不快な主人公で全て台無し アニメ「はねバド!」 レビュー!

   

放送時期 2018年夏
原作 濱田浩輔
公式サイト http://hanebad.com/

 

あらすじ
全日本ジュニア選手権で北小町高校バドミントン部の主将、「荒垣なぎさ」は中学3年生の少女にスコンクで惨敗する。そのせいでスランプに陥り、他の部員にも厳しく接するようになっており、部は崩壊寸前だった。
そこに、ある1人の新入生が現れる。
それは、荒垣をスコンクで敗北させた少女、「羽咲綾乃」だった…

評価点数:52点 ★★☆☆☆

 

作画は圧倒的

第一話冒頭、圧倒的な作画による試合シーンから物語は始まる。

度肝抜かれる作画レベルだ。
よく動く、とかそういうレベルではなく、CGかと思うようなヌルヌルさと、アニメーションにしかできない気持ちの良い迫力ある動きを完璧に表現している。

まず、今作品を見て一番印象深いのは、この圧倒的作画シーンだろう。
この作画を見てけなす人はいない。

 

最近のスポーツアニメは、良作画な作品がかなり多いが、今作品はぶっちぎりである。
動きが迫真すぎて、少女たちがバドミントンする姿に一切エロを感じることができない。

この作画が、多少の劣化はあるものの、最終話までキープされ続ける。
終盤、日常パートで少し崩れかけるものの、最後の試合の作画も圧倒的だ。

そういった意味で、良作画を期待する人には良い作品といえるだろう。

しかし、普通に物語を楽しむには向いていない。
というか、見ていて「楽しい」という気持ちになるより、「不快」を感じるシーンの方が多いからだ。

 

序盤はワクワクする展開。

作品の序盤の流れは悪くない。

ある少女(主人公)にジュニア大会でボコボコにされたことで、スランプに陥ってしまったバドミントン部、部長。
そんな部長の前に、再び彼女をボコボコにした主人公が登場する。

彼女は圧倒的なバドミントンの才能の鱗片を見せつつも、バドミントンを決して行おうとしない。
主人公に一体何があったのか、主人公の実力とはどんなものなのか。

そういったのが、第1話から2話の話の流れである。

 

ここまでは悪くない。
主人公の凄さを期待させる演出もナイスだ。

そしてこの後の流れも王道で、普通に面白い。

主人公がバドミントンを辞めた理由が明らかになる。
今までは、天才バドミントンプレイヤーでもある自身の母親に認めてもらうためにプレイしてきた。
しかし、敗北したことで、母親は主人公の元から去ってしまう。
そのショックもあり、主人公はバドミントンを辞めていたのだ。

しかし、主人公の幼馴染から半ば強引にバドミントンをプレイさせられることで、再びバドミントンの楽しさに気づく。
部長も、主人公との試合を通じて改心し、部の雰囲気も戻る。

そして主人公は若干抵抗感を覚えつつも、バドミントン部で練習していくうちに、仲間と一緒にいる楽しさに気づく。

今まで、1人で、母親に見捨てられないように必死に行ってきたバドミントン。
しかし、仲間と、一緒に楽しくプレイしていくなかで、必要と思っていなかった仲間という存在、そして、バドミントンそのものに心を開いていく…

 

すごく良い流れだ。

テンプレと言われればそれまでだが、王道にしかないまっすぐな魅力がある作品だった。
実際、ここまで、自分はノーストップでイッキ見してしまった。

 

だが、この作品のピークはここまでだ。

しかも、今後も続く欠点がこの時点で現れている。
他の部分が面白かったために、全く気にしていなかったのだが、後半になればなるほどその欠点が多く、大きくなっていく。

 

陰湿すぎる

序盤に話が戻る。

主人公に大会でボコボコにされ、スランプに陥ってしまった部長。

彼女は、自分がうまくいかなかったことの八つ当たりのように、周りの部員に対し厳しく接する。
異常なハードワークを課したり、できない部員を口汚く罵ったり。

 

この荒れ具合は、確かに描写する必要はあるだろう。
しかし、あまりにも陰湿すぎる。
キャラに同情するどころか、嫌悪感を抱いてしまう。

そして、この部長のスランプと八つ当たりに対する周りの反応も、無駄に陰湿だ。
抜けたり、部内のメンバー同士でも衝突があったり…
こういうドロドロ展開は嫌いではないが、あまりにもあざといし、陰湿なので、不快感のほうが勝ってしまった。

 

この、無駄に陰湿な演出は、最後までずっと続く。

部長は早めに改心して、陰湿さはなくなる。
そのため、序盤から中盤にかけてはあまり感じなくなる。
しかし、終盤になるとまたこの陰湿展開が発生する。

しかもその発生源は今度は主人公になっているのである。

 

スカッと爽やかなスポ根を見たいのに、この無駄に陰湿すぎる演出を行うのは、この作品の分かりやすい欠点であり、最後まで続く大きな欠点だ。
リアルな人間関係を描きたかったのかもしれないが、見事に失敗しているし、そもそもそういうのが作りたいなら昼ドラを作っていれば良い。

完全な失敗である。

 

どうあがいてもクズで共感できない主人公

しかし、この作品の最大の欠点はそれではない。

この作品の最大の欠点は、主人公だ。
主人公のどこが悪いのか。

それは、ブレまくりな「軸」にある。
実はこれは主人公だけでなく、この作品全体に言えることなのだが…

 

主人公は前述したとおり、途中で仲間の大切さとバドミントンの楽しさに気づく。

ここで、視聴者はこの作品の大まかな流れを把握する。
人間味がなかった主人公が、部活を通じて人間らしさを取り戻し、肉体的にも、精神的にも本当の意味で最強のバドミントンプレイヤーになる物語だと把握する。
そういう意気込みで物語を見る。

 

しかし、あっさりと主人公は我々を裏切る。

たった1話で、人格が変わったかのように仲間を見下し、自己中心的になり、バドミントンをただ勝負事にしか認識しなくなる。

その変わり様に驚きしかない。
前の話まで、部員のみんなで撮った写真を幸せそうに眺めていた少女が、死んだ顔で部員たちに接するようになる。
その間に、葛藤や悩みがない。
本当にスイッチが入ったように人が変わるのだ。

 

 

ここで、この主人公に感情移入ができなくなる。

彼女の価値観が全くわからないからだ。
悩みもしない主人公に全く同情ができない。

ここで、ただ他人にシビアな選手、というキャラになればよかったのだが、先述した陰湿さがここで発揮される。
他の選手を無駄に煽ったり、応援してくれている仲間をけなしたり、そのせいで人間関係がギクシャクしたり…
陰湿(というかもはやクズ)な主人公に、嫌悪感しか覚えないのだ。

そしてこの主人公の軸のなさは、作品全体に影響していく。

 

何がしたい作品なのか

この作品はバドミントの楽しさを伝えたいのか、それともスポーツを通じての友情などの人間ドラマを描きたいのか。
何が伝えたいのかが全くわからない。

 

主人公以外にも、いろいろなエピソードが挿入される。
部員同士の恋だったり、才能のない選手の苦悩だったり、スポーツを続けることの難しさだったり。
しかし、それら全て、微妙に軸がブレている。

1つ1つの完成度は高いのに、軸がブレているせいで作品としてまとまりがない。
エピソード同士のつながりが薄い。

それもこれも、全ては主人公のキャラのブレが原因だろう。
本来なら、こうしたエピソード1つ1つが主人公のエピソードにつながったり、あるいは同じテーマを持つはずだ。
しかし、主人公の軸がブレているため、作品全体としてもまとまりがなくなっている。
彼女が何をしたいのか、誰もわからないのだから…

 

主人公以外はみんないいキャラ

スポーツ作品のお約束通り、今作品にも多くのライバルキャラが登場する。

このライバルキャラ、みんないいキャラなのだ。

どんなキャラなのか分かりやすく紹介するエピソードが挿入され、そのキャラが活きるようなプレイをし、試合を通じて他のキャラとの関係が深まる。
しっかりとキャラごとのエピソードは描けているのである。
そしてそんなライバル達が主人公に挑戦するときは、心のそこからライバルを応援してしまう。

だが、応援虚しく憎たらしい主人公に負けていってしまう。
その展開に腹が立つ。

 

ライバルだけではなく、主人公の属する高校の部員のメンバーも、みんな良いキャラをしている。

モブから部長まで、みんな良いキャラをしているし、お互いの関係も魅力的。
単純にこの子達の部活動をもっと見たいと思える部員たちだ。
主人公を除いては。

本作品は、主人公がでなければでないほど、面白くなる、困った作品なのである。

 

個の完成度は素晴らしいが…

圧倒的な作画によって描かれる試合シーン。
文句なしだ。

場を盛り上げる演出。
素晴らしい。
1話の主人公の強敵感など、最高だ。

キャラと、彼女らが織りなすドラマ。
これも素晴らしい。
癖の強いキャラを見事に使いこなし、1つの短いエピソードとして高い完成度を誇っている。

 

こうして見ると、様々な長所は存在している。
しかし、これらは全て主人公によって壊される。

彼女のキャラがブレているから、作品全体のテーマがわからなくなり、個々のエピソードで感動できても、全体を通してみると微妙になる。
作品として、何も残るものがない。
監督などは、これでよくOKサインを出せたものだ。

厄介なのは、ただのダメな主人公でなく、前述した「陰湿」な演出のせいで、「不快」にさせる主人公なのだ。
他キャラのエピソードで感動した分を、不快感で上塗りされてしまう。

 

かなり原作レイプな作品らしいので、原作を購入してみようと思います。
そういう意味では、アニメ化は成功なのか…?

とにかく、不快になる主人公のせいで、非常に惜しい作品になってしまった悲しいアニメでした。


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ビッテンk

ビッテンk

熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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