アニメ「学園都市アスタリスク」レビュー!盛り上がらないラノベアニメの典型…

      2016/08/30

学戦都市アスタリスク 1 (完全生産限定版) [Blu-ray]

放送時期 2015年10月~12月(全12話)
原作 MF文庫J「学園都市アスタリスク」
三屋咲ゆう
公式HP http://asterisk-war.com/

旧世紀、無数の隕石が降り注ぐ未曾有の大災害「落星雨」によって世界が一変した。
既存の国家は衰退し、代わりに企業が融合して形成された統合企業財体が台頭していく。またそれは生まれながらに驚異的な身体能力を持つ新人類《星脈世代》の誕生という、新たな可能性ももたらした。優勝者は好きな望みを叶えてもらえるというバトルエンターテインメント《星武祭》、そこでの優勝を目指して《星脈世代》の少年少女たちは水上学園都市「六花」(通称:アスタリスク)で切磋琢磨していた……

評価得点:★★☆☆☆ 63点(凡作)

※ ネタバレを少し含みます。

 

見れるんだけど魅力のない…惜しさ満点のアニメ

見れないことはない。

だけど面白いかと言われればそんなこともない。

 

全12話を一気に見るのは少し苦痛。

でも1話づつ見ていると、途中で見なくなってしまう。

 

このアニメは、そういう感じだ。

 

テンプレラノベ設定が悪いのではなく…

わけのわからない用語がズラリと並んだあらすじを見るまでもなく、明らかな「ザ・ライトノベル」な設定世界だ。

はっきり言って本作を描くのに「落星雨」だとか「総合企業財体」だとか「星脈世代」だとか、そういったわけのわからない用語は一切必要ない。
少なくともアニメ版において、その設定は全く活かせていない。
(原作では有意なのかもしれないが…)

主人公とヒロインの出会いから、ムダにモテまくる主人公まですべてがラノベらしいテンプレートに沿った流れなわけだが、別にことさらにそこを非難するわけではない。
テンプレートというのは本来「世に受け入れられた」存在であるからこそのテンプレートなわけで、物語構成でそれを多様するのは、むしろ常套手段だと言って良い。

 

じゃあ何がダメなのかと言えば、もちろん「キャラクター」、そしてその背後にある「物語」である。

 

悪くはないが良くもない…無個性ではないが…

はっきり言ってこの作品、キャラクターデザインは超絶可愛い。
ユリスをはじめとした各女性キャラクターはとても魅力的で、それだけを目当てに視聴する価値はある。

そしてキャラクターの魅せ方も、手を打っている。
個々のエピソードは描かれているし、デザインだけに依存しないキャラクターの属性付けにも手抜かりはない。

なので、決して「キャラクター」に魅力が皆無というわけではないのだ。

 

では何が足りないのか。

 

結論から言えば、それこそが「物語」であると言える。

 

キャラクターの属性付けは「ツンデレヒロイン」や「幼なじみの毒舌系」「ロリ」「グラマラスな生徒会長」など色々とバラエティ豊かだ。
だが、全キャラクターについて、エピソードの裏付けが弱い。
それぞれが戦う理由を持っているのだが、それが「物語」において明確に描き切れていないのだ。

個々の物語は、決して破綻しているわけではないし、作りも丁寧だ。
だが、それは「どこにでもあるふつうの世界」でしかなく、バトルアニメに必要な切迫感や使命感を欠いている。

 

例えばユリス。

彼女の戦う理由は何となくわかった。
だが、孤児院の資金援助のためという理由では、あまりにも逼迫感がない。
例えば孤児院を狙う悪党のボスがいるとか、孤児院周辺が北斗の拳過ぎて今日より明日なんじゃと孤児院の院長が叫んでいるとか、そういう鬼気迫る臨場感がなければ、ストーリーに緊張感が生まれないのだ。
(個人的には、それでも足りない。主人公と関わりの無い誰かを救うという目的は、やはり魅せ方が難しい…)

世界観に小難しい設定を入れる暇があるなら、キャラクターを活かすための設定を練りに練ることだろう。
物語の基盤は世界観にあるのではなく、キャラクターにあるべきだ。

ユリスのエピソードは徹底的に練り込み、一話まるごとかけて過去編を作っても良かった。

 

この惜しさは主人公である綾斗にも言えて、かっこ悪い主人公では決してないんだけど、じゃあカッコイイのかと言われれば「うーん……」とうなってしまわざるを得ない。
特殊能力に制限があるとはいえ、強さも中途半端……というよりは多分、魅せ方が悪いんだろう。
麒麟戦のあたりから、「……あれ?」と思ってしまう。

背負った過去や使命の割に飄々とした優男過ぎる点が、そう魅せるのかもしれない。
厳しさが足りない、と言い換えるべきだろうか……。
何かを達成するために必死にもがいている姿が見えないので、視聴者からすれば感情移入し難いのだ。

 

そして、言い方は悪いが、ユリスは「安い女」過ぎる。

主人公へのデレるのはまあ良いとして、デレた後のご都合主義的なテンプレ感は、いかにも「ライトノベル」な安っぽさだ。
このヒロインに、キャラクターデザイン以外の魅力が圧倒的に欠けている点が、本作を象徴していると言える。

作中では、「デレ具合」に納得できたのは麒麟ぐらいなものだった。

 

物語全体の芯がないから……

このアニメには芯がない。

まっすぐ貫かれた物語としての芯、例えばユリスの孤児院でも主人公でも何でも良いのだが、そういう物語全体を通して語られるテーマがないのが、本作の特徴を象徴している。

 

一方で、それをメリットと捉えることもまた、できないわけではない。

芯がないからこそ、「気軽に見れる」アニメであることは疑いない。
何か事務作業をしながら、テレビに映しておく「ながら見」をするためのアニメとしては、中々に良質だ。
特別つまらないわけでもないし、さりとて熱中して作業を忘れるほどに面白いわけでもない。

 

だが、それを良しとするのは、少しばかり寂しい気がする……。

 

あまりにも貧弱な魅せ技が、アニメとしての本質的な価値を…

この作品の欠点は、そもそも演出が悪い。

それは演出が難しい作品をアニメ化したという理由もあるだろうが、全体的に「作画は良いけど決して演出は良くない」というシーンが多い。
アニメとしても魅せ場が貧弱なのだ。

 

そもそも何故チーム戦? 剣のロマンを放棄…

男子たるもの、華麗な魔法戦よりもむしろ、激しく火花散る剣戟の乱舞に心躍る……というのは個人的な解釈かもしれないが(笑)

 

そもそも、何故このアニメで開催される大会はチーム戦なのだろうか。
剣と魔法の世界の中で、あまりにも剣を魅せにくい方式を選んだのは、どうしてなのだろう。

元々原作のあるアニメなので、この点を突っ込むのはナンセンスなのかもしれないが、それでもアニメにしたからにはこの話題は避けて通れない。
アツい1対1のバトルが期待できる土壌で、何故敢えてチーム制を敷いたのだろう。

大いなる謎としか言いようがない。

 

 

それでもタッグ戦が活きたのは、紗夜&麒麟の存在

それまでは「まあまあ…」というレベルだった本作だが、チーム戦がはじまるや否や急激にどうでもよくなる(笑)
それは主に主人公&ヒロインがどうでもいいという事実に他ならないのだが、まあそれは置いておいて……。

唯一、この設定を活かしたのは紗夜と麒麟のチームだろう。

麒麟は本作において唯一しっかりと描かれたサブヒロインだった(主人公にデレる流れがわかりやすい)し、この2人がお互いのことを理解しあえずに苦戦する様は、恐らく本作でたった一つの人間ドラマだ。

 

何度も言うが、キャラクターデザインはハイクオリティだし、個々の性格の味付けも全然悪くないのである。
しっかりとしたエピソードが描ければ、魅力的な物語になる土壌は十分に存在するのだ。

 

 

落第騎士の英雄譚との比較は避けて通れないが…

恐らく、この比較からは避けて通れない。

「落第騎士の英雄譚」という、あらすじと第一話の展開がほとんど同じようなアニメが、全く同時期に放送されたために、比較の対象に上げざるをえない。

 

結論だが、はっきり言って本作は、「落第騎士の英雄譚」にはすべてにおいて叶わない。(これは、学園バトル物として考えたときだ)
唯一対抗できるのはキャラクターデザインと作画の良質さだろうが、アニメ全体として見ればその差は明らかだ。

シンプルな構図にアツい想いが錯綜する「落第騎士…」に対して、本作は言ってみれば「ゆるアニメ」でしかない。
その差が「キャラクター」の違い(≠デザイン)であり、その背景には個々の「エピソード」についての違いがある。

 

そんな本作に捧げる金言は、

劣っているなら掻き集めろ! 至らないなら振り絞れ!!

だろう。

 

大切な物語を、彼と彼女を描くことに集約するべきだ。
余計な世界観もいらないし、サブヒロインの数に固執すべきではない。
まずは主人公かメインヒロインのエピソードを、しっかりと作り込むべきだろう。

 

惜しいアニメであり、決してつまらないわけではない!

何度も言うが、決してつまらない駄作というわけではない。

むしろ第一話の作画の安定感には「おっ!?」というものを感じさせるし、テンプレ展開にも辟易するというほどのあざとさはない。(……と思うw)
全12話を一気見することだって、出来なくはないのだ。

 

だからこそ、本作は惜しい。

良作たりえる土壌があるだけに、惜しいのだ。

 

 

物語に芯のない、「ほわほわ」とした話を繰り返すばかりでは、この先も平凡な「ながら見」アニメでしかないだろう。
だが、少し化ければ良作に変わる予感もある。

続編が2016年春に始まるようだし、是非本作には、もう一歩の踏ん張りを期待したいところだ。


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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