「シビアさ」を最大限に使った爽快感 「ゴブリンスレイヤー」 レビュー

      2019/02/01

放送時期 2018年秋アニメ
原作 蝸牛くも
公式サイト http://www.goblinslayer.jp/

あらすじ
辺境のギルドには、最弱モンスターであるゴブリンだけを殺すことで、序列3位の銀等級まで昇りつめた戦士がいた。
彼の名前を、「ゴブリンスレイヤー」という…

 

評価点数:87点 ★★★★☆

 

 

ゴブリンを殺す。ただそれだけ。

この作品、設定としては、剣と魔法のファンタジー作品だ。
魔物が存在し、冒険者がそれを倒し、その冒険者の組織としてギルドがあり、伝説的な存在として勇者と魔王がいる。
どこかで聞いたことがあるような設定なのは間違いない。

 

だが、今作品はそうした他のファンタジー作品とは大きく違うところがある。
それは、主人公だ。
今作品の主人公は、魔王を倒したりしない。
現代から転生してきた人物で、技術的な大革新を世界に巻き起こしたりもしない。

彼が行うことは、辺境の国でひたすらゴブリンを殺しつづける。
それだけである。
だから、主人公はゴブリンスレイヤーと呼ばれるし、それがタイトルにもなっている。
なぜなら、今作品の内容は、この主人公がゴブリンを殺すことがメインなのだから。

ちなみに、RPGのお約束どおり、この世界でもゴブリンは最弱モンスターだ。
物語の「主人公」が戦うような相手ではない。

 

しかし、今作品は、この「ザコ敵」という言葉がふさわしいゴブリンをひたすら殺し続けるだけの作品にもかかわらず、しっかりと面白い作品になっている。
これだけ聞くと、信じられない作品のようだが、本当に面白いのだからしょうがない。
では、なぜザコ敵を殺し続けるだけの作品で、ここまで面白いのか。

 

徹底したシビアさ

今作品は魔法や魔物が登場する、ファンタジーな世界である。
しかし、とんでもなくリアルである。
というより、シビアというべきなのか。

 

そのことを視聴者に示すのが、第一話となっている。
第一話は、新米冒険者たちが、はじめての仕事として、ギルドからゴブリン退治の仕事を請け負うことから始まる。
最弱のモンスターだからといって、油断し、ろくに準備もしないでゴブリンが潜む洞窟に侵入する。

そこで、弱体モンスターであるゴブリンに冒険者が次々と餌食になっていく様子が描かれる。
ここの描写が非常にリアルだ。

 

松明を一本しか持っていなかったため、脇道を見つけられず、後ろに回り込まれる。
自分たちより倍近い数のゴブリンに囲まれて、焦る冒険者たち。
必死に剣を振るうも、長剣であったため、狭い洞窟では天井にあたってしまい、思い切り振るうことができない。
魔法使いの仲間は、前衛キャラと離れてしまっているので呪文を唱える時間が稼げず、ゴブリンに襲われる。
ゴブリンたちは武器に毒を塗っているため、毒薬を買えなかった冒険者たちは傷を治すことすらできず、死に至る。
男は容赦なく殺され、女は服を剥ぎ取られ、犯される。

ここで、最弱であるゴブリンの恐ろしさが描写される。
この作品が、無数にあるファンタジー作品と違い、ザコ敵でも、油断すれば容赦なく死ぬ「シビアな世界」であることを視聴者に分からせる。
この世界観をわかりやすく言うと、アニメ版『ダークソウル』と言ったところか。

 

正直、この新米冒険者たちの犠牲シーンは、フラグはビンビンだったこともあり、あまり衝撃的ではなかった。
ちょっとクドすぎるのではと思ってしまったくらいである。
しかし、ここで生じたダレは、主人公の登場で一気に吹き飛ぶ。

 

冒険者たちの最後の生き残り、女神官が、あと少しでゴブリンの餌食になるというところで、主人公であるゴブリンスレイヤーが登場する。

彼は、主人公らしい派手な技や魔法を使わず、短剣を使って確実にゴブリンを殺していく。
自分の剣が刃こぼれしたら、ゴブリンの武器を拾い、殺す。
ゴブリンに匂いでバレることを防ぐため、死体のゴブリンから出た血を全身に塗りたくる。
飛び道具も使うし、火薬も使う。

ゴブリンを殺すためなら、なんでも使い、無双する。

この無双シーンが非常に見ていて気持ちいいのだ。
才能や運ではなく、考え抜かれた戦術で、論理的に、淡々とゴブリンを殺していく。
見ていて視聴者が納得できる「強さ」を持っているのだ。

 

シビアな世界観と同じ、いやそれ以上に彼はシビアだ。
ゴブリンを殺すことに一切妥協しないし、徹底している。
この「シビアさ」が、この作品の最大の特徴であり、魅力なのだ。

主人公の活躍は、高難易度ゲームを、やり込んだプレイヤーが一瞬でクリアしていくのを見ているような、爽快感がある。
ただゴブリンを殺しているだけなのに、そこらの戦闘アニメの数倍の爽快感を出しているのは、この作品の「シビアさ」という個性を武器にしたからだ。

 

成長していく主人公

もちろん、ただ無双していくだけでは、作品としての面白さは単調なものになってしまう。

今作品の素晴らしいところは、きちんとドラマがあるところだ。
他のキャラと交流していく中で、主人公が少しずつ成長していくのである。

 

前述したように、主人公はとことん論理的に、シビアに考えてゴブリンを倒す。
そこに人間性はなく、まるで作業のようにゴブリンを殺す。

多くの冒険者が、夢を見て冒険者になり、生死の堺をさまよいながらも、「生きがい」のような楽しさを見つけて冒険するのとは真逆である。

 

そんな主人公を見て、仲間たちは、なにかに取り憑かれたようにゴブリンを殺す「ゴブリンスレイヤー」を、本当の「冒険者」にさせようとする。
主人公も、何度も冒険を重ね、信頼関係が築かれていくと、本当に少しずつだが、仲間たちに対し心を開く。
毒を使うのを辞めたり、不器用な頼み方だが、一緒に冒険に出るのを頼んだり。

1人でずっと戦い続けていた主人公の周りに、少しずつ人が集まっていく。
人間らしい感情を持ち合わせてなかった彼が、少しずつ感情を見せるのが、非常に微笑ましい。

 

そして、彼の周りのキャラの描き方も素晴らしい。
それぞれに個性があり、ベテラン冒険者らしい大人な距離感で、主人公に接する。
それぞれのやり方で、彼を変えさせようとする。

また、明確に主人公の仲間とは言えない、サブキャラたちも良い存在感をだしている。
主人公がファンタジーアニメらしかぬ存在感を出しているのに対し、彼らはファンタジーらしい個性を持っている。
そんな彼らの主人公への反応で、我々は世界観を理解できるし、主人公の「異質さ」を実感する。

今作品に登場するキャラの数は少ない。
しかし、サブキャラか、ほぼモブのキャラまで、作り込まれている。
だから、世界観もしっかりとしたものになるし、視聴時の楽しみが増える。

 

今作品、主人公の成長という点で言えば、もう1つ素晴らしい点がある。
それは、戦闘面での成長より、精神面での成長に全フリしたことだ。

戦闘の面に関しては、主人公は成長の余地がなかった。
妥協せず、油断せず、動揺せずゴブリンを殺せる彼は、ゴブリンスレイヤーとして、完成していたと言ってもよい。
だからこそ、前述したシビアさの爽快感があるのである。

ここで、実力的に主人公が倒せない敵が出てきたり、能力の限界を感じて修行を始めたりするのは、今作品に求められるものではない。
やりこみプレイヤーの爽快感が見たいのであって、努力する姿を見たくてこの作品を見ているのではない。
努力でどうにかなる優しい世界観でないからだ。

だから、主人公は戦闘面では成長しない。
では、戦闘シーンは序盤から変わらない内容になってダレるのか?

 

そんなことはない。

戦闘面での変化。
それは物語全体の変化と連動して起きる。
それは、仲間の存在である。

最初は、1人で戦っていた主人公。
ただ、前述した精神的成長によって仲間が増えていく。

そうすると、仲間を信頼した戦術を主人公が考案する。
この仲間との連携プレイも素晴らしく、戦闘を見ていて飽きることはない。

 

戦闘面でも、精神面でも、他のキャラとふれあい、成長する面をしっかりと見せてくれた。
グロ描写や主人公の容赦の無さが話題になりがちだが、この作品の最大の魅力はこうした丁寧な作品作りだろう。

 

グロ描写に耐性があるならオススメ

シビアな世界観をうまく描き、その中で活躍する主人公の爽快感を武器に、しっかりとした成長要素をうまく作品に組み込んだ、秀作であった。

ダークソウルとか、そういったリアル系ファンタジーが大好きな人にはたまらない作品だろう。

ただ一つ問題点があるとしたら、グロシーンが多いため、そういった耐性がない人にはオススメできないことくらいだろう。

キレイに終わらせたのも好印象であり、ぜひとも続編を作って欲しい作品であった。


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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