優秀な外伝、だが所詮外伝 「シュタインズ・ゲート・ゼロ」 レビュー

   

放送時期 2018年春~夏アニメ
原作 5pb
公式サイト http://steinsgate0-anime.com/

あらすじ
牧瀬紅莉栖を救うことを諦めてしまったオカリン。
厨二病の鳳凰院凶真は封印し、普通の大学生として生活しようとしていた。
ある日の授業、アメリカから来た教授とその助手がプレゼンしたのは、アマデウスという、記憶を基にしたAI。
このAIが基にした記憶というのは、牧瀬紅莉栖の記憶だった…

 

評価点数:88点 ★★★★☆

 

この作品はあくまで外伝

今作品は、大人気ゲーム「シュタインズ・ゲート」(以下本編と呼ぶ)の外伝作品である。

キャラ紹介や、あらすじなんかはなく、いきなり本編の続きから話が始まる。
つまるところ、本編である「シュタインズ・ゲート」をプレイ済みorアニメ視聴済みでないと全くチンプンカンプンな内容になっている。

ということで、まず本編を見たことない人は門前払いをくらう。
未視聴の方は注意。
アニメ版のレビューもしているので、興味のある人はこちらからどうぞ。

 

さて、外伝といったが、本作品は本編の正式なEDの続きから始まるのではない。
つまり、トゥルーエンドの続きではない。

オカリンが、シュタインズ・ゲートを目指さず、まゆしぃと生きる道を選択していたら…

そうした、「if」(もしも)な展開を描いた作品なのである。

 

序盤はさすがの面白さ

本編の序盤は、厨二病なオカリンがコメディアンなセリフ回しで場を盛り上げていた。
シリアスな雰囲気が出るのは、中盤、つまりセルンの陰謀が明らかになり、まゆしぃの死が起きてからである。

 

しかし、今作品はいきなりシリアスだ。
というより、暗い。

厨二病をやめ、普通の大学生になろうとするオカリン。
まゆしぃをはじめとしたラボメンも、かつての明るさはなく、どことなく雰囲気が暗い。

そんな、暗いの雰囲気の中で、1話終盤、新たな展開が起こる。

 

牧瀬紅莉栖の再登場だ。
ただし、生きている紅莉栖ではない。

生前の牧瀬紅莉栖の記憶を基に作られたAI、「アマデウス」である。

今作品の序盤の展開の中心は、このアマデウス、そのAIが再現する紅莉栖とオカリンだ。
アマデウスによって紅莉栖との再会を果たすオカリン。

本編を見て、彼女に対するオカリンの感情を十分に理解している我々は、オカリンと同じくらい彼女の登場に動揺し、オカリンの思いに共感する。

そして、このアマデウスの登場により、少しずつ、オカリンの日常が非日常へと変わっていく…

 

物語序盤のこの引きの上手さはさすがだ。
毎話、1つのエピソードとして完結させつつも、終わりには次が見たくなるようなシーンを持ってくる。
さすがの、花田十輝の構成力である。

 

さらに、今作品が巧みなのは、「牧瀬紅莉栖」という人物を最大限利用していることにある。

視聴者は当然本編を見ている。
つまり、本編からのキャラ、紅莉栖には愛着が湧いている。
オカリンと紅莉栖の絡みをもっと見たいと思っている。

ここで、新キャラをポンと置いても、中々魅力を感じることができない。
だからこそ、まずは物語の「引き」として紅莉栖を置く。(正確にはアマデウス)

 

そうして、まずは視聴者を物語に引き込んで、少しずつ、新キャラを作品になじませていく。
比屋定真帆という新たなキャラを、アマデウス(紅莉栖)とオカリンの関係を作るキッカケであり、補助するためのサブキャラのような存在として、作品になじませる。

そして、徐々にオカリンとの関係を密接にし、見事に1人のラボメン(ヒロイン)となる。
この比屋定真帆というキャラのなじませ方は、非常に秀逸であった。

そして、今作品の面白さは、中盤になるにつれ、更に加速していく。

 

本編の存在を最大限に使った演出

序盤は、アマデウス(紅莉栖)の存在を使って視聴者を引きつけた。

彼女に対するオカリンの葛藤や、新たなヒロイン、比屋定真帆というキャラとオカリンとの関係が物語の中心であった。
そこから、物語の中盤に入ると、新たな展開をみせる。

比屋定真帆に忍び寄る怪しげな組織の陰。
第三次世界大戦を予兆させる世界各国の動き。

そして、オカリンと紅莉栖(アマデウス)の物語から、他のラボメンを巻き込こんだ大きな物語へと変化し、シリアスになっていく。

 

特に、本編の存在を活かした演出が非常に巧みだ。

まゆしぃの懐中時計、白衣姿の助手。
本編を見ていた人なら思わず反応してしまう演出。
本編で積み上げてきたものを、最大限に活用している。

 

また、やはり今作品で一番感じたのは紅莉栖の存在感である。

中盤、アマデウスの出番が減ってきたところで、突如、本物の紅莉栖が生きている世界戦にオカリンがワープする。

視聴者も紅莉栖の存在を忘れかけていたころに、不意打ちのように衝撃が叩き込まれる。
心なしか、ダレかけていた物語が引きしまる。

その理由は、本編も含めた、「シュタインズ・ゲート」というシリーズのヒロインが彼女であり、彼女の救済こそが、作品の最終目標になっているからだろう。

この牧瀬紅莉栖の的確な登場によって、物語はダレることなく中盤に差し掛かる。

 

謎と勢力が多くなっていく

本編では、謎は常に存在していた。
しかし、1つ1つの謎は常に解決されながら物語は進んできた。

例えば、最初はゲルバナの原因。
次はタイムリープの仕組み。
その次は見え隠れする「セルン」という巨大な組織の陰。

このように、謎が解決されていくから、ストレスがたまることはなかった。
スムーズに物語を進めることができた。

 

しかし、今作品では、多くの謎が発生していく。
そしてその謎が解決されることなく、次の謎が発生する。
常にモヤモヤを抱えたまま作品は進行していく。

例えば、頻繁に起きる世界戦変動。
裏で動くいくつもの組織。
「椎名かがり」という紅莉栖そっくりな美少女。
そうした謎がほぼ同時に発生し、解決されることなくどんどん増えていく。

序盤はまだそれが作品の引きになっていたが、中盤になると、少しずつストレスになっていく。この作品の大きなネックポイントがここにある。

 

更に、ややこしいことに、今作品は複数の組織が暗躍している。

アメリカ、ロシアという大国の存在が、作品をややこしくしている。
本編の「セルン」のように、明確な敵役が存在しない。

これにより、イマイチ作品の流れを把握し辛い。
前述したとおり、謎が多いから尚更だ。

前作と比べると、一番大きなマイナスポイントがここにあるだろう。

 

終盤も悪くはないが…

謎はほとんど解決される。
解決はされるが、それは本編ほどの爽快感はない。

原因の1つは、前述した謎の多さだろう。
解決されるまでが長い+他に謎が多い、な状況のせいで、いまいちスッキリ感が味わえない。
話も若干分かりづらいのも寄与している。

 

そして、謎の解決方法もやはり本編ほどスタイリッシュではない。
どこか予想できる内容だったり、若干ゴリ押しだったり…

全体的に完成度が低くなっていると言わざる得ない。

 

物語だけでなく、アニメ作品としても、問題点が終盤には登場する。

それは、終盤で戦闘シーンが増えていくに連れ、どんどん作画のクオリティが悪くなっていったことだ。

本編では戦闘シーン自体が少なかったため、作画の悪さを認識することはなかったが、今作品では終盤になると戦闘シーンが非常に多く、その戦闘がうまく描写されていなかった。

棒立ちのように感じられるシーンもいくつかあり、冷めてしまったのである。
劇場版のようなヌルヌル作画を、とは言わないが、物語から冷めない程度にはクオリティを維持してほしかった。

 

外伝としては優秀、だが所詮が外伝

本編の外伝、「if」な物語としては、非常に優秀な作品だ。

アニメ作品としても、決して悪い作品ではない。
序盤は視聴がやめられなかったし、中盤から終盤にかけても上手く原作を再構成してテンポよく描けていたと思う。

だが、やはり所詮は外伝、といった評価にとどまってしまった。

というより、本編の完成度が異常なのだが。

 

前述した通り多すぎる謎と組織のごちゃごちゃで、中盤以降物語が見えづらくなってしまったのが大きなマイナスポイントだった。

非常に惜しい作品である。
最も、これは原作をプレイしたときから感じていたことなので、アニメ化が失敗というわけではないだろう。

 

今作品を視聴して、一番大きな発見は、シュタゲは紅莉栖とオカリンの物語なのだと、認識したことだ。

アマデウスも含め、紅莉栖の存在が物語の中心にいるときは、非常に面白かった。
しかし、新キャラのかがりの登場などによって、中盤以降何のための物語なのかが分かりづらくなっていったのが、ダレる原因だったと思う。

良いアニメだったが、本編のような完璧なアニメとは言い切れない作品になってしまった。

とはいえ、本編を見ている人なら、間違いなく楽しめる作品である。


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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