”共感による笑い”を作り出せた、独自のキャラ付け アニメ「ヒナまつり」 レビュー

   

放送時期 2018年春アニメ
原作 大武政夫
公式サイト http://hina-matsuri.net

あらすじ
暴力団組織、芦川組で頭角を現す「新田」の自宅に謎の少女「ヒナ」が現れた。
新田はヒナの強力な念動力で脅され、衣食住を提供。
優雅な独身生活を失うと同時に、ハチャメチャな日常が始まる。

 

評価点数 85点 ★★★★☆

 

ギャグ作品にあるまじき、独特なキャラ

本作品は、超能力少女、「ヒナ」がヤクザである「新田」という男に拾われるところから物語は始まる。

彼女を中心に起こる超能力ハプニングが今作品のギャグのメインになっている。
なっているが、一番の魅力は超能力によるハプニングそのものではない。

 

それに対する新田を始めとする、他のキャラの反応、そこから見えるキャラ達の個性こそが、今作品の一番の魅力だと思っている。

今作品のキャラ付けを、一言でいうと、”リアル”だと思う。
今作品のキャラはギャグ作品の登場人物にしては、不思議と落ち着いている。

 

普通、ギャグ作品のキャラというのは、過剰なボケキャラか、ハイテンションな常識人のツッコミキャラによって成立している。
この2つのキャラの違いがハッキリしているのが常だ。

しかし、今作品はその境界が非常に曖昧だ。
このキャラがギャグ、このキャラがツッコミという明確なキャラ付けはされていない。

確かに、超能力少女のヒナがギャグキャラ、一般人の新田がツッコミというのが、一般的なギャグ作品としては当然だ。
しかし、今作品においてこのキャラ付けは時たま反転する。
一般人である新田が暴走し、ギャグキャラになり、それをヒナが冷静なトーンで突っ込むシーンもある。
ヒナのクラスメイトの真面目な女の子が、あまりのストレスに発狂し、突如顔芸を披露しまくるギャグキャラになってしまうときもある。

ある意味、不安定とも思えるこのキャラ付けが、今作品の独特な魅力を生んでいる。

普通だったらギャグを生み出す人物が、必死にツッコミしている姿は、予想外の面白さを我々に提供してくれる。

 

一人のキャラとしてはブレていない

しかし、キャラ達がブレているかといえば、そうではない。

今作品のキャラはしっかりとした個性を持っている。
それはギャグキャラがツッコミキャラに変わったことでは影響されないくらい、強い個性なのだ。

このキャラ付けが非常に上手いのが今作品。
ではどうのようにキャラ付けをしているのだろうか。

 

それは、細かなツッコミどころは全部無視したキャラ付けをしていることだ。

今作品の登場キャラに共通するのが、細かいことは気にしない。
細かいことは、ツッコミどころにすらならず、どんどん話が展開していく。
これは今作品のテンポの良さにも連結している。

例えば、新田は自分が拾った超能力少女、ヒナの素性をほとんど気にしない。
周りの人物も、ヒナの周りの少し不思議なことをガンスルー。
なぜか中学生がバーテンダーをすることになっても、みんなスルー。
基本的には気にしない。

 

しかし、彼らはすべてをスルーするわけではない。
ツッコム時はガチでツッコムし、ギャグもする。

こんな、細かいことは気にしないキャラ達が、本気になってツッコミだりギャグをを入れるシーンがあるからこそ、そのキャラ達の個性が極限まで主張され、我々にすんなりと入ってくる。

 

そして今作品の上手いところは、キャラの反応を非常に現実的にして、笑いと共感を同時に起こしていることだ。

 

そのリアクションに共感。

”笑い”というのは、究極の非現実からも生じるが、逆にしょーもない”現実的な”風景からも生じる。
中川家の漫才のような、日常の風景を切り取ったシーンだけでも、笑いが起こることがある。

それは、”共感による笑い”である。

 

本作品の笑いは、キャラ達の現実的なリアクションに、共感して笑わせられることが多い。

ヒナを始めとする、超能力者たちが起こすとんでも現象に対するキャラ達の反応がある意味現実的で面白いのだ。

 

印象的なシーンがある。
新田はヒナの起こすトラブルにウンザリ。
だが、そんなヒナともついに別れの時がやってくる。

何だかんだ、こいつと過ごした期間も悪くなかったな…的なムードに話はなり、ヒナ、新田ともに、互いに別れを惜しむ。

しかし、迂余曲折を経てヒナは新田のもとを離れなくて済むようになる。
大急ぎで新田の家へ急ぐヒナ。
二人の感動の対面があるかと思いきや…

 

新田は家で「ヒナからの解放祭り」を行っていたのである(笑)

シャンパンとケーキとチキンで、盛大に祝っている新田。
これだけ見れば、クズ野郎なエピソードかもしれない。

ただ、これはある意味リアルな反応で、非常に面白いギャグになっている。
新田というキャラらしい反応だ。

しかも、今まで新田の被害者ぶりをたくさん見てきたので、視聴者も感情移入できて余計に笑える。
自分も、私生活を滅茶苦茶にされていたら新田のようにパーティを開いてしまうかもしれない(笑)。

 

こんな感じな、冷静な反応が、他作品にはない独特な笑いを提供してくれる。
先述のキャラ付けと合わさって、非常に大きく作品の魅力を描いている。

 

成長物語で涙を流す

こうした超能力少女と普通の人間の間で描かれるエピソードとして期待されるのは、常識を知らない、大人を信じられない少女が、心を開き、一人の人間として成長していくエピソードだ。

主人公であるヒナに対して、こうしたエピソードは確かにある。

しかし、それは序盤だけだ(笑)

最後まで、ヒナはクズでだらしない超能力少女として描かれる。
成長しない。
これが先述したキャラのブレなさに直結する。

 

では、成長エピソードは存在しない、ギャグだけの作品なのだろうか。

いいや、違う。
その役割はヒナではなく、別の超能力少女が担当している。
彼女の成長物語は非常に質が高いドラマとなっている。

彼女はヒナと同じ組織に所属していた超能力少女。
名前を「あんず」という。
ヒナを抹殺するために現れるが、ヒナにあっさりと負ける。
帰っても任務を失敗したために消されるし、カッコよく負けを認め去った以上、ヒナと一緒に暮らすわけにはいかない。

 

そんな彼女が選択したのが、路上でのホームレス生活だ。

最初は万引きなどを繰り返し、食いつないでいく。

しかし、途中でホームレスのおじさん達に出会い、社会のルール、他人の優しさを味わう。
ホームレスたちも、最初は受け入れられなかった余所者のあんずを少しずつ受け入れ、仲間と認める。

 

このあんずの成長ドラマが、非常に面白い。
感情表現もしっかりと描いているし、エピソードも非常に質が高い。

思わず涙してしまう場面もあった。

 

ギャグだけでなく、こうした点でも楽しめる作品となっている。

 

アニメとして、しっかりと作品を支えるクオリティ

これらの要素は原作にもあっただろうが、今作品はアニメとしてそれをしっかりと表現している。

むしろ、ヒナの超能力の凄さや、キャラ達の微妙な表情の変化などを作画でしっかりと表現しており、ギャグの破壊力をしっかりと増している。

テンポもよく、アニメとしてしっかりとしたクオリティを保っている。

 

ギャグ良し、ドラマ良しな良作

個性的なキャラの描き方により、独自のお笑いを提供した、良作ギャグアニメであった。

ギャグだけでなく、しっかりとキャラの成長などのドラマ要素もあったのも高評価ポイントだ。

きついシモネタやパロネタもなく、誰にでもおすすめできる、非常に良くできたギャグアニメだと思う。

 

個人的には、ギャグ漫画のキャラは非リアルな方が面白いと思っていたが、リアルなキャラでも、しっかりと工夫をすれば、十分に面白い作品を作れるのだということを学ばせてくれた。
続編も非常に楽しみにしています。


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ビッテンk

ビッテンk

熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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