アニメ「キングダム」レビュー! 誰しもが焦がれた大河ロマンがここに!!

      2016/08/30

キングダムプライムコレクションBOX1 ~成蟜動乱篇~ [DVD]

放送時期 2012年6月~2013年2月
原作 原泰久
公式HP http://www9.nhk.or.jp/anime/kingdom/

騒乱の続く春秋戦国時代。
西方の国「秦」の片田舎に、信(しん)と漂(ひょう)という二人の戦災孤児がいた。
下僕の身分の二人だったが、将来は天下の大将軍となることを夢見て、日々厳しい修行に明け暮れていた。
そんなある日、宮廷の文官が現れ、漂だけを召し抱えることになるが…。

評価得点:★★★★☆ 88点(良作)

※ネタバレを含みません

 

圧巻のスケールで綴られる大河ロマン

物語を見渡す限り、およそ欠点らしい欠点の見えない名作だ。

その物語は挫折と栄光に富み、深く艶やかな人間模様に飾られている。
屹立する人物はそれぞれが能弁にして鮮やか。
少年が進んでいく道と、そこに見える凄烈なる光の数多が、視聴者を惹きつけてやまないのだ。

 

知略・戦略の描き方は安定して面白い

本編において登場する数多の策略、戦略に、こけおどしはない。
むろん、物語上の整合性は取られている箇所はあるのだが、それほど大きな違和感を落とすものではない。

特に後半は、強烈な個性を持った英傑たちの英知のぶつかり合いとなる。

その迫力は、例え基盤の上、机上の算段のことだとしても尋常のそれではない。
手に汗握る勇者たちの知恵比べの応酬は果て無く続き、そしてその結果に生まれる流血の悲劇に息を飲むのだ。

 

これこそまさに、「大河ロマン」という物語が持つ最大の魅力だろう。
知性と知性のぶつかり合いが、登場人物たちの大量の血を結果とする仕組みは、時代の激動を描く戦国群像ならではのものだ。
単に知略戦を描きたければ、推理小説を読むこともできるし、単に血が見たければ格闘マンガを読めばいい。
だが、知と血が織り成す艶やかな濃淡のインパクトは、大河ロマンという再現の難しいジャンルのみが持つ最強の矛である。

 

冒険ファンタジーの趣を持つ前半は、安定感で勝負

物語の構成は、大きく2つに分かれていると言っていい。

前半の物語は、主に秦国内の内乱の物語。
後半以降は、国と国との激突を描いた将軍たちの激戦だ。

この前半と後半の物語は、似ているようでいて全く異なるものだ。

 

世界感に支えられた良質さ

友との約束から始まる前半の物語は、純粋に面白い。

主人公である信はいささか暑苦しさを感じさせるものの、少年マンガの主人公的な頼もしさを持った好漢である。
冷静沈着な政の描き方も妙手で、欠点と言えば明確なヒロインの不在ぐらいだ。

 

この前半戦は完全にファンタジー作品のような冒険活劇である。
少年が未知と未来へ踏み出す一歩一歩が、その物語の骨子だ。
何も知らぬ下僕の少年が、世界に触れてその夢である天下を徐々に見知っていく。

その質を支えるのが、裏側にある敵勢力とのつばぜり合いだろう。
伏線を張り巡らす、というような手の込んだ作り方をしているわけでは決して無い。
だがよく練り込まれた世界感(というより再現度の高い史実?)は大河ロマンの質を感じさせ、個々のキャラクターを立たせるのに一役買っている。

ただ、主筋はあくまでも「少年マンガ」的な主人公の信だ。
彼が強い相手を知り、強い相手と戦って、強い相手に勝っていく。
前半の本質は「バトルアニメ」と言っても過言ではない。

 

あくまで手の届く範囲での冒険活劇

一方で、よく出来たファンタジーではあるが、傑出しているわけではない。

動乱を長引かせないように主人公たちが動くため、それ単体で見れば話のスケールがそれほど大きくならないうえに、エピソードも豊富ではない。
前述したヒロインの不在もそうだし、主人公である信にとっての大きな敵役がいないのもそうだろう。
とすれば物語はあくまでも政のためのものであるが、一方で彼自身にも決定的な「見せ場」が無いため、あくまでも「よく出来た」作品であり、それ以上ではない。

ただ、これは是非もないことで、主人公である信と政の力に見合った物語を練り上げているための弊害である。
信は強いが最強ではなく、政は切れるがまだ幼い。
故に展開される策略も、激突する知略戦もそれほどのものではない。
畢竟、対峙する敵はそれほど強力なものではありえない。

あくまでも序章に過ぎない、それがこの前半である。

 

大河ロマンと少年マンガの絶妙な融合に魅せられる後半

本作品の最大の見せ場は、物語後半にある。
これは間違いないだろう。

あまりにも絢爛に照り輝く英雄たちが、叡智と剛勇の全てを駆使して激戦を繰り広げる戦絵巻。
これこそまさに、大河ドラマの神髄だ。
万を軽く超える軍勢同士のぶつかり合いは見事で、臨場感に溢れている。

中々ここまでの迫力を持った戦争シーンには、お目にかかれないだろう。
歩兵の面々のキャラクターから、戦場の華たる将帥の雄姿まで、鮮やかな作りこみがなされている。

 

歩兵の視点で見るからこその面白さ

最大の特徴は、本作が一歩兵である信の視点で主に描かれることだ。

 

当時の兵制を垣間見るのは斬新だし、仲間となる歩兵の面々も実に個性的だ。
何より騎馬にばかり目がいく戦場で、歩兵の主眼で描かれた作品というのは中々の妙技である。
エピソードにも抜け目がなく、当時の戦場の臨場感を見事に再現していると言えよう。

 

そしてこの歩兵隊の中での戦いを描くことによって、信のキャラクターも生きる。

本作における信という主人公の最大の魅力は、別に人間性でも考え方でもない。
この主人公が魅力的なのは、単純に「強い」からである。
味方のピンチを救う圧倒的なヒーローこそが、信の本質だ。

戦場全体に目を移せば、信より強い将軍はいる。
だが少なくとも、歩兵たちの局地戦においては信は最強だ。
状況不利な味方を助ける、正義のヒーローなわけである。
「うぉー!信が間に合ったか!!」といったドキドキは、悟空がギニュー特戦隊との戦いに間に合ったときの興奮を思い出す(笑)

信の視点から見た物語は、完全に「少年マンガ」の世界である。

 

そして、その上に屹立する「将軍」の姿

歩兵戦をしっかり描き、歩兵たちの個々をきちんと描いているからこそ、彼らが頂き、仰ぎ、熱狂する人物……全軍の上に立つ将軍の姿が、燦然と輝く。

間違いなく、本作最大の魅力は、王騎を筆頭にした将軍たちや、大小多くの「将」があまりにもカッコ良い点に尽きる。
これほどまでに「カッコいい大人たち」を描破した作品は、そうそうお目にかかれない。

 

そうは言っても、「将」が出てくるアニメなど無数にある。
いったい本作の大人たちは、何がカッコいいのだろうか?

答えは単純で、相対的に突き抜けているからだ。

歩兵たちから見た騎兵はあまりに強く、雄々しい。
戦に命を賭ける大人たちの姿はあまりに猛々しく、鮮烈だ。
そして全軍に冠たる将帥の偉容は、その所作の些事に至るまでが洗練され、思索は深く、武威は圧倒的である。

「視点」「エピソード」「戦略性」「設定」といった様々な要素によって、徹底して描かれたカッコいい大人たちの姿こそが、本作のハイライトと言えるだろう。

 

アニメとして最大の難点は安っぽいCG

作品のエピソードのみを見れば十分に名作と評しうる作品だが、圧倒的に残念なのが、物語随所に挿入されるCGの質の低さだ。

キャラクターたちは突如としてデク人形のような無機物になり、物語は一瞬で腰砕け状態になる。
特に前半部分ではそれが顕著で、私も昔本作を視聴していた際には、あまりにもCGがショボ過ぎて一度切ってしまいました(笑)

 

このCG、人によってはかなりのマイナスポイントになる。
物語だけでなく、BGMをはじめとした様々な要素が頑張って戦国絵巻を演出している中で、このCGだけが作品の質を決定的に貶めている。

とはいえ、これだけの大軍の激突をアニメーションのみで描ききるのは至難なのも事実。
大人な事情に納得できないわけでもない。
わけでもないのだが……その質の低さは、ちょっと困ってしまう(笑)
ならばせめて、大軍のぶつかり合い以外は地力で作画して欲しかったが……序盤は乱用がとにかく目につくのだ。

対策としては、勢いで一気見することだろうか。
話は面白いので、のめり込んでしまえば気にせず見ることができる……かもしれない。

 

とにかく、アニメとして考えたとき、このCGは決定的に質を落とす要因だ。

 

名作であることに疑いは無い

CGという欠点はあるにしろ(そのために点数は下げざるをえないが)、名作であることに疑いは無い。

特に、大河ロマンを愛好する人、カッコいい大人たちをみたい人は是非見るべきアニメだろう。
とにかく面白いので、止まらない。
特に後半部分はやばいですよ?

あ、ちなみに私は原作読んでませんので、あしからず。。。


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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