「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」レビュー! マジメに作り込まれた超優良作!

      2016/09/01

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 1 (特装限定版) [Blu-ray]

放送時期 2015年10月~2016年3月(全25話)
原作 アニメオリジナル
公式HP http://g-tekketsu.com/

地球圏全体を巻き込む大戦争「厄祭戦」が終結してから約300年。地球圏は軍事を司る武力組織「ギャラルホルン」の監視の下で平和を保っていた。
しかし、地球圏重視の政策は貧困という形で火星などの圏外圏に降りかかり、主人公の三日月・オーガスを始めとする非正規の少年兵や人身売買される孤児「ヒューマンデブリ」などの社会問題を生み出していた。
そんな中、三日月が所属する民間警備会社「クリュセ・ガード・セキュリティ(以下CGS)」は、火星の独立運動を指揮する少女クーデリア・藍那・バーンスタインの依頼で、彼女を地球圏まで護衛することになる。

評価得点:★★★★☆ 89点(良作)

※ ネタバレ有につき、ご注意の上お読み下さい。

 

渇望の声に応える、ガンダムの新たなるステージ!

この作品の放送が決まった当初、私はそれほど喜びも驚きもしなかった。

ガンダムという作品が日本を代表するアニメシリーズであることは間違いないし、その名前の持つブランド力はいまだに絶大なものがある。
何か新しくアニメを放送するのなら、そのアニメに「ガンダム」の名前を付けるのは、視聴率や円盤の売り上げを稼がないといけないビジネスの世界では、妥当な行為だろう。
大して期待はしないが、そのうち見てみようか、ぐらいに考えていた。

 

そして、本当に何気なく見た第一話。

この作品の虜になるには、それで十分だった。

 

用意された世界観に、まっすぐに向き合う快作!

 

面白い。

 

偽善や綺麗事ではなく、フィクションながらも用意された世界観と真摯に向き合った実直さが、迫真のストーリーを生み出している。

少年兵や「ヒューマンデブリ」などと言われた人間売買、経済環境や秩序の崩壊した世界。
そんな世界の中で、当然あるであろう歪みにまっすぐスポットライトをあて、それをどこまでもマジメに描きぬいている。

そんなマジメな作品だからこそ、この物語には嘘がない。

一生懸命生き抜こうともがく少年たちの猛りが、クーデリアというヒロインの姿と重なり合いながらも、強烈なインパクトと重量感を与えている。
彼らは唯一「ガンダム」というファンタジーの力を借りたが、それ以外は彼らにできることをやり抜いて、彼らの道を切り開いていくのだ。

 

新しくも懐かしい「ガンダム」の香り

『少年たちが、唯一「ガンダム」というファンタジーの力を借りて、生きる道を切り開く』

これはまさに、初代ガンダムが迫真の面白さを生んだ最大の所以だ。
そして多くの作品が超えようとして果たせなかった、初代の魅力の骨子でもある。

初代が戦争に巻き込まれた一般の少年少女を描いたのに対して、本作の描き方は独自路線が強く、大衆的ではないかもしれない。
だが、SEED等と異なり、「まったく新しいやり方」で初代の道を再現してみせた本作の手法は、称えられるべきだと思う。

 

主人公はクーデリア! 扱う決意はとてつもなく重く…

ちなみに本作の主人公は、実質的にはヒロインであるクーデリアだ。

この描き方が、半端ではない。
「革命の乙女」として謳いあげられた……祭り上げられた、かもしれないが……クーデリアが、本当の意味で革命を起こすという決心をするまでの描き方は、鬼のようなシビアさだ。

 

世間知らずのご令嬢だったクーデリアが、鉄華団と関わり、世界の真実と関わりあう中で、

「世界を変革する」

ことの真実を知っていく。
革命の乙女が果たすはずだった、功績に彩られた珠玉の未来は、血と屍の海に浸った、殺戮の道であることに気づいてしまう。
そのことに気づき、決断を悩むクーデリアに、三日月のかけた言葉。

その決断は、自分が初めて人を殺したときと同じようなもの……

 

残酷なストーリーだ。

彼女の下したその凄惨ともいえる判断によって、現に鉄華団の、目の前で交流していた多くの団員が散っていく。
だが、だからこそ立ち止まることも振り返ることもできなくなっていく。
闘争と殺戮のただなかに突っ込んでいく。

 

……続編を見るのが怖いアニメでもある(笑)

 

「ガンダム」ブランドの未来を占う?

さて、本作を見ながら、多くの人はこう思わなかっただろうか?

「面白いけどこの話、別にガンダムでなくてもよくね?」

上述の通り、本作はまったく違う方向で初代ガンダムの面白さに挑んだと思う。
ただ、最初の方は私も、「あれ?これガンダム?」と思ってました(笑)

 

改めて「ガンダム」ブランドを意識する

「ガンダムシリーズ」とは言っても、実質的に「ガンダム」が「シリーズ」だったのは「Vガンダム」まで。
それ以降の作品は、世界観の基礎やモビルスーツのデザインのベース部分を流用したに過ぎない、「ほとんど別の作品」である。

今作にしたところで、別に「ガンダム」である必要は一切なかった。
世界観の共通性も比較的薄く、主人公機バルバトスのデザインとその「ガンダム」という枕詞がなければ、まったく「ガンダム」シリーズには見えない作品だったろう。
物語展開には初代からのインスパイアが見受けられるものの、独自の手法を取っているためそれほど露骨でも明白でもない。
完全に別にアニメとして切り離すことは可能だっただろう。

ただし、そうであった場合にここまでの人気を博したかは疑問だ。
そもそも、ガンダムの名を冠することのないロボットアニメに、日曜の17時という「非深夜」な放送時間を確保する力はないだろう。
一部の人だけが知る良質のロボットアニメで終わっていたに違いない。

やはり「ガンダム」という名前の持つブランド性を、再確認させられるアニメでもあった。

 

ただ、だからこそ、ただの良質のロボットアニメで終わってほしくない作品だ。

 

ガンダムの新たな柱となるか?

個人的な想像だが、もし「ガンダムSEED DESTINY」が良作以上の出来栄えであったなら、ガンダムのシリーズ展開は現在と大きく違ったはずだ。

すべてのガンダム作品の展開は「SEED」系を中心に構築されていたはずだし、続編にはSEEDの世界観を引き継ぐ、「新しいガンダムの系譜」が用意されていたはずだと、私は思っている。
すべては「DESTINY」の失態により、闇の中に消えてしまったが、ここで「SEED」世界=「ガンダム」だという流れを構築できなかったのが、その後TVシリーズの迷走に現れたような気がしてならない。(00の最初は好きだったけど…)

毎回毎回世界観が変わるのでは、当然迷作も駄作も出てくる。
だからこそ、安定したコンテンツを供給するためには、世界観が定まったシリーズ作品が望ましい。

 

そういう意味で、オルフェンズは新しいガンダムの礎となりうるのか。

今後オルフェンズをベースにすべてのガンダム世界が展開されていくというのは、さすがに考えにくい。
だが、柱の一つとして構築できる流れが宇宙世紀以外に増えるのは、ガンダムブランドにとってとても有意義だ。

 

すでに放送が決まっている次回作への期待は、とてつもなく大きい。
制作スタッフにも相当の重圧がかかるだろうが、是非頑張って、もっと面白い「オルフェンズ」を見せてほしい。

 

とにかく面白い!とりあえず見ればわかるさ!

長くなったが、とりあえずもう一度一言。

 

面白いです。

 

ガンダム好きな人も、嫌いな人も、そもそも知らない人も、誰にだっておすすめできる。
圧倒的に「ふつーに面白い」アニメだ。

 

本作のスタッフには、心からの感謝を送りたい。

「新しく、面白いガンダムを、ありがとう」

そして同時に、「二期はお手柔らかに……」とも言っておこう……(笑)


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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