これぞラノベ!これぞアニメ!「落第騎士の英雄譚」レビュー!!

      2016/08/30

落第騎士の英雄譚 < キャバルリィ > 第1巻(イベントチケット優先販売申込券付) [Blu-ray]

放送時期 2015年10月~12月(全12話)
原作 GA文庫「落第騎士の英雄譚」
海空りく
公式HP http://www.ittoshura.com/

己の魂を魔剣に変えて戦う現代の魔法使い≪魔導騎士≫
その学園に通う黒鉄一輝は、魔導騎士としての能力が低すぎて留年した≪落第騎士≫だったが……。

評価得点:★★★★☆ 80点(良作)

 

※ ネタバレ有につき、ご注意の上お読み下さい。

 

いきなりラノベ感満載のドン引き展開に絶句も…

この作品の冒頭1、2話を見るだけで、ライトノベルというコンテンツの抱える潜在的な問題を総覧したかのような錯覚に陥る。

旧来、ライトノベルというのは「今までの文学作品の枠を超越する何でもアリ感」が勝負だったはずだが、昨今は下らない下ネタ&ハーレムテンプレートに準拠することが、業界の不文律にでもなっているかのようだ。
もちろん、そのテンプレートを守らない作品は(特に新人賞系)に多分に存在するし、テンプレートを遵守して尚面白い作品が存在するのもまた事実なのだが……。

 

ともかくも、「落第騎士の英雄譚」である。

魔法剣士たちの学園、というシンプル&ファンタジックな設定は、やたら説明の難しい不思議設定が横行するアニメ&ラノベ業界にとってはむしろシンプル。
魔法の才能を剣にのせて戦う生徒たちが、「七星剣舞祭」という魔法剣士の全国大会の出場権をかけて校内予選を戦う、というのがこのアニメの主な流れだ。

主人公である黒鉄一輝は、全く魔法の才能がない留年生(Eランク騎士)。
そんな彼が、天才であるAランク騎士の転校生、ステラと出会うことから物語がはじまる。

 

……のだが。

 

この出会いがいかにもという感じ。
多分多くの人は「ラノベテンプレきたw」と思って引く。間違いない。

出会いエピソードの作成はとても難しいので、テンプレ化された手法に頼るのはある意味仕方が無い。
仕方ないのだが、ゲッソリするのも仕方ない。
というのも、今までこういったテンプレを踏襲した今までのラノベアニメたちの大半が駄作であったために、印象がとにかく悪いのだ。

 

この「ラノベテンプレ感」は延々と続く。

無駄にモテまくる主人公。
たっぷりと用意されたお色気シーン。

様々な「こういうラノベアニメってクソだよね」展開が続いていく。
本来なら、切って然るべき流れではあったのだが…………。

 

 

そのうち、「テンプレ」とか「ラノベ」とか、そんな下らないことはどうでもよくなってくる。

 

物語の魅力とは何か、を教えてくれる作品

この作品が他のアニメより突き抜けて長じた点があるとすれば、それは人公である黒鉄一輝がカッコイイという点に尽きる。

いや、一輝だけではない。
基本的に登場するすべてのキャラクターに魅力があり、それぞれがカッコイイのだ。
展開やエピソードがテンプレ準拠だとしても、キャラクターには明確な個性がある。

 

そのキャラクターたちの織りなす物語は、何をどう取っても、もはやテンプレなどではありえない。

紡がれる物語は一級品であり、錯綜する想いや交錯する剣戟はキャラクターたちの血潮そのものだ。
凡百の物語では、絶対にたどり着けない一つの高みが、そこにある。

 

ステラ・バーミリオンの立ち位置に見る、本作の魅力

本作を象徴する例の一つが、ヒロインのステラ・バーミリオンだろう。

ステラはすぐに主人公にデレるし、「露出狂かっ!?」と思うほどお色気シーンも満載だ。
導入部分だけ見れば、最近のラノベによくいる「安い女」でしかない。

 

しかし、その立ち位置はすぐに否定される。

物語の比較的序盤で、ステラは雄々しく一輝に告白する。
それまでのナヨナヨとした偽ツンデレ時代はあっさりと終わり、二人の関係は恋人というステージに昇格するのだ。
これにより、一連のまどろっこしいハーレムアニメ臭は一気に薄くなる。(バンザイ!ww)

 

この告白シーンが非常に「漢」なわけで、ステラが「安い女」から「いい女」に昇格するシーンなわけだが、そもそも本作においてステラの立ち位置は実に巧みだ。

ステラ・バーミリオンを至高の存在へと押し上げているのは、ただ単に彼女が激萌えツインの超絶ヒロインという理由ではない。
彼女が「主人公の最大の理解者にして最大のライバル」という地位にいることだ。

 

学園都市アスタリスクとの比較がわかりやすい

同時期にやっていた、「学園都市アスタリスク」というアニメと比較すると、この作品の魅力はとてもわかりやすい。

同じような剣&特殊能力の学園アニメで、大会のようなものを勝ち抜いていく。
ヒロインは天才剣士で、主人公はそれより更に強い。
……本当に似たようなアニメなのだが、中身(本当の意味での中身)は全くと言ってよいほど違う。

 

比較的すぐにヒロインが「デレる」のは共通だ。
だがその後の扱いは、決定的に異なる。

 

「学園都市アスタリスク」では、主人公とヒロインはすぐに、大会にて背中を併せて戦う「パートナー」になる。(剣のアニメなのに、2対2のチーム戦なのだw)
ヒロインは素直になれず、ハーレムは延々と続いていく。

一方で「落第騎士の英雄譚」では、一輝はステラを「七星剣舞祭の決勝で戦いたい相手」と言い切っている。
ステラは一輝に告白したし、その後素直になれないステラに改めて交際を申し込んだのは一輝だ。

 

これこそが、黒鉄一輝とステラ・バーミリオンが放つ、本作の硬質な魅力そのものだ。

もし、「落第騎士の英雄譚」の大会が2対2方式だったとして(そもそもそんな剣術を魅せにくい戦闘方式をとるかは別問題だが)、果たして一輝とステラはパートナーになるだろうか?

 

……「絶対にNO」だろう。

 

一輝は「卒業するには大会での優勝が必須」という厳しい立場だが、ステラという剣士は、一輝にとってそれほど「安く」ないのである。

これは戦闘狂・剣術バカとしての一輝の本質だ。
それはかつてドラゴンボールの孫悟空がそうだったように、剣術家である宮本武蔵が強い敵を求め歩いたように、物語の主人公として多くの人を惹きつける、求道者としての魅力なのである。

 

また、脳に必要な栄養分がすべて胸に集約してしまったかのようなデレ方をしている(w)ステラだが、本質的には彼女は誇り高い剣士だ。
もし一輝がタッグパートナーになってくれと、彼女を求めてくるような人間であれば、そもそも彼女は一輝に惚れていないだろう。

……まあステラの描かれ方を見ていると、コロっとなびいてしまいそうな気もするがw

 

忘れている人たちは思い出して欲しい

一時期のラノベに蔓延した惰弱主人公ブームを例に取る間でもなく、ライトノベルの男性キャラクターは無個性で無機質な魅力のないタイプが多い。
偏見もあるかもしれないが、イラストレーターも明らかに「女だけ書いてましたw」みたいな絵師さんが多すぎて、主人公のデザインは往々にしてモブキャラチックだ。

 

だが、我々が物語を見るのは、本来「ヒロイン」目当てでも「世界観の独特さ」や「目新しい設定」目当てでもない。
少なくとも、アニメやマンガを読みあさっていた幼い頃に私たちが惹かれていたものは、間違いなく「主人公」だったはずだ。

「落第騎士の英雄譚」には私たちが過去に憧れた主人公の姿がある。
そしてその周囲には、魅力溢れる、明確な目標と意志を持ったテンプレではないキャラクターたちが並んでいる。

そんなアニメが、駄作であるはずは決してないのだ。

 

それでも苦言を呈すなら~本作が「傑作」でない理由~

これまで激賞を重ねてきたが、それでは何故本作は80点という点数で評価したのか。
「良作」という評価に止まったのは何故かを、最後に説明したい。

 

序盤の展開は「許せる」が…

もちろん、その理由の一端に「序盤のゲッソリ感」が無いわけではない。

無駄に挿入されたお色気シーンや、一輝に恋するステラがハーレム成立のためにご都合主義的に描かれている感は、本作の神聖な面白さを汚すものだ。
ステラ・バーミリオンをもっと高潔な騎士として描いていたら、本作の評価はもっと上がっただろう。
彼女のシーンは過半が一輝に対するデレで描かれており、もっと上手い見せ方は様々に出来たはずだ。

 

円盤を売るため、という大人の事情もあるだろう。

決して許せないほどの展開ではない。
ただ、この作品を作り上げた作者ほどの能力があれば、もっと魅せることはできたはずだ……。

 

最大の問題は雷切戦直前にあり

序盤は、まあ「許せる」。

大会開幕から、どんどん盛り上がる。

剣士殺しではゾクゾク来る。最高だ。

 

……問題は、ラストである。

雷切との対決は最高だ。
最後の一線は、「予算に限界はあったけどとにかく頑張った!」というシーンであり、絶賛とは言わぬまでも拍手を送りたいシーンではある。

問題はそこに至るまでの展開で、一輝が悩み苦しむ中から、復活する流れだ。

 

一輝を復活させるのは、ステラの背中でなければならなかった。

 

ステラ・バーミリオンは本作中で苦戦するシーンさえない。
「決して才能だけの騎士ではない」という彼女のエピソードに触れられることは一切なく、とにかく予選を全勝してしまった。

そうではなかったはずだ。

尺の都合は当然あっただろうが、強敵に苦戦し、それでも戦う……約束の場所を目指すステラの姿だけが、一輝を復活させるのに相応しかったと、私は思う。

 

挿入歌の素晴らしさもあって、それなりの良シーンには見えるが、キャラクターは悩み・苦悩を一人で解決してはいけない。
彼・彼女と影響する誰かに触れることで、物語は前に向かうべきだ。

 

ステラ・バーミリオンは良いヒロインで、「いい女」であり、「漢」でもあった。
このアニメを高いレベルに引き上げた、素晴らしいキャラクターであることは間違いない。

だからこそ、もう少し彼女を描き切れれば、この作品は本当の意味で「名作」足り得ただろう。

 

二期は厳しいかもしれないが……是非続きが見たい。

そして久しぶりに、ライトノベルが読みたくなった一作である。

 


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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