王道を1クールで完璧に描いた作品 「プラネット・ウィズ」 レビュー!

   

放送時期 2018年夏アニメ
原作 水上悟志
公式サイト http://planet-with.com/

あらすじ
高校生の「黒井宗矢」は記憶喪失になっており、ゴスロリ姿の「黒井銀子」と猫のような「先生」と言われるキグルミと一緒に暮らしていた。
ある日、世界各地に正体不明の「ネビュラウェポン」があらわれ、7人のヒーロー「グランドパラディン」が変身してそれを撃退する。
そして、なぜか宗矢は銀子に彼らと戦うよう指示される。

評価点数:88点 ★★★★☆

 

とてつもなくハイテンポ

まず、今作品を見て思うのは、異常なテンポの良さだろう。

主人公はどう見ても人間じゃないキグルミみたいな猫と、やたらゴスロリなメイドとボロアパートに住んでいることが描写され、おまけに記憶喪失。
この状況を理解しようと努めていたら、いきなり主人公の住む町の沿岸部に悪趣味なデザインの巨大物体が発生する。

そのデザインのふざけ具合に困惑していたら、いきなり7人のロボのような人形を操る若者が現れる。
彼らはそのまま巨大な物体を消滅させ、町を救う。
彼らは味方かと思いきや、主人公が倒すべき相手はその7人であると言われ…

こうして文章で書いていると意味不明のように思える。
しかも、これをAパートと少しで書いている。
異常なハイテンポだ。最初、劇場版のアニメかと思うくらいのテンポに動揺してしまう。ただ、こうしたテンポの良さは最初だけかと思っていた。

しかし、このテンポはずっと続く。
普通の作品なら2クールくらいかけて描く展開を、一気に1クールに詰め込んだ感じだ。

 

まるでジェットコースターのような急展開の連続、かなり独特な作風である。
これが良い方向に作用することもあるが、一歩間違えば描写不足で一気に駄作となってしまう。
しかし、今作品は見事にこのテンポの良さを上手く活かしつつ、しっかりとキャラの掘り下げをし、見事なアニメ作品となっている。

それを可能にしているのは、見事な設定の活用、シンプルだがしっかりと良さを残すストーリー、そしてキャラの役割分担の上手さにある。

 

敵との戦いをキャラの掘り下げに使う見事な設定

今作品のメインの登場人物はおよそ10人ほど。
1クールの作品として、少なくはないこのキャラ達を全員掘り下げるのは至難の技だ。

特に、最初に一気に出現する7人の戦士たち。
登場が唐突&一気に大人数で登場するので、視聴者としてはポカーン状態になる。
しかし、今作品は彼らの掘り下げ方がうまい。

 

彼らが戦う相手は、ネビュラと言われる宇宙人が作った侵略兵器である。
しかし、兵器と言っても武力を持っているわけではない。
地球人たちを封印するのがこの兵器の目的だ。

その封印の方法とは、地球人に自分の理想の世界で住み続ける夢を見せることである。
豪華な暮らしをしたいという夢を持つ人は豪華な暮らしを。
愛した人にもう一度会いたいと思う人は愛した人がいる生活が。
このように当人にとって理想の夢を見せることで、まるで抜け殻のように積極的に生きるのを辞め、ずっと夢の中で眠らさせ続けることが目的なのだ。

この設定をキャラの掘り下げに上手く使っているのだ。
この侵略兵器を倒した時、その副作用として戦士達も夢を見る。

その夢の内容は、そのキャラの理想や過去の生い立ちと密接に関係している。
この夢のシーンで、どんなキャラなのかがわかる。
更に、強い覚悟でその理想の夢を打ち破り、現実に回帰する。
その過程で、キャラのことを好きになる。

 

設定を活かしつつ、キャラを短期間で掘り下げるのは素晴らしいテクニックだった。
最初はどのキャラも好きではなかったのだが、話数が経つにつれどんどんと好きになっていくのが非常に面白かった。

こうした設定の活用の上手さもそうだが、キャラメイクが普通に上手い。
見た目の分かりやすさもそうだし、性格も一言で言い表せる程度のシンプルさを持っている。
流石、原案が人気漫画家の水上悟志であることを感じさせるキャラクター達だった。

 

ハイテンポと急展開を利用

最初はかなり驚いたテンポの良さ。
それに馴れてくると、今度は次々と設定が明らかになり、ジェットコースターのように展開が変わってくる。

具体的には主人公が敵対する相手、その勢力がどんどんと変わっていく。
相手側も、設定が明らかになるにつれ、一枚岩ではなくなっていく。

普通のアニメだったらこれはプラスになることはあまりない。
だが、今作品はこれが一つの魅力になる。

 

まず、急展開の中で、それぞれのキャラが悩み、葛藤する場面が多くなる。
どちらの味方になるか、何を正義と考えるか。
そこで悩むキャラこそが、この作品の見どころの一つとなっている。

ここで、キチンとそのキャラの掘り下げを行っていない場合は、こうしたシーンは魅力にはならない。
しかし、前述したように、この作品は元々良いキャラが揃っている上に、それを上手く掘り下げているのでこうしたキャラの葛藤一つ一つが魅力になる。
ストーリーに深みが生まれる。

しかも、物語がダレることがない。
長々と悩むシーンが続くことがないのだ。
その理由は、戦闘シーンを含め、明確な掘り下げシーンを作中の随所に上手く散りばめているからできる芸当である。

 

キメるところはキメる

多くのキャラを描写するために、かなりハイテンポになっている作品だが、決して雑なわけでない。
最も大事なキャラ、主人公の掘り下げはしっかりと丁寧に行われている。

特に、上手い!と思ったのは、ヒロインを上手く主人公の成長と掘り下げに活用している点だ。

最低限の描写しか許されない状況で、いかにあるキャラの性格を見せるか。
その最適解は、過去話を挿入するのではなく、他のキャラに対してどのような反応をするのかを見せることである。

今作品のヒロインは超絶美少女でもないし、凄い能力を持っているわけでもない。
ごく普通の、優しい少女だ。
そんな女の子に対して、主人公がどう思うか。
彼女のことを思った時、どんな正義を貫くか。

 

しっかりとヒロインの役割を作中で明示させつつ、彼女を上手く使い、主人公の掘り下げ・決断を描写しているのが素晴らしい。

ただ、それでもこの作品のハイテンポさゆえか、若干淡泊な反応になる場合がある。
個人的にはうだうだ悩むキャラは好きじゃないので、こっちのほうが良い。

 

原石を磨き上げるアニメスタッフ

今作品の原案は、漫画家の水上悟志のネームである。

この原案の時点で、様々な魅力があっただろう。
キャラの魅力、設定の魅力、ストーリーの魅力。

それらすべてを、このアニメは上手く磨き上げ、形にしている。

 

ハイテンポと怒涛の展開を混乱しないように整理しながら視聴者に伝えるように工夫し、キャラの掘り下げもどの程度行うか決め、1クールという短い話数に落とし込む。
しかし、TVアニメとしてしっかりと次話への引きを作らないといけない。
そうした構成上の工夫が非常に上手い作品だった。

更に、ハイテンポで進むということは、それだけ戦闘シーンなどが多くなり、作画の負担が増えるということだ。
実際、今作品にはかなり多くの戦闘シーンがあるが、作画が乱れたり止め絵の演出でごまかしたりすることなく、最後まで描ききった。

キャラデザなんかも、水上悟志っぽさを失わず、上手くアニメに落し込んでいると思う。
本当に優秀なスタッフに恵まれていると感じた。

 

残念なのは音のバランス

1つ、残念だったのが、音のバランスである。

無駄にSEがでかい。
そのくせ、軽い(視聴環境にもよるだろうが)。

会話聞くために音量を大きくしていたら、かなり戦闘シーンで困った。
そこが一番のこの作品の欠点である。

 

素晴らしい王道作品

設定は若干特殊だ。
特に、封印兵器のデザインを筆頭にかなりシュールなデザインが多い。
そのせいで、物語のとっつきにくさがある。

しかし、内容自体は「王道」と言える。
どれだけ設定が小難しくても、主人公を始めとするキャラの動きは王道だし、だからこその魅力がある。

決してテンプレでない。
王道なのである。
それをなし得ているのは、素晴らしいキャラ達のおかげだ。

 

近年なかなかない、まっすぐな魅力を持つ、素晴らしい作品だった。
減点方式で採点するなら、おそらく音量以外は減点ポイントはない。
もう一つあげるとしたら、ハイテンポすぎて最初は戸惑ってしまうことだろうか。

では、なぜ満点じゃないのか。
★が5つじゃないのか。

 

これは、もう私と水上悟志の相性の問題かもしれない。
ガツンと来るキャラがいないのだ。
心揺さぶられる演出がないのだ。

いつもあと一歩、というところで名作にはならない。
そういった印象を彼の作品からは受けてしまう。

 

最後に、アンチみたいなことを書いてしまったが、決して駄作ではない。
むしろ良作、名作だ。
選り好みせず、いろんな人に見てほしい作品である。


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ビッテンk

ビッテンk

熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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