きらら枠であることが惜しい 「アニマエール!」 レビュー!

      2019/04/30

放送時期 2018年秋アニメ
原作 卯花つかさ
公式サイト http://animayell.com/

あらすじ
人助けが大好きな、中学3年生の鳩谷こはねは、卒業を目前にした3月に河川敷でチアの一団が野球の応援をする光景を目にする。
チア姿に感動した彼女は、高校に入るとチア部を設立しようと奮闘することになる。

 

評価点数:70点 ★★★☆☆

 

きらら枠アニメ

本作品は、まんがタイムきららに掲載されている漫画が原作であり、それを動画工房がアニメ化したものである。

俗にいう、「きらら枠」のアニメである。
「きらら枠」のアニメの特徴としては、ひたすら可愛い女の子の日常を描くだけ、これに特化していることである。

この枠のアニメでは、戦闘シーンであったり、過激な演出は見られない。
可愛い美少女を描き、「癒し」を人々に提供するのが目的であり、他は無視。
そういった潔いアニメが多い。

 

熱いドラマや激しいギャグが好きな自分としては、正直、惹かれるものは少なく、今までしっかりと見た作品はほとんどなかった。
しかし、今作品は「きらら枠」にも関わらず、最後まで視聴してしまった。
そして見終わった結果、「きらら枠」のアニメにしては珍しく、かなり好きな作品であったのだ。
これには自分でも驚いた。

 

明確な目標。しっかりとしたドラマ。

なぜ「きらら枠」なのに好きになれたのか。
他のきららアニメとどう違うのか。

 

まず、作品にしっかりとした目標がある。

人の役に立つことが大好きな主人公、鳩谷こはねは、チアガールの練習を見て、チアガールになることを夢見る。
チアガールになるため、チア部を学校で作るという、大きな目標ができるのだ。

そこに向かって、主人公が動き出す。
それにほかのキャラも巻き込まれ、どんどん話が動き出す。

そういった、物語としての流れがしっかりと今作品にはある。
ただ単に、キャラたちの可愛いシーンを流すだけではないので、物語としてみることができる。
これだけで、視聴に耐えうる作品だ。

 

こうした明確な目的が存在しているだけでなく、今作品にはしっかりとしたキャラ同士のドラマがある。

登場するキャラは、みんな大なり小なり、コンプレックスや課題を抱えている。
そこに対して主人公が接近し、解決することによって打ち解け、仲間になっていく。

その課題の解決方法も、非常に説得力がある。
主人公やその仲間たちの個性を発揮し、その課題に真正面から向き合う。
そこで導き出される結論には、バックグランドがある分説得力があるし、何より問題に逃げずに、真正面から立ち向かう姿は非常に美しい。

 

やや過剰な褒め方と思うかもしれないが、自分にはそれくらい魅力に思えた。

人が信じることができないキャラに対し、助けてくれると信じて、高所から飛び降りる主人公(高所恐怖症)。
同性を好きになってしまったという相談に対して、憶することなく返答する主人公たち。

時には強引な感じもあったが、相手にしっかりと向かい合い、問題の解決を一緒に図ろうとする彼女らは、どんどん魅力的に思えてくる。

 

スポーツ作品でもある

本作品は、チアダンスという一種のスポーツに、女子高生が挑戦する作品だ。
そういった意味で、今作品はスポーツ作品ともいえる。

基礎連や体力作りをしっかりと描写し、そこに苦心する主人公たち。
技術的な課題や、チームワークに苦心する仲間。
そんな、少し泥臭い描写も存在する(といっても、やはりきらら枠のアニメという感じはするが)。

 

何より、今作品がスポーツ作品だと確信したのは、主人公たちの実力が公正に描かれている点だ。

きらら枠に限らず、美少女がキャッキャウフフする作品に共通する特徴として、キャラの実力が異常に高い非現実的な描写が多い。
ギター初心者にも関わらず、スタジオミュージシャンばりの演奏をする某けいおんアニメとかが代表例だろう。

しかし、今作品は違う。
2人のキャラを除いて、主人公たちチア部のメンバーは全員初心者である。
5人中3人が初心者のチームというのは、目立つ技や技術はない。
そのことをしっかりと描写している。

普通、ド派手な技があったほうが、映像作品としては派手だから、実力を高く描写する。
しかし、今作品の主人公のチームのチアは非常に地味である。
基本的なステップと技のみで、くるくる回転するジャンプなんかは描写されない。

初心者が一生懸命踊るチアの姿を誠実に描写してるから生じる、この地味さに、素直に好感を持てる。
迫力がなくても、十分満足できるシーンになっているのだ。
何より、非現実的な描写によって、萎えることがないというのは大きい。

 

チアという「スポーツ」に、きらら枠でありながらしっかりと向きあい、描写している。
この時点で、他の日常系作品より好感が持てた。

 

日常系ゆえのテンポの悪さ

4コマ漫画のアニメ化作品の大きな欠点の1つは、テンポの悪さにある。

原作の4コマの起承転結をそのままアニメ化してしまうと、1分か2分に1回は、ネタの切れ目による空白の時間が生じてしまう。
それゆえ、ギャグの魅力がかなり落ちる。
しかも、今作品はきらら系作品だ。

もともとクスッとする程度にしかギャグは挿入されない。
軽いギャグシーンがほとんどだ。
そんなギャグに対し、軽いツッコミが入ったあと、微妙な間が生じてしまう。
あまり面白くないギャグシーンを、たっぷりとした長尺で楽しまなくてはならない。

 

これが、この作品の一番大きな欠点だろう。
ドラマシーンで盛り上がっても、そのほかの日常パートの随所に織り込まれるこのギャグシーンでかなり冷めてしまう。
毎回切れ目が挿入されることにより、全体的なテンポも悪くなり、次の話を視聴するモチベーションが落ちてくる。

今作品に限っては、きらら原作ということが大きなマイナスポイントになってしまったといえる。
しっかりとした物語も、ドラマも、合間に挿入される微妙なギャグシーンの間で、魅力が大きく下がってしまった。

 

ちょっと買いかぶりすぎたか…

中盤以降、正直自分の中で今作品の評価が少しずつ下がっていってしまった。

相変わらずキャラは可愛いし、むしろ長期間見続けていることで愛着がわき、素直に萌えることができていた。
作画もそんなひどいものではなかったし、異常な脚本もなかった。
いつものきらら作品の特徴であった。

 

そう、「いつものきらら作品」になっていったのである。
自分が魅力的に感じていたドラマが、少しずつ薄れていった。

チア部設立のために、仲間を集めている間は、毎話ドラマがあり、楽しく見ることができた。
しかし、徐々にきららの作品として完成していくにつれ、自分の中でのこの作品の魅力は下がっていった。

 

もともと、少し期待しすぎていたのもあったろう。
きらら枠の作品にも関わらず、思わぬプラス要素が多かったため、期待が大きくなっていたのだ。
そういった意味では、自分の勝手な勘違いによって起きた悲劇ともいえる。

もしこの作品がきららではなく、青年誌なんかで連載されていたら…
もはやそれは別作品だが、そんな原作レイプな妄想をせざる得ないほど惜しい作品であった。


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ビッテンk

ビッテンk

熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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