「ガンパレード・マーチ 〜新たなる行軍歌〜」レビュー。アニメ版ガンパレは超優良恋愛譚?

      2016/08/30

ガンパレード・マーチ ~新たなる行軍歌~ DVD-BOX 〈期間限定生産〉

放送時期 2003年2月~4月
原作 ソニー・コンピュータエンタテイメント
『高機動幻想ガンパレード・マーチ』
公式HP 不明

1945年に突如出現した幻獣と呼ばれる謎の生命体によって、人類は次第に駆逐され、1999年7月には人類の生存圏は日本をはじめごくわずかとなっていた。
高校生ぐらいの年代の少年少女のうち、HWTのパイロットに適応するとみなされたものは選抜徴兵され、幻獣との戦いに投入されているが……。

評価得点:★★★★☆ 88点(良作)

※ネタバレを含ません

 

難しい世界観で繰り広げられるSF青春ドラマ

「幻獣」との戦いの最前線。
徴兵された少年少女が、人類存続のために戦う姿を描いたアニメだ。

原作はPS版ゲームだが、とにかく難しい世界感を上手くアニメで再現している点が評価が高い。
特に特殊な戦時下におけるリアリティの出し方が巧みで、「凄惨な戦場」と「緩やかな日常」が上手く混在している。

もっとも、厳しい視点で考えれば、実際の最前線としては、やや雰囲気が「緩い」。
だがこれ以上硬派に戦争臭を出し過ぎると、本編が「やりたいこと」が描きにくくなってしまう。
原作の世界観もこんな感じなので、あくまで戦線が膠着した最前線はこんな感じ、という考え方が妥当なのかもしれない。

 

あくまでも本作はラブストーリー

独特な世界観を上手く描いた戦争アニメ。

 

……と思っていたら、戦争アニメのシュールさは序盤に数話ほど。
効率よく見せつけてくれた後は、なんと恋愛アニメになる。

 

せっかく巧妙なタッチで再現した世界観がかなり和らいでしまうのは勿体ないとも言える。
だが、序盤数話で戦時下における世界観…徴兵されて戦う少年少女たちの世界に感情移入させておき、その後そのキャラクターたちの個人の世界にぐっと踏み込むという段階を追った展開は、「硬質かつ緩やかな日常」を描き出す本作の肝だろう。

そして何より、恋愛ドラマはかなり出来が良い。

 

主人公の速水と、ヒロインの舞との、微妙なすれ違いのお話しが繰り返される。

話の進み方は、まずテンポが抜群に良い。
一つ一つの物語がはっきりしていて、明確な余韻を残しながら、それでも物語はあっさりと先へ進む。
その空気を敏感に演出しているBGMや作画もすばらしく、アニメーション作品としてのレベルは総じて高い。

 

そして、このラブコメパートを支えるのは、舞のキャラクターだろう。

 

そもそもですが「ツンデレ」とは…

何者にも媚びず、一人で立っている女性が、不意なことから心を許してしまう。

そんな強さと弱さの対比が、女性キャラクターを魅力的に魅せる源泉だと思うし、そういう描き分けのことを、本当の意味での「ツンデレ」というのだと思う。
強気なフリをしているだけの男に媚びるキャラクターのことを「ツンデレ」とは言わないし、強気だけど単に惚れっぽいだけの女性も別に「ツンデレ」とは言わない。
高い自尊心と強い自我を持った女性が、時折見せる弱さを「ツンデレ」というのだと思う。

そして多くのキャラクターが、「高い自尊心」と「強い自我」を上手く描けずに苦悩しているのですw

 

芝村舞は、そういう意味で見事に描かれた「ツンデレ」だ。
パイロットとしての高い独立性と、その圧倒的能力故に他人に馴染まぬ孤独さ。
こういうキャラクターが頬を赤らめる仕草は、何だか心温まるものを感じてしまう。

 

「安くない」キャラクターだからこそ、物語が洗練する

先述の芝村舞の「ツンデレ」論についてもそうなのだが、とにかくキャラクターの描き分けが上手い。

それぞれのキャラクターはしっかりとした個性を持っているが、その描き方に「押しつけ」感は全くない。
エピソードを通して、彼らの日常生活を通してにじみ出る個性が、きちんと描かれているのだ。

 

キャラクターがしっかりと作られているということは、誰が何をしてもエピソードが生まれる。
「キャラクターが勝手に動く」という話を、ストーリーテラーの方々がたまにされているが、本作のエピソードを見ていると、そんな印象を受ける。
序盤で紡がれた各キャラクターの明示的な個性が、後半の恋愛ドラマを支えている。

 

注意すべきは主人公である速水の「キャラクター」

何度も言うが、キャラクターの描き方はハイセンスでハイレベルだ。
そこに例外はなく、不足もない。

ただ、これは完全に好みの問題だが……。

 

主人公である速水は好き嫌いが別れるキャラクターだ。

 

個性が欠けているわけではない。
むしろ「ぽややん」というニックネームを頂戴したぼんやり感は、むしろ突き抜けて個性的なキャラクターだと言っていい。

だが、全くかっこよくはない。
凡人が努力する様としては、上手く感情移入できるものの、肝心な恋愛パートで散々に見せてくれる煮え切らない要素には、ヤキモキ……というかイライラさせられる人も多いのではないだろうか?

 

何度も言うが、別に悪いキャラクターではない。

ただ、中々に類を見ない「超凡人」「優柔不断」的なキャラクターなのは確かだ。
本作において不可欠なキャラクターであるには違いないが、人を選ぶキャラクターであることも、違いない。

 

ハイクオリティアニメだが、原作ファンは注意かも?

忘れてはいけない注意点だが、原作(PS版ゲーム)ファンからすると、結構なキャラクターの扱いが酷いらしい。
少なくとも、DVDのジャケットに乗っていないキャラクターについては出番はほぼ期待できないし、登場するキャラクターでも扱いが良いかどうかは疑問だ。
速水と舞以外の、特定のキャラクターに強い思い入れを持っている人は、注意した方がいい。

だが、それは本作のアニメとしてのクオリティに影を落とすものではない。

10年以上昔の作品ではあるが、作画のレベルも高く、風化する要素は一切ない。
やや人を選ぶきらいはあるものの、特に青春系のストーリー、ラブストーリーが好きな人は、試してみる価値はあると思う。
オススメの一作である。


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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