丁寧って素晴らしい 「風が強く吹いている」 レビュー!

      2019/07/26

放送時期 2018年秋~2019年冬
原作 三浦しをん
公式サイト http://kazetsuyo-anime.com/

 

あらすじ
「なあ!走るの好きか!」
清瀬灰二(きよせはいじ)と名乗る男に話しかけられ、なし崩し的に、竹青荘という古びたアパートに住むことになった蔵原走(くらはらかける)。
そこに暮らす個性豊かな9名の住人。
まさか、彼は自分を含め、この10名で、箱根駅伝初出場を目指して、走り始めるとは夢にも思っていなかった…

 

評価点数:77点 ★★★☆☆

 

 

シンプルなあらすじ

本作品のあらすじは非常にシンプルだ。
ボロ下宿の家賃の安さに惹かれて集まった12人の大学生が、「箱根駅伝初出場」を目指すというもの。

つまるところ、偶然集められた素人が、達成不可能に見える目標に挑戦するという作品。
一番分かりやすい例で言えば、『ドラゴン桜』なんかがこういった作品の代表例になるのだろうか。

こういうあらすじがひねりもなくシンプルな作品は、初見で惹き付けるものを生み出すのが難しい。
普通ならば、奇抜な練習方法などで、現実味のない目標に対してアプローチをかけ、視聴者の興味を惹かせるのが普通だ。
それか、とてつもなく強烈なキャラクターを出すか。

 

しかし、今作品はこのどちらにも当てはまらない。

主人公たちのキャプテンでありコーチであるハイジというキャラの指導は、特段変わったことはない。
ごく普通のマラソン選手のための指導だ。

そして、その彼の練習を受ける選手たちも、特別なインパクトをもったキャラはいない。
日本全国の大学を探せば、「どこかには」いそうな人物ばかりだ。
ガツンとくる登場人物はいない。

 

では、どうやって視聴者を惹き付けるのか。
何がこの作品の魅力なのだろうか。

それは、「丁寧さ」だと自分は思う。

 

焦らない作品

今作品はマラソンを題材にした作品なだけあって、非常にペースを大事にしている作品というか、「落ち着いた」作品だ。

普通の作品なら、なにか掴みになるようなキャッチーなものを作りたがる。
今作品に関しては、「ほぼ全員初心者のチームが箱根駅伝出場を目指す」という、最終目標は、かなり突拍子のないものだが、あとは、かなり現実的なキャラ、設定となっている。

しいて言うなら、「王子」と言われる引きこもり漫画オタクくらいだろうか、フィクションぽさがあるのは。

 

設定だけでなく、物語の進め方もしっかりと一定のペースで進む。
主人公とハイジの出会い、各々のメンバーの紹介、徐々に練習に打ち込む仲間たち。

そうした1つ1つの展開を、焦ることなく、飛ばすことなく、本当に「丁寧に」描いていく。
本当に「丁寧に」だ。

こう書くと、テンポが遅い作品と思われるかもしれないが、そういうわけではない。
むしろ、テンポは最近の作品の中では、良い方ではないだろうか。
ただ、しっかりと物語を構成する上で必要な要素を無駄なくしっかりと描写しているということだ。

だからこそ、テンポが早くても「丁寧に」描くことができる。

 

そして、この「丁寧さ」が生きてくるのは、前述した「落ち着いた」作風があるからこそだ。

普通、こういう脚本だと、視聴者は飽きてしまう。
その理由は、作品の持つ雰囲気、その雰囲気から視聴者が抱く期待に答えることができないからだ。

刺激的な設定やキャラで作品を作ってしまうと、視聴者は常に激しい刺激を求める。
もっと面白い内容を、変わったキャラを。
そういった期待を視聴者は持ってしまう。

だから、普通のエピソードをどれだけ丁寧にやっても、視聴者の期待は裏切られ、満足しない。
彼らの要求は、普通のエピソードでなく、刺激があるエピソードなのだ。
ここで視聴者を驚かせるエピソード、キャラを生み出し続けれるアニメが名作となる。

こういった作品を目指すときに恐ろしいのが、最低限のエピソードを描くよりも、突拍子のないキャラや展開を生み出すのに固執してしい、とんでもない駄作が生まれてしまうことだ。
多くの駄作と言われるアニメ作品は、この傾向が強い。

 

それに比べ、今作品の奇抜な設定は、初心者の大学生が箱根駅伝出場を目指すという最終目標だけだ。
ほかは普通。

だから、地味な展開を「丁寧に」描くだけで視聴者はついてくる。
なぜなら、最初から期待はしていないからだ。

唯一の奇抜な設定、箱根駅伝出場。
それが最終目標になっている。
これが非常に巧みな構図だ。

奇抜さに対する期待、それを応えるのは24話使って最後に答えればいい。
それが最終目標だからだ。
物語の途中で無理する必要がない。
だからこそ、途中までの丁寧さが許されるし、その丁寧な展開の積み重ねが、ラストに発揮するのが素晴らしいのだ。

 

キャラ(特に悪役)の弱さが欠点。

惹かれるキャラがいないと書いたが、それは序盤の話だ。

丁寧に1人1人のエピソードが描かれていくうちに、どのキャラも好きになれる。
癖がありすぎるわけでもなし、かといって無個性なわけでもなし。
非常に良いバランスのキャラが多い。

 

ただ、1人だけ、褒めることのできないキャラがいる。

主人公(カケル)の高校時代の同級生で、いわゆる「嫌なライバル」として登場するキャラだ。
彼だけは、丁寧に描かれていた今作品の中で、一番雑だった部分といえる。

まず、こういう展開をしたいから、このキャラをだしました、という作者の魂胆が丸見えなキャラだった。
簡単に言ってしまえば、テンプレキャラであり、なんの面白みもないキャラといえる。

 

というか、このキャラだけ、作者が魅力を描こうとしなかったように思える。
確かに、主人公たちの本当のライバルである、「藤岡」という実力者はいる。
彼の描写に時間をかけたいのはわかる。
だから、このキャラはかませ犬として描こうというのも、わかる。

しかし、いくら噛ませ犬でも、あからさますぎてはこっちも熱が冷めてしまう。
しかも、このキャラは一瞬で出番が終わるわけではない。
24話のうち、なんだかんだ半分くらいは出番があるキャラだ。

しかも、前述した通り、「イヤな」キャラなので、見ていて不快感が生まれる。
その上、彼だけは特に成長することなく、汚れ役として掘り下げられることなく終わった。

 

もし、このキャラが、悪役なりの美学を持っていたり、人間味のあるやつだったり、最後に覚醒してカッコいいところを見せてくれていたら、この作品の大きなプラスになっていただろう。

作者の都合で作られ、使い捨てられたこういうキャラを見ていると、非常に悲しくなるし、物語から一気に熱が冷めてしまう。
ほかが非常に丁寧だっただけに、残念であった。

 

 

地味だが、良作

本作品は、ぱっと見で惹きつけられるものはあまりにも少ない。
「UNISON SQUARE GARDEN」のOPくらいだろうか笑

シンプルなあらすじしか魅力がない分、前半は若干辛さを感じるが、テンポ良く、でも丁寧に描かれる物語に次第にハマっていき、気づいたら全話鑑賞してしまう。
そんな作品だ。

丁寧なことの良さ、それを噛み締められる、良作であった。

 

ヒロインについて…

蛇足になってしまうが、最後に1つ小言を。

今作品の唯一の女性キャラであり、ヒロインポジションの女子高生、花ちゃん。
彼女の恋の行方についてだ。

みんなのマネージャー的なポジションを務め、常に笑顔で応援してくれる、非常に可愛らしいキャラであった。
物語のメインはランナーである大学生たちであるため、あまり出番は少なかったが、それでもむさ苦しい本作品にとって貴重な存在であった。

 

そんな花ちゃんに、実は好きな人がいたことが終盤(割と本当に終盤)明かされる。
驚愕な事実だが、結局この花ちゃんの恋の行方は最後まで描かれない。

誰が好きだったのか、どうなったのか、なぜ好きになったのか…
そういった重要な部分は何も明かされていないのだ。
そこが、自分が声を大にして言いたい文句である。

あんなにカワイイキャラがいるんだから、ぜひ花ちゃんのキュンキュンラブストーリーもほしい!
OVAでも構いません。
待ってます。


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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