慎二の表情から分かる、スタッフの愛 「Fate stay night Heave's Feel 第一章」 レビュー

   

公開日 2017年10月14日
原作 TYPE-MOON
公式HP http://www.fate-sn.com/

あらすじ
聖杯戦争に巻き込まれた、衛宮士郎の戦いを描く。

評価点数:95点 ★★★★★(名作)

 

※ネタバレあります

間違いなく最高の映像化作品

今までのFateという作品は3回(外伝を含めればもっとだが)、アニメ化された。

スタジオDEEN製作のものが2つ、ufo table 製作のものが1つ。

正直、自分は原作への思い入れが強すぎて、どの作品も素直にたのしめなかった。
世間的には好評だったufo版も、原作を再現しすぎたことによるテンポの悪さ、ゲイボルクやロー・アイアスの演出のコレジャナイ感などによる不満があった。

正直、自分はFateのアニメ化では心から楽しむ、納得することはないのだろうと思った。
奈須きのこの文章とノベルゲームとは思えない激しい演出が生み出す迫力には、アニメーションを持ってしても敵わないだろう。
ゲームだからこそ、Fateの重厚なシナリオは輝くのであり、アニメ化しては逆にテンポが悪くなり、駄作となるのだろう。

そうした諦めを、自分は持っていた。

 

しかし、その予想はこの映画であっさりと覆された。

テンポ、追加シーン、戦闘シーン、全てが最高といえるクオリティの作品であった。

 

大胆な判断による心地よいテンポ

原作のゲームは、全ルート合わせると70時間を超える大ボリュームだ。

それをそのままアニメ化すると、まずテンポが非常に悪くなる。
ufo版のUBWルートは、丁寧に原作を再現していたが、それゆえに終盤はテンポが悪くなっていた。

 

今作品では、いまのところそうしたテンポの悪さは全く感じられない。

まず、Fateファンにはお馴染みのプロローグ(セイバー召喚から教会まで)はほぼカットという大胆な編集になっている。
聖杯戦争の長々としたルール説明もない。

Fateの代名詞とも言える、
「問おう、貴方が、私のマスターか。」
このセリフまでカットだ。

これによって初見バイバイな作品にはなってしまったが、その分序盤からハイペースで作品が進み、原作ファンとしてはとても心地よい。

そもそも桜ルートは原作の3週目にあたり、まず普通にプレイしているなら最後のルート言うべき存在である。
そのアニメ化の作品にFate初見で来る方が間違っているのだ。

 

この大胆なカットは非常に好感を持てた。

他にも、おそらく細かなシーンはカットしているのだろうが、自分のような原作の記憶があやふやなものにとっては何も違和感を感じなかったため、かなり自然な編集がされているのだろう。

原作の圧倒的な文量に、映像化でグダるかと思ったが、今作品に関して言えば、それは杞憂に終わった。

 

カットばかりではない。追加シーンの「分かってる感」

原作からの大胆なカットによって、テンポは良くなった。
しかし、それによって作品が薄くなったり、ダイジェスト感が出たりはしない。

そうしないように、今作品は追加シーンが多く存在する。
その追加シーンも、そこを入れてくれるか!という、「分かってる」感が出る素晴らしい追加シーンばかりだ。

 

冒頭からここをアニメにしてくれるのか!
という嬉しい追加シーンで始まる。
それは、桜が初めて衛宮家を訪問するシーンだ。

そこで、士郎と桜が一緒に生活していく中で、少しずつ打ち解けていく過程が描かれる。

この過程、演出も見事なもので、少しずつ和らいでいく桜の表情、士郎の彼女を受け入れていく様子。
それらが丁寧に描かれ、このシーンだけでも劇場に見に行く価値があるかもしれない。
そう思わせるシーンであった。

正に、この作品は「桜の物語」であると、示した素晴らしい導入だった。

 

ufoの名に恥じぬ高クオリティな戦闘シーン

そして、今作品の目玉となる追加シーンが、ランサーとアサシンの戦闘シーンである。

これは、原作にもあったシーンだが、原作では、一瞬の描写である。
もちろん、あのランサーが一瞬で倒されたという短さゆえの衝撃もあったが。

 

今作品では、その戦闘シーンに大幅な追加がされている。
夜の新都を、ランサーとアサシンがド派手なバトルを繰り広げながら駆け回る。

作画的な迫力もあるが、新都を走る車やビルをアクションの演出に取り入れることで、よりサーヴァントの化物っぷりがよく分かる。

 

基本的に、桜ルートは目立つ戦闘シーンが少ない。
終盤になれば熱い戦闘シーンが多いが、中盤まではかなり地味な展開が多い。

それゆえ、序盤は導入的な地味な映像になるかと思ったが、このランサーとの戦闘シーンのお陰で、派手な映像が取り入れられ、映画全体に締まりが出た。

大幅なカットをしてでも、この戦闘シーンを増加させようと決断したのは大成功だったと言えるだろう。

 

些細な表情まで、愛情が伝わる演出

今作品を見ていて思うのは、キャラの表情から仕草まで、画面の中の全てが、何かしら意味を持っているかと思うくらい、考えられている。

そして、その演出や仕草に、とても強い愛情を感じられる。

ただ単に桜が好き。そういう単純な愛情ではなく、今までのどのルートよりも、キャラたちの感情が渦巻く、この桜ルートが大好きなんだ。
そういう製作者たちの強い愛情が感じられる。

 

桜のリボンを触る仕草など、正にアニメでしか表せない感情の動きを見事に表現している。

しかし、自分が個人的にこの作品で最も表現にこだわりを感じたのは、間桐慎二の表情だったりする。

 

慎二の表情の描写の細かさ

慎二といえば、イメージとしてはかませキャラであり、決してカッコイイ人物ではない。

しかし、ある意味もっとも人間らしいキャラとも言える。
自己中心的で、見栄っ張りで…
多くの人物に嫌われており、友達として付き合ってくれるの衛宮士郎くらい。

そんな慎二の、衛宮士郎への複雑な思い、それを見事にこの作品は表現している。

 

原作にもあるのだが、慎二が士郎に弓道場の片付けを頼むシーン。
嫌味ったらしく頼む士郎に対し、全く怒ることなく、受け入れる士郎。
殴れるもんなら殴ってみろというような、ニヤついた顔を浮かべていた慎二だったが…

彼の表情がどのように変化したか。
その変化が表す、慎二と士郎の関係、うっすらと感じられる慎二の士郎への思い(ホモ的な意味ではなく)。

酷く歪な士郎と慎二の関係を、見事にあの1シーンの表情だけで描き切っている。

 

このシーンは、「アニメ(映像)の力」を一番良く現している。

今作品の中で一番印象深いシーンであり、お気に入りのシーンだ。

 

とにかく原作ファンなら見に行け!!

桜ルートが好きで、この作品を見てない人は、本当に愚か者だ。
今すぐに見に行くことをオススメする。

逆に、自分のように、桜ルートに思い入れがない人にも、オススメだ。

「あれ、こんな面白かったけ…!」と、新たな桜ルートの面白さ、発見をしたくなるだろう。

 

逆に、原作を知らない人、特にFGOしか知らない人なんかにはオススメ出来ない。
しっかりと2ルートを(最低アニメ版でも良いから)経験しておかないと、前述した大胆なカットのせいで、置いてけぼりをくらってしまう。

その点だけは注意だ。

 

長々と書いたが、気に入らない点がない、というくらい優れた映像作品だったと思う。

是非、劇場に足を運んで欲しい作品だ。

 

桜ルート中盤の中だるみをどう解消するか。
終盤の怒涛の戦闘シーンがどう映像化されるか。
今後が非常に楽しみである。


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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