隠された傑作!? アニメ「奏光のストレイン」レビュー!!

      2016/08/30

奏光のストレイン waltz.II 初回限定版 [DVD]

放送時期 2006年11月 - 2007年2月(全13話)
原作 アニメオリジナル
公式HP 不明

人類は宇宙を舞台にユニオン(連合)とディーグ(帝国)の2つの陣営に分かれて、始まりすら定かではない永い戦争を続けていた。

エースと謳われた兄を慕い、機動兵器「ストレイン」のパイロットを志す少女セーラ。
だがある日、突然の敵の奇襲により、彼女の通う士官学校は壊滅。多くの仲間を失ってしまう。
彼女自身、「ストレイン」に乗るための自らの分身「ミミック」を失ってしまうが、その戦場で見たのは、祖国を裏切り敵となった兄の姿だった。

 

評価得点:★★★★☆ 85点(良作)

※ネタバレを含みません

 

すべてを失った少女を描いたSF大作

単純に言えば、「面白い」の一言に尽きる。

第一話で、大切なものをすべて失った少女が、それでも前に進んでいく話なわけだが、すべてにおいて出来が良い。
SF設定はそれほど特殊でないためわかりやすく、作画もCGも安定し、キャラクターの心情をうまくエピソードに滲み出す脚本が絶妙な味わいだ。

個人的には、これほど面白いと思ったSFアニメは、「ガンダムSEED」以来だった。

 

SF設定を最大限に使った魅せ方に好感

面白いのが、この世界にある兵科。
戦場には主に二種類の機動兵器が投入されるのだが、この描き方が序盤の独特なシリアスさを生んでいる。

まずは「ストレイン」。
作中では「両軍を通じて唯一、単独亜光速巡航の可能な有人機動兵器」であり、圧倒的な火力・機動力を誇るが、誰でも乗れるわけではない。
ストレインの操者となるには、「受精卵の時に同一胚から分割・培養された双子の脳」が収められた「ミミック」という装置が不可欠なのである。

そして「ギャンビー」。
主力兵器で訓練さえ受ければ誰でも登場できるが、ストレインより小型な量産人型兵器。
亜光速戦闘は不可能であり、火力にも機動力にも圧倒的な差がある。

 

主人公であるセーラは、第一話の時点では「ストレイン」乗りだ。
だが彼女は第一話で、ストレインに乗るために必要な自らの分身「ミミック」を失ってしまう。
もはや二度とストレインに乗れなくなった彼女は、それでも兄を目指すために「ギャンビー」に乗り換えて宇宙を目指す。

 

作中序盤において、このセーラの立場を強調するのに、美しい「ストレイン」と鈍重な「ギャンビー」の対比は、とても効果的な色を出している。
すべてを失った少女、を描くためだけに腐心されたとも思えるこのSF設定が、本作の肝だろう。
設定が面白いわけではなく、価値観・臨場感を絶妙に盛り上げてくれている。
個人的には、こういった「キャラクターのための設定」はとても好きだ。

昨今のアニメでよく見られるぶっちぎった様々な世界感を決して悪いとは言わないが、本来設定とは、キャラクターを描くために利用すべきものだろう。

 

高い完成度の一方で、話数の少なさに口惜しさも…

完全に尺の都合なわけだが、物語に「遊び」はほとんどない。
主人公であるセーラと、それを取り巻く艦内の人間模様、そして裏切った兄との物語がひたすら描かれる。

それは別に悪いことではないのだが、前述のとおり「第一話」のセーラとのギャップ……というより、第一話の展開を使った様々な「きっと描けたであろう」要素を想像すると、惜しい部分も多い。
2クールを使ったとしても、きっと面白く描けた作品であっただけに、尺の短さは本当にもったいないと感じてしまう。
もっと話数があって、しっかりとしたエピソードをいくつか用意できれば、本編において朴訥として他者を寄せ付けなかったセーラの内面に、もっと深く切り込めたはずだった……。

 

本作における最大の欠点は、主人公セーラが孤独過ぎることだ。

とはいえ、友情はきちんとある。
すべてを失った彼女が、仲間を持って人間らしい関係を取り戻す流れは、しっかりと紡がれている。

ただそれはあくまで、彼女に対して仲間が与えたやさしさに過ぎない。
彼女が仲間に心を開き、本当の意味で心を通わせたと思うほどには、エピソードが充実していないのだ。
そしてそれができなかった最大の理由は、やはり尺の都合だと思われるわけです。

言い換えれば、本作に足りなかったのは「キャラクターの深み」だ。
それぞれのキャラクターは不足なく描かれているが、それはあくまで「不足がない」だけに過ぎない。
個としてのエピソードを、「過去ではなく今」としてのエピソードをもっと踏み込んで、セーラと仲間たちの絆のエピソードをより強力に描き切ることができれば、本作はより魅力的な作品に仕上がったに違いない。

その域に達していれば、問答無用で傑作と呼べる作品だった。

 

だが、それは贅沢というべきだろう。

少なくとも本作は、欠点も少なく、演出にも脚本にも恵まれたかなりの良作である。
唯一キャラクターデザインは好みが分かれるとしても、多くの人に推薦できるアニメであることは間違いない。

良質のSF作品をお探しの方は、ぜひ本作を試してみてほしい。


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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