して、無駄に話数を過ごしてしまった。

無念、というよりほかにない。

 

私が期待していた妄想を晒そうw

もうこうなると完全に妄想の世界だが、例えばこれがSEED的なノリだとどうなっただろう。

努力の末戦闘でエースに成長したハッシュは、しかしある作戦で行方不明になってしまう。
そこで鉄華団を脱退したタカキと出会い、なんやらあって陰謀の影をつきとめ、なんやらあってガンダムを手に入れ、そしてマクギリスの嫁であるロリっ娘とかも絡んで、みんなで鉄華団を助けに新型ガンダムで出撃するのだー!
もちろん新ガンダム登場シーンのBGMはMeteor(ミーティア)でお願いします!

…………リアルに物語序盤での勢いだと、ラストはこんな感じになると信じてたんだよねぇ( *´艸`)

 

ちなみに。

一期のED(最初)で、オルガとミカヅキが三叉路に走っていくから、オルガとミカヅキは決別するとも思ってました。

二期のED(最初)を見たとき、クーデリアだけ去っていく演出だったから、鉄華団とクーデリアが決別するという予想も立てました。

懐かしい青春の日々よww

 

凡庸な物語こそが最大の欠点

私はこの終わり方があまり好きではないが、別に結末そのものが決定的にダメだとは思わない。
ただこの結末が、本当にキャラクターたちが悩み、苦しみ、戦い抜いて選んできた道の終着地だとは、どうしても思えないのである。

 

彼らは確かに、あまりにも矮小な任侠組織のような存在でしかない。
年齢も若く、経験も薄く、そんな彼らがあんなに厳しい世界で何ができたのかと言われれば、確かに難しい。

 

しかし物語とは、困難を克服するものである。

そして第一期は、そんな難しい状況を克服して成功を掴んだのだ。

 

最初から決められた坂道を、決められたように転げ堕ちた。
そしてそれは、懸命にもがいた末の結果ではない。

ただし、私はキャラクター批判はしたくない。
本作の登場人物たちには、第一期には非常に魅せられたものだ。
故に、登場人物のキャラクターメイキングが不足している、というような批判は絶対にしたくない。

なので、

「本作の欠点は、キャラクターを描けなかった凡庸な物語にこそある」

という結論を、レビューの締めとしたい。


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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