もっと見たいと思える完成度 「劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのファンファーレ~」 レビュー!

   

公開日 2019年4月
原作 武田綾乃
公式サイト http://anime-eupho.com/

あらすじ
黄前久美子は、2年生へと進級し、新1年生を加えた新たなメンバーで、全国大会優勝を目指して奮闘することになる。

評価点数:95点 ★★★★★

 

一言でいうなら…

この作品を見終わって、最初の感想。

それは、「TVシリーズで見たい!」である。
そして、この作品の大きな感想としては、この一言に集約されてしまう。

決して、今作品がぶつ切り作品で、描写不足のまま終わった不完全燃焼な作品というわけではない。
むしろ逆だ。
あそこまで濃い内容を、2時間未満に収めた花田十輝の神業はすさまじい。
完璧な映画化といえる。

 

しかし、1つ1つのエピソードの完成度が高すぎたゆえに、TVシリーズでもっと尺を割けばさらに良い作品に生まれ変わるのではないかと思ってしまう。
だから、「TVシリーズで見たい。劇場版でこれだけ面白いなら、TVで尺があればもっと…」
そんな夢を抱いてしまう。
それほどまでに魅力的な作品であった。

しかし、異常なまでの完成度である。
新1年生の加入から、サンライズフェステイバル、コンクール、3年生への進級まで、1年間を2時間未満(1時間半と少し)で描き切るのである。

こんな詰込みは普通なら、どこで尺不足を感じてしまったりする。
なぜ今作は高い完成度を保ちながら、この短い尺に収まりきったのだろうか。

 

テーマを絞る

花田十輝という神脚本家の素晴らしい構成によってこの作品は成り立っている。
今作品がピックアップし、伝えるべきはどんなエピソードか。
その選出がすごく上手い。

今作品のメインは先輩になった久美子たちと、新1年生である。
吹奏楽部という部活動を描くには必須な、卒業、新たな後輩、新しい責任。
そういったものこそが、本作品の一番のテーマであると、まず決めた。
そして、しっかりとそれに沿ってエピソードを抽出している。

 

さらに、学年が上がり、高校生から大人になっていくにつれ、将来に関しての不安が生じるのは必然である。
ここを第2のテーマとした。
高校2年生という、進学や就職といった、将来への決断に対して生じる漠然とした不安に対し、向き合う久美子と麗奈に焦点を当てている。

 

この2つのテーマを描くにはどのようなエピソードを描けばいいか。
さらに言えば、どのキャラを描写すればいいのかまでを考慮している。
今作品は久美子たち、というよりも、限りなく久美子と彼女に関係する後輩キャラに焦点を当てられている。
この2つのテーマを短い時間で描くには、他のキャラまで描写している余裕がなかったのだろう。

1期にあった音楽の楽しさや成長していく喜びなんかは、今作品に関してはほとんど描写されていない。
さらに、すでにキャラが確立してしまっている滝先生なんかは、出番自体が少ない。

テーマに沿った大胆なエピソードの取捨選択が、ここまでの短縮化を成功させた大きな要因だろう。

 

映像による圧倒的な演出

しかし、花田氏の凄腕だけでは、ここまで見事な作品にはならなかっただろう。

やはり、京都アニメーションが作る映像があってこそだ。
画面に構成される圧倒的な演出力を抜きにしてこの作品を語ることはできない。

ただ単に作画が良いという問題ではない。
ぬるぬる動いたり、書き込みが凄いだけでは、演出にはならない。
そのシーンの伝えること、キャラの感情を、映像で表現する。
これが、抜群にうまい。

演奏の少しのアイコンタクト。
背景のコントラストとキャラの感情。
ほんの少しの動きによる、動揺や嬉しさの表現。

そういったものが本当にうまいのだ。
1シーンにおいて、セリフを多くすることなく、伝える情報量を多くする。
視聴者の気持ちを上げる映像を作るのがうまい。

 

特に一番好きなのが、夏祭りのシーンだ。
修一と久美子のデートシーン。
正直、これを軸にした恋愛ドラマを一本作ってほしいくらいの完成度だ。
2人の距離が近づいていく様子を、わずかな時間の映像で描いている。

そして、そのあとは久美子と麗奈の山頂でのシーンである。
1期にも存在した神シーンだが、今作にもしっかりと存在する。
前作に比べて時間は少なくなっているが、その分の濃さが濃縮している。
1年間での2人の成長と、変わらない百合一歩手前の関係を、ほんの数分間のシーンで伝えきる表現力。
さすがの一言である。

 

忘れそうになるが、今作品の演奏シーンのクオリティの高さを忘れてはならない。
今までのアニメに比べ、音楽そのものの練習シーンや向き合い方のシーンはカットされているものの、演奏シーンのレベルは化け物級だ。

というより、今までの作品で一番感動したかもしれない。
それくらい迫力のある演奏シーンであった。
カット割りやアップのタイミングなど、より洗練されている。
サンライズフェスティバルと合わせて、2回しかない演奏シーンであるが、注目である。

 

秀一と由美子の恋愛

少しネタバレになってしまうが、今作品の冒頭は、秀一と久美子のシーンから始まる。

今までにおわす程度で、少ししか描写されなかった2人の関係が、ついに掘り下げられるのだと、大きな期待を抱いた。
しかし、実際はそこまでではなかったというのが悲しい現実であった。

確かに、今までに比べたら格段に掘り下げられた。
描写された。
しかし、足りない。

2人の関係を描くのに、必要最小限の描写しかなかった。
それでも、劇場でニヤニヤが隠せないくらいの魅力があったのは否定しない。
しかし、しかしである。

 

もっと見たかった。
2人の関係だけでなく、それに対する周りの反応や、久美子の細かい感情の動きなど。
特に、終盤のエピソードに関しては、2人の関係があの結末に達するにしては、少し弱いエピソードな気がする。
泣く泣くカットしたのだろうか。

とにかく、全体的にもっと尺が欲しいと思った作品だったが、特にここに関しては尺が欲しいと思った。

 

もちろん、他にも尺が欲しいシーンはたくさんあった。
サファイアと月永君との関係。
そこからの月永君の掘り下げ。
新1年生の中で一番描写が少なかった彼はもう少し焦点を当ててほしかった。

あとは、前作に比べ空気になってしまった3年生(旧2年生)。
彼女らが部長や副部長という責任に対して、どのように向き合ってきたのか。

 

こういった、もっと描写してほしいものは、数えだしたらきりがない。
自分が久美子が大好き(特に秀一との関係)だったから、2人の関係をピックアップして述べたが、人の数だけ取り上げてほしい部分は違うだろう。

 

最高の作品だが1つ注意

今作品を見て、一番後悔したのは、公開済みの劇場版、『リズと青い鳥』を見ていなかった点である。

もちろん、話の直接的なつながりはないし、今作品は今作品でしっかりと完結している。
しかし、今作品のコンクールの自由曲の題名が『リズと青い鳥』であり、演奏シーンの大部分を占めるのはオーボエとフルート、つまり劇場版『リズと青い鳥』の主役2人(みぞれと希美)である。
この2人の演奏シーンを見たときの感動は、きっと劇場版を見ていたかどうかで大きく違っただろう。

絵柄が完全に違っていたので、『リズと青い鳥』は別作品(if的な作品)かと思ってスルーしていたのが大失敗だった。
これから今作品を視聴する際には、ぜひリズ鳥を見てから視聴したほうがいいだろう。

 

ただ、今作品は単体でも見ても幸せを噛み締めれる名作なのは間違いない。
こんな名作を作ってくれた京都アニメーションに、改めて感謝である。

TVアニメ化を祈って、Blu-rayを買う予定だ。
皆さんもぜひ劇場に見に行って、TVアニメ化への道をつなげてほしい。

 


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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