ブレないキャラが逆に仇となったか… 「恋は雨上がりのように」 レビュー

      2018/10/12

放送時期 2018年冬アニメ
原作 眉月じゅん
公式サイト http://www.koiame-anime.com/

あらすじ
主人公である「橘あきら」は、現役女子高生である。
陸上部のエースだったが、怪我で引退。
失意の中に出会った、ファミレス店長の冴えない中年男性「近藤正巳」に恋をする…

評価点数:79点 ★★★☆☆

 

ノイタミナらしい、高品質な作品

今作品は、フジテレビのノイタミナ枠で放送された作品である。

この枠で放送される作品は、基本的にはクオリティが高い作品といった印象だ。
作画、演出、脚本、どれもある程度のクオリティを保った作品を世に出してくれる。

 

今作品も、その期待にもれず、高品質・高クオリティな作品である。

作画崩壊なんか当然ないし、無茶苦茶な脚本でもない。
要求された基準をしっかりと超えた、素晴らしい作品である。

であるが…
結論から言えば、自分的にはあまり印象に残らない作品となってしまった。

決して、駄目な作品ではない。
むしろ、恋愛作品の中では、高いクオリティを誇る。
なぜ、これだけのクオリティを持ちながらも、こんな感想になってしまったのか。

 

一言でいえば、「好きなキャラがいない」という、なんともシンプルな一言になってしまうのだが…

 

揺らがなすぎる、主人公

主人公である「橘あきら」は、現役女子高生である。
陸上部のエースだったが、怪我で引退。
失意の中に出会った、ファミレス店長の冴えない中年男性「近藤正巳」に恋をする…

 

というのが本作品の簡単なあらすじだ。

主人公は、ずっと店長のことを恋し続ける。
物語の冒頭から、最後まで。

そのことは一切揺らがない。

 

もちろん、40代のおっさんである店長は、主人公の好意を丁寧に断ろうとする。

普通、この超えられない壁をいかに打ち破るか、その時のキャラの葛藤が、醍醐味となるはずだ。

 

しかし、今作品の主人公は、一切揺らがない。

猛烈にアタックするし、例えスルーされようとも、少しも怯むことはない。
葛藤することもないのだ。

 

このように書くと、主人公は凄まじい肉食系女子かと思ってしまうが、そういうわけでない。
ただ、好きな人に一途なだけだ。

その描き方も、さすがのノイタミナ、見事に恋する女性の可愛らしさを描いている。
やや演出過剰では…?と思わなくもなかったが(笑)。

とにかく、これだけで、主人公を嫌いになるような描かれ方はしていない。
むしろ、素直に可愛いと思えるし、応援はしたくなる。

 

だが、心の底から、主人公に対して共感することができない。
応援することができない。

まず、40代の冴えない中年男性に女子高生が恋をしている時点で、納得できるものではない。
恋のきっかけも描かれるが、理不尽さを覆すほどの素晴らしいシーンでもなかった。

更に、一番厄介なのが、主人公の一途さだ。
作品にグダリが生まれない、というメリットもあったが、あの状況下で一切悩みもしないし、傷つきもしない彼女に、自分は上手く共感できなかった。

 

揺らがない主人公、というのは、基本的には高評価のはずなのだが、それが今作品では仇となってしまった。

 

店長のキャラはナイス

揺るがない主人公と同様に、店長も中々揺らがない。
頑なに主人公の好意をスルーする。
大人としては当然だが。

このスルーの仕方も、優柔不断だから、というわけではなく、しっかりと大人として判断してスルーしているため、非常に好意的だ。

また、普段のダメオヤジっぷりが、共感を作り出し、素直に応援したくなる部分がある。

 

もちろん、主人公が惚れるだけの男、という要素はしっかりと描けている。

優しいだけでなく、主人公の境遇に、年上だからこそできる、アドバイスでしっかりと彼女をフォローする。

 

主人公よりも、店長の方に自分は共感していたし、ずっと応援していた。
そして何より、一番この作品で好きなのは、彼を中心に始まる、「夢」の物語である。

「夢」というテーマ

今作品は、ただの中年男性と女子高生の恋愛物語ではない。

恋愛というテーマの他に、「夢」というテーマがある。

 

主人公のあきらは、陸上部のエースであったが、怪我により走ることを断念してしまった。
「走る」という「夢」を断念した。

 

一方、店長も、かつては小説家になるという「夢」を持っていた。
しかし、月日が経つとその夢も失ってしまい、日々の生活で精一杯になってしまっている。

こんな、「夢」を追うことをあきらめていた二人が出会い、お互いの「夢」を再確認するのが、今作品のもう一つのテーマとなっている。

 

主人公と店長、どちらのエピソードも素晴らしい。
お互いの近況に上手く絡ませつつ、関連するエピソードを挿入していく。

見事な脚本である。

 

特に、店長のエピソードが素晴らしい。

現在は小説家であり、かつての親友であった作家との再開を果たすエピソード。
この二人の距離感がなんとも言えないリアルさを持っており、非常に心に来るエピソードだった。

久しぶりに再会した親友との、付かず離れずな距離感。
当たり前を再認識し合う時間。
そして、そこから改めて感じる小説家という「夢」への思い。
二人の別れ際もよい。

そして、この体験を、主人公であるあきらに伝える店長。
ここでのまとめ方も素晴らしく、非常に心に残るエピソードであった。

 

秀逸な演出、作画、構成力

アニメとしては、純粋な恋の世界をうまく表現した演出が素晴らしい。

原作の雰囲気をそのままに、少女漫画らしさを崩さず、アニメとしてのテンポを崩さない演出は見事なものである。
ただ、人によっては若干くどく感じるかもしれないが。(特に少女漫画系の演出に慣れていない場合)

作画も素晴らしい。
キャラの作画はもちろん、雰囲気を表す背景の描写は素晴らしく、作品の現実感を上げるのに、大きく貢献している。

 

さらに、構成力も素晴らしい。

自分は原作を読んでいないので、もしかしたら本当の原作ファンからしたら、不満点があるかもしれない。
ただ、原作未読でも、完璧にこの作品を味わえる構成だったのは間違いない。

各キャラのエピソードをしっかりと消化しつつ、本筋のエピソードにつなげ、無駄なく終わらせる。
最後の物語の締めも完璧だ。

原作レイプな作品が多いなか、1クールという短い間で、どうしたら原作の魅力を伝えられるか、そういったことをしっかりと考えたよい構成・脚本だったと思う。

 

オススメできる良作ではあったが、パンチが足りていなかった

基本的には、欠点がない作品である。
テーマもよかったし、それをもとに見事に完結させたのも非常に好印象だった。

だが、自分の中では、心に残る名作とはいかなかった。

その最大の理由が、パンチのなさだろうか。
もっと面白いキャラがいたら、もっと好きになれたかもしれない。

 

自分の中で、一つこの作品の欠点を挙げるとしたら、やはり主人公の存在だろう。
彼女のブレなささは、すごいとは思ったが、感情移入がしづらかった。

もっと心の底から応援できる主人公であったなら…
作品の評価は大きく違ったかもしれない。

 

ただ、丁寧に作られた良作であることは間違いない。

恋愛物語を楽しみたい方、しっかりとしたドラマ作品を見たい方には、オススメの作品である。


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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