古のデュエリストたちよ、熱き魂を取り戻せ!! 【劇場版】遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS レビュー

      2016/10/19

劇場公開  2016年4月16日
原作 高橋和希
公式HP http://www.yugioh20th.com/

「闇遊戯」というもうひとりの人格との戦いを経て、日常を取り戻したかに見えた武藤遊戯。しかし、そんな遊戯の前に謎めいた少年・藍神が現れ、世界中で謎の失踪事件が相次ぐ。

評価点数:78点  ★★★☆☆ (良作)

※ネタバレ有りにつき、ご注意の上、お読みください。

 

古のデュエリストたちよ、熱き魂を取り戻せ!!

本作品は遊戯王の20周年を記念して、初代遊戯王の正統な続編としてつくられた映画である。

はっきり言おう、初代遊戯王のことが好きな人は絶対にこの作品を見るべきだ。
かつて夢中になってデッキを集めてた人、最近になって漫画を読んでハマった人、どんな形であれ原作、初代遊戯王への愛を持っている人ならば間違いなくこの映画に満足できる。

こんなレビューを読む前に劇場に行くなりBDを予約するなりすべきだ。
逆に、少ないとは思うがこの映画で初めて遊戯王に触れるという人も作風が合いさえすれば、面白いと感じ、遊戯王のファンとなるだろう。

それだけ初代遊戯王の魅力がギュッと詰まった作品である。

 

最近のルールについていけていない??そんな心配は無用!!

遊戯王という漫画が生まれて20年が経った。もはや遊戯王というコンテンツはどこにでもある少年漫画やアニメでなく、世界大会が開かれるほどの大人気カードゲームとなっている。
それゆえ、ルールは初期よりはるかに複雑化していった。
そういった本格的カードゲーム化、難易度の向上、カードのインフレにより、最近の遊戯王に興味が失せている人もいるだろう。
かくいう自分もその一人で、原作を読んだだけの自分では、最新のデッキやルールなんてわかるわけがないし、この映画はスルーでいいやと思っていた。

しかし、それはいらぬ心配であった。
今作では、今までのルールなんて関係ない、まさにこれが「初代遊戯王」のデュエルだ!といわんばかりのデュエルが炸裂する。
これはさすがに勝てない、どうしようもないとしか言えない状況を、ありえない引きの良さと新たに登場するカードの特殊効果で打開していく。
冷静に考えれば、いや冷静に考えなくてもご都合主義としかえない展開なのだが、そう感じさせない、いやむしろこの強引な展開が最高に気持ちいい。
あのデュエルが蘇っているのだ。

新たなデュエル形式によってパワーアップしたデュエル

こうしたかつてのデュエルが復活したきっかけは、新たなデュエル方式によるものだ。
これは簡単に説明すると、自分の精神力でモンスターを召喚するというものだ。
一応モンスターの能力を限界値まで引き出せるかはプレイヤーの精神力次第、という設定もあるのだが、遊戯も海馬も常に限界の能力を引き出すので全く意味がない(笑)
つまるところ、この方式は生贄召喚システムを廃止するために作られたといっても過言ではない。

これによって、原作初期のようなデュエルが展開されるのである。

そしてこのデュエルのテンポが非常に素晴らしい。
相変わらず登場人物たちの引きが良すぎるため、1ターン目からブラックマジシャンやブルーアイズが召喚される(笑)
それゆえにデュエルは常にクライマックスとでも言わんばかりの盛り上がりが1ターン目から続く。
さらに魔法カードやトラップカードの説明も最小限のため、非常にテンポよく展開していく。

この映画では5回デュエルが行われるのだが、そのどれもが圧倒的密度、迫力、展開を持っており、非常に満足できる内容だった。
このデュエルを見れただけでも劇場に行った価値はあったと思うくらいの出来だった。
個人的にはドヤ顔でトラップの効果を長々と説明する海馬社長も好きだったので削られてちょっと悲しかったが(笑)

迫力の映像と音楽

熱いデュエルは内容だけではない。
巨大モンスターはCGで、小型のモンスターは手書きで、これでもかというくらい動きながらど派手に登場する。
過剰すぎるとも思ってしまうくらいの演出と迫力で現れるモンスターたちは、ぜひとも劇場の大画面で見てほしい。

さらに、デュエルシーンのBGMは、かつてのTVアニメ版で流れた名BGMのアレンジが流れる。
大音量で流れる「熱き決闘者たち」をBGMに海馬社長が「ドロォォォォォォ!!」と叫びながらカードをドローする。
そんな激アツな光景にテンションが上がらないはずがない。

原作ファンには嬉しいモンスター達の登場、活躍シーン

かつてのような怒涛のデュエルの中で、登場するのは懐かしいと感じずにはいられないモンスターばかりだ。
もちろん新たなモンスターも登場するのだが、海馬も遊戯も主力は変わらずにいつものモンスターを使ってくる。
自分のような原作を最近読んだばかりの視聴者も、思わず声をあげたくなるような懐かしいモンスターたちが召喚される。
そしてそれらのモンスターがキッチリ活躍してくれるのだ、もはやファンとしては感動ものである。

ネタバレになってしまうが、自分が一番興奮したシーンを紹介しよう。
かつてアテムが封印された場所で、新たな敵と対峙する海馬社長。
相手の次元モンスターの効果で追いつめられ、絶対絶命のピンチとなる。このターンで有効な手をうたなければ負けてしまう・・・
そんな場面で「神の怒り」のアレンジBGMが流れ始める。
ここで自分は既にニヤニヤが止まらなかった。
この流れで、このBGM。絶対オベリスクが来る!!そう確信した。
でも、オベリスクをはじめ神のカードは封印されたんじゃ・・・
そう思っていたら、突然海馬社長は地面からカードをドローする。予想通り引いたカードはオベリスクの巨神兵。
封印されたカードだろうと関係ない!!カードとの絆が深ければ召喚できる、といわんばかりの勢いだ。
敵はうろたえながらも、モンスター効果で無力化しようとする。しかし、そこで海馬社長が言い放つ。
「モンスターではない、神だ!!」
このセリフを聞けたとき、自分のテンションはMAXになってしまった(笑)
初代遊戯王の大好きな展開の一つを再び再現してくれた高橋先生には感謝の言葉しかでない・・・

脚本と演出も素晴らしい

この映画の良さは熱いデュエルだけではない。
その熱いデュエルシーンを支える脚本と演出も素晴らしい出来だ。

デュエルの大胆な展開に比べ、基本的な脚本に関しては丁寧に描かれている。
もちろん脚本の展開の仕方には相変わらず強引なものがあるが(笑)

物語の冒頭は、遊戯たちの周りで起こる失踪事件と謎のクラスメイトという初期遊戯王らしい、ホラーサスペンス要素を含んだ雰囲気で始まる。
この冒頭で、遊戯王らしい、平和な日常に潜む恐怖というのを上手く描いている。
そして徐々に明かされていく謎のクラスメイトの正体と新たな千年アイテムの存在。
その背景には古代エジプトから続く深い因縁が・・・
と遊戯王らしいサスペンスパートが続く。
このサスペンスパートも話の土台としてしっかりと機能しているのだが、最も魅力的なのはその裏で進んでいる海馬社長の物語だろう。
海馬社長はアテムと再び戦うために様々な策を練り、実行していく。
特に序盤は海馬社長パートも多いため、まるで海馬社長が主人公のように感じられるだろう。
実際、今作において遊戯は受け身な場面が多く、話を動かしていたのは海馬社長といっても過言ではない。

それにしても、千年パズルを組みたてるために宇宙ステーションまで作ってしまう海馬社長の相変わらずのハチャメチャぷりには思わず笑ってしまった(笑)
常識を粉砕し、栄光へのロードを爆進していく海馬瀬人という男の魅力に再び気づかされる映画でもあった。

また、この映画は原作を完璧に補間している。
謎だった神官シャーディの最期や、海馬が遊戯を一人の決闘者として認めるエピソードなど、原作には描かれなかった、けれども描くべきだった物語を漏らさず描いている。
原作ファンなら必見だ。

ここぞというシーンの演出もよし

この作品の演出は本当に大事なところを外さない。
前述したオベリスクの登場シーン、そしてクライマックスのアテム登場シーンなど、大事なところで決して視聴者の期待を裏切らない。

特に印象に残ったのは最後のアテム登場シーンだろう。
今まで焦らして、シルエットだけしか見せてこなかったアテムが、遊戯のピンチに登場する。
神々しい雰囲気で現れたアテムは、ただ黙ってカードを引き、神官マハードを召喚して敵を一撃で倒して消え去っていく。
結局一言もしゃべらないのだ。大胆な演出だが、それが最高にカッコよかった。
かっこいい男はただ黙ってやるべきことをやればよい。
そんなメッセージが伝わってくるようだった。

ちなみに、アテムの懐かしい声は海馬社長が自身の記憶の中のアテムと戦うシーンで、ばっちり聞けるので心配は無用だ。
あの懐かしい「ドロー!!」の声もしっかり聞ける。

敵キャラの魅力のなさが欠点

熱いデュエル、燃えるシチュエーション、原作の完璧な補間。
完璧な映画に思えたが、唯一の欠点が敵キャラの魅力のなさとそれが原因で生じる中盤のダレだろう。
敵キャラの背景などもしっかりと描写されるが、この敵キャラが本当に微妙なのだ。
マリクやバクラのようなつきぬけた悪党ではない。彼らのような悪の魅力がないのだ。
さらに海馬のような宿敵感もだせていない。インセクター羽蛾のような憎めない小物悪役でもない。

なんとも影の薄い敵キャラになってしまった。
2時間という短い時間で魅力的な敵キャラを描ききるというのは難しいことだとは思うが、他が完璧だったゆえに非常に残念に思えた。
オベリスクが復活するようなお祭り映画ならバクラやマリクを復活させてほしかったのが個人的な思いだった。

敵キャラの過去描写でだれてしまう中盤

この魅力の少ない敵キャラの過去描写を丁寧に作ってしまったがために、中盤でどうしても「ダレ」が生じてしまう。
この敵キャラの目的が若干わかりづらいこともあって、余計にうっとうしく感じてしまう。

だがそんな中盤でも楽しませてくれるのが海馬社長だ。
気合で敵の千年アイテムを無効化してしまうなどと、相変わらずのハチャメチャっぷりで存分に楽しませてくれる。
彼の登場シーンはいちいち演出が激しすぎなため、彼が出てくるだけで笑ってしまうほどだ(笑)
ダレてしまっていた中盤にスパイスとして程よい刺激を与えてくれる。
やはり遊戯王に海馬瀬人という人物は絶対に必要なんだと改めて思い知らされた。

終盤は最高。ファンなら必見の展開である

終盤は怒涛の展開の連続で、激アツ展開だ。
全く飽きることはないだろう。
海馬が遊戯を宿敵と認めるシーン。海馬と遊戯の共闘。アテムの登場シーン。
そして最後の最後には、冥界にまで行ってアテムと戦おうとする海馬。
どれもが名シーンだ。
唯一の不満点は遊戯と海馬社長の戦いの最後に敵キャラが横やりを入れたことだろうか。

長々と語ってしまったが、初代遊戯王好きなら間違いなく見るべき映画だ。
20年たってもこんな良い映画を作られる遊戯王というコンテンツの愛され具合がよくわかる映画だった。


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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