アニメ版「戦場のヴァルキュリア」レビュー! 方向転換に救われた佳作!

      2016/08/30

戦場のヴァルキュリア Blu-ray BOX

放送時期 2009年4月~9月(全26話)
原作 SEGA
公式HP http://www.valkyria-anime.com/

舞台となるのは架空ヨーロッパ。
ラグナイトと呼ばれる鉱物資源の産出国であるがため、戦争に巻き込まれる小国「ガリア」。
その戦争に義勇軍として立ち向かう主人公のウェルキン・ギュンターとヒロインのアリシア・メルキオットの物語である。

評価得点:★★★☆☆ 71点(佳作)

※ ネタバレ有につき、ご注意の上お読み下さい。

 

圧倒的な期待感と、やっぱりな失速感

PS3の同名の戦術ゲームが原作となる本作。
原作ゲームの方向性もあって、やはり最初は「戦争アニメ」としての要素が濃い。

 

戦史や戦争作品が好きな人なら、冒頭はのめり込むはずだ。
帝国の侵略に困惑しながらも、必死になって対抗する民衆の図が、物語への期待をいやがおうにも高めてくれる。

元々、こういった第一次世界大戦チックな世界観を前提にした物語は少ない。
それだけに、とても希少で楽しみな作品だと胸躍らせながら第一話を見終え、高揚感とともに第二話を見終わろうとしているときに、すべての期待を蹂躙される。

 

すべての戦術・戦略要素をひっかる返す超兵器、チート戦車の登場である。

 

「戦争アニメあるある」がここでも健在w

本作は義勇軍として敵と戦う、主人公たちの物語だ。
そして主人公はその義勇軍の隊長として、部隊の指揮を取る。
最初は主人公に対して懐疑的だった部隊の面々も、その作戦能力の高さを徐々に認めていき……。

 

という、戦争アニメでよく聞くようなストーリー展開だ。

断っておくがこの展開、本来であればかなりアツくかなり面白い。
テンプレ展開かもしれないが、その物語上の主義思想の交錯や知性のぶつかり合いは、たいていの視聴者の心を射止めるのに十分な破壊力を持っているのだ。

 

ところが本作では、知性のぶつかり合いなどという高尚な展開はほとんど存在しない

 

第三話以降、義勇軍として帝国と戦う主人公たちの話は、壮絶に面白くないのだ。
第一話のwktk感はすっかりとどこかに消えてしまった。

主人公であるウェルキンの立てる作戦は、全て第二話ラストで登場したチート戦車に依存しまくっている。
効果的な活用方法とは言えるかもしれない。
だが、圧倒的な新兵器による蹂躙戦を前提にした描写ではなく、いかにも「ウェルキンの作戦で勝った!」的な展開なので、基本的に戦略・戦術アニメとしてはアウト。

「ヤン・ウェンリーをやろうとして失敗した」のが、このウェルキンという主人公なのかもしれない……。

 

知将を描く難しさに挑んだ点は評価するが…

やはり、知将を描くのは難しい。

敵軍の常識的な思考の裏をかいて、視聴者をあっと驚かせる。
そんな奇策を考えつくことができるキャラクターは、それだけで魅力的なわけだが、簡単ではないだろう。

本作の主人公であるウェルキンも、きっと知将として描きたかったのだろうけど、残念ながら全く描けていません。
むしろ雄々しく戦車単騎で突撃していく様は、まるでビッテン○ェルトのような猛将か、勇気と誇りで何でもできると考えている貴族のどら息子か……といった様子。

今更何を語るまでもないけど、こういった戦略系の物語というのは、あくまで「知略」によって敵を上回らないと無価値だ。
「常識を超越した戦闘力を誇る機動兵器」や「主人公補正によるビギナーズラック」で一度でも勝利してしまうと、その作品の価値は大きく没落してしまう。

きっと知略家としてのウェルキンを存分に描けていたら、このアニメの出来はもっと違ったものになっただろう。
それだけに、残念です。

 

そして同じような課題として、大塚親子が演じる帝国の将軍二人が弱過ぎる。
大塚パパの渋すぎる将軍が、完全なる無能者と化しているではありませんか。
あれじゃあシュター○ンよりザコだろwww

 

中盤以降の方針転換で、一気に「見れるアニメ」に!

そんなこんなで物語が進んでいくわけだが、方向性が途中から大きく変わってくる。

物語の中盤近くなると、脚本家がダメさに気付いたのか、はたまたそういう予定だったのかは不明だが、話の中心が「戦争」の「戦い」の部分から逸れていく。
といっても、戦場に出ないわけではなく、話の要点が、「いかにして敵に勝つか」から、「戦いの中で部隊の個人個人の物語を描く」ことに変わっていくのだ。
この変更はとても大きくて、中盤以後はかなり安定して見れるアニメに変わる。

そして終盤にかけては、主人公ウェルキンとヒロインのアリシアとの、胸が温かくなるようなラブストーリーが紡がれる。
色々トンデモ設定が登場するものの、おおむねアリシアとウェルキンの恋愛はうまく描けていて、完成度も高い。

 

このシナリオライターさんは、もともとこういう方向性が得意だったのだろう。
第三話か四話あたりから、もう部隊内部の人間ドラマを描く方向に突き進むべきだった。
そしてラブストーリーをさっさと初めてくれたらよかったのに……と、思ってしまうのであります(^^;

 

戦争という時代背景を全く描けていないが…

戦争アニメとしてとらえた場合、この作品の出来はかなり微妙だ。
「安定した」と言っていい中盤以降でも、冷静に作品の舞台背景を考えれば、こんなに和やかな日々の描写が許されるはずがない。
戦争の持つ凄惨さや悲惨さを伝えきれていないし、戦時下における兵士の心理がこんな生易しいものであるはずがないのだ。

戦争アニメというのは、単に「面白さ」だけではなくて、しっかりと戦争の悲惨さを伝えるべきだと私は思っているのだが、この作品にはその点全く期待できない。

 

でも、ある程度割り切って、青春ストーリーを楽しむためのアニメとしてみれば、結構楽しめる。
かの往年の名作、アニメ版「ガンパレード・マーチ」に近づこうとして及ばなかった作品、と言えばいいかな。
あの戦時下的な雰囲気は、とうてい描けてはいないのだが……それでも青春ストーリーはなかなか良い出来栄えだ。

総じて言えば、それなりに面白い作品ではあるだろう。
序盤の展開を我慢し切る必要があるのが、辛いところだが……。


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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