花田十輝による完璧なアニメ化 「STEINS;GATE」 レビュー

      2018/07/17

放送時期 2011年春アニメ
原作 5pb
公式 http://steinsgate.tv/index.html

あらすじ
秋葉原を拠点とする小さな発明サークル「未来ガジェット研究所」のリーダーを務める大学生の岡部倫太郎は、研究所のメンバーの橋田至や幼馴染でもある椎名まゆりと共に、日々ヘンテコな発明を繰り返していた。
ある日、岡部はまゆりと共に向かった講義会場で天才少女の牧瀬紅莉栖と出会う―

評価点数:94点 ★★★★★ (名作)

 

原作の良さを完璧に再現したスタッフに感謝

もはや知らない人は居ないといえるくらいのコンテンツになった作品、シュタインズ・ゲート。

原作はノベルゲー(ギャルゲー)。
文章を読みつつ、選択肢によって物語が分岐していく作品。

今作品はそのアニメ化作品である。

 

非常に完成度の高い原作を、どのようにアニメ化するか。
それがこの作品の完成度を決めると言っても過言ではなかった。

結論から言えば、このアニメ化は完璧だ。

作画、演出、音楽。
そして何よりも、脚本と構成。

さすがベテラン花田十輝が脚本・構成を務めているだけある作品であった。

 

今作品の魅力と、原作の魅力を余すことなく(むしろ増大させて)伝えたアニメの魅力を伝えていきたいと思う。

 

一気に爆発するSFの魅力

この作品の表面上の魅力は、独特なSF設定の魅力だろう。
このSF設定の描き方が非常に上手い。

今作品は、SFの中でも、「タイムリープもの」な作品だ。
何回失敗しても、主人公はゲームのように過去に戻ってやり直すことができ、大きな目標を達成すべく試行錯誤する。
何度も同じ時間軸を繰り返す作品である。

こういった作品では、この試行錯誤の繰り返しが作品の魅力をなす。
この行動はどういう変化を作るのか、ある結果を作るのは、どういう行動をすれば良いのか、まるでゲームのプレイヤーになっているかのような気持ちを視聴者に抱かせることができるのはこういった作品の最大の魅力だ。

 

ただ、シュタゲの最大の魅力はここだけでない。

日常からSFへの移っていく過程の上手さ、それが生み出すキャラの爆発力こそが今作品の最大の魅力である。

 

長過ぎる日常パートが”タメ”になる

今作品の冒頭の展開はかなり地味だ。

バナナを温めるとゲル状になるという、変わった性質を持つ「電話レンジ」という電子レンジを作ってしまう主人公たち。
想定外の機能を持ったこの機械に対して、様々な試行錯誤を行っていく。

序盤はひたすらこの「電話レンジ」に対する機能実験のシーンが続く。

何でバナナがゲル状になるという結果に対してその原因を探るのを5,6話使う。
そこで除々に新しい「電話レンジ」の機能が見つかったりと、少しづつ進捗はあるものの、展開自体は地味だ。

さらに、主人公は暇な大学生達で、本職の研究者ではないので、実験に関してもいわゆる「遊び」である。
そのため、シリアスな雰囲気は全くなく、日常パートがずっと続いていく。

 

しかし、そこに、本当に少しずつだが、シリアスなムードが流れ始める。

俺らがやってること、マジでヤバくね??
そういった雰囲気が作品に流れ始める。

普通だったら、そういう流れに逆らわず、作品全体の雰囲気がシリアスになる。
しかし、今作品はそうはならない。

 

それは、主人公である「オカリン」こと「鳳凰院凶真」が存在するからだ。

彼は、凄まじい厨二病である。
懐かしの「エル・プサイ・コングルゥ」ネタを多様し、ギリシャ神話から単語を引用し、通話相手の居ない携帯に向かって組織の仲間(勿論、脳内設定であり実在しない)に話しかけたりと、やりたい放題だ。

彼が、シリアスになりがちな雰囲気を一気にコメディにより戻す。
だからこそ、作品内は明るい雰囲気だし、彼を中心としたコメディな関係によって、周りのキャラの魅力をしっかりと味合うことができる。

平和な世界だからこそ、しっかりとキャラの良さを認識できるのだ。
いきなり人が死んだりする世界で、普段どんなやつなのか分からないまま、キャラが死んでも全く心は動かない。
日常シーンでしっかりとキャラに対し愛着を持つからこそ、シリアスなシーンの魅力が爆発するのである。

そのことをこの作品はよくわかっていた。

 

そして、タメにタメたシリアスモードはある事件を契機に一気に爆発する。

あれだけコメディアンだった主人公が狼狽し、作品全体の雰囲気が180度変わる。
そこで、本格的にこの作品はSF作品として輝く始めるのである。

もともと、レベルの高かったSF設定に、シリアスが加わることで、更により完成度の高いSF作品へとなっていく。
そして何より、長い日常パートで培われたキャラへの愛着により、ドラマが劇的に面白くなっていく。

 

全てを支え、魅力を作るのはキャラ

今作品がこれだけ名作とされ、人気であり続けるのは、キャッチーなSF設定に甘えず、その設定の上で動くキャラクター達にしっかりと焦点を当て、そこを描いているからである。

先述した日常パートも、そこからタメた後のシリアスなSF展開も、よく見ればキャラを描くためのものだ。

タイムリープを繰り返し、各ヒロインの心・物理的な問題を解決する。
そこにはキャラ同士のドラマがある。
SF展開が見せたいのは、設定ではなく、キャラなのである。
物語が面白くなるのは、設定でも世界観でもなく、キャラによってのみ成り立つ。
そのことをこの作品はよくわかっている。

 

カッコいい主人公

ギャルゲーの主人公はカッコよくなければいけない。
それが自分の主張だ。
異論はもちろん認めるが。

今作品の主人公、オカリンは、まさにカッコいい主人公である。

彼に特殊な能力は殆ど無い。
観測者としての能力しかなく、非常に無力だ。
また、ラボのリーダーだが、ハッキング能力や高い技術力を持っているわけではない。
そして、厨二病である。

こうして書くと、周りに美少女が集まっているのが不思議なダメ主人公である。
だが、この作品を見終わると、視聴者は間違いなくオカリンのことを好きになっているのだ。

 

その理由は様々だが、見た目はコメディアンでも、芯はしっかり主人公をしているのが一番大きな理由だろう。

ラボメンという仲間をしっかりと守る。
幼馴染のまゆりを本当に大切にする。
その姿勢から、こいつは本当は悪いやつじゃないことを視聴者は知る。
主人公たる人物だと。

しかし、彼はコメディアンな姿勢を崩さない。
だからこそ、より魅力的なのだろう。
ここがこのキャラのポイントだ。

真面目な主人公だけじゃなくて、マヌケで、変人なところをしっかり見せる。
一生懸命虚勢を張る。
カッコつけすぎて、逆にかっこ悪い、でも本当はカッコいい。

この隠れた魅力を視聴者が見つけるような感覚が、よりオカリンを好きになる理由なのだろう。
カッコいいことをしても、当然のようにし、あからさまに見せつけるような主人公とは違うのである。

 

それに、彼の独特するぎるキャラは良くも悪くも作品の雰囲気を作り出している。

だからこそ、物語の中心に居続けられるし、視聴者も納得して物語を見れる。
本当に個性的であり、魅力的な面白いキャラだ。

 

アニメとしての実力

以上は、正直アニメとしての実力というよりも、原作からある魅力だろう。
アニメとしてのこの作品の魅力は何なのだろうか。

 

まず1つは、しっかりと原作の魅力をアニメ化している、これに尽きるだろう。

当然といえば当然の話だが、これをできていないアニメが多いだけにこれだけで高評価だ。
作品としての軸を全くブレることがない。
原作とアニメで主張していること、作品の根幹的な魅力が異なっていないのだ。
(本来ならこれは当たり前なんですがね…)

 

何より、一番の魅力は、ベテラン花田十輝氏による素晴らしい構成だ。

アニメというのはゲームと違い、約24分で、1話という区切りが強制的に設けられる。
この24分に、イントロ、盛り上がるところ、小休止、最後に次の話への引き。
これらの要素がしっかりと入っているのが名作の条件だ。

ゲームからただ単にそのままアニメに落とし込んだだけでは、こうはならない。
しっかりとゲームの全体の構成を把握した上で、TVアニメとしてどのような構成にすれば魅力的になるのか。

それをしっかりと考え抜いて、作られた構成だと感じた。

本当に毎話面白い。
特に、ダルくなりがちな序盤も、しっかりと次話への引きを作ることで、視聴を継続できるようにしている。

 

叩かれる作品もあるが、個人的には花田十輝氏の脚本や構成が自分は大好きだ。
よりもい、ゼノグラシア、ユーフォニアム…

そんな名作に違わず、今作品も見事に名作へと仕立て上げてくれた。
金田十輝、黒田洋介、倉田英之は個人的に大好きな脚本家です。
(いつか脚本家を分析するブログでも書こうかな…)

 

素晴らしい原作を、見事にアニメ化した名作。

完璧なアニメ化と言えるだろう。

特に、今作品において、脚本・構成である花田十輝氏が果たした役割は大きい。
初見の人も、原作からのファンも、両方にオススメできる見事な作品だ。

 

ちなみに、現在(2018年春から夏)にかけて放送している、「シュタインズ・ゲート・ゼロ」へとつながるように、最近の再放送では別のEDを迎える話が追加された。

dアニメストアでは、それも視聴できるので、見放題配信サイトで見るのが良いと思う。
今から初見の人は、元々あるEDではなく、追加されたEDを見てから、ゼロを視聴し、最後にまた今作品の正規EDを見ると良いだろう。

というか記憶を消して私もそうしたい。

 

 


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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