名声優たちにより演じられる落語ドラマ! アニメ 「昭和元禄落語心中」 レビュー

      2016/10/19

「昭和元禄落語心中」Blu-ray(限定版)一

 放送時期  2016年1月~4月
 原作  雲田はるこ
 公式サイト http://rakugo-shinju-anime.jp/

あらすじ
昭和最後の大名人・有楽亭八雲に、押しかけ弟子入り志願した元チンピラ・与太郎。内弟子など一切取らぬはずの八雲が、何のきまぐれか与太郎を受け入れることに。
与太郎は落語家として修業していく中で、夭逝した伝説の天才落語家・助六と、彼の影を追いながら一人落語界に残された八雲の、知られざる因縁噺を知ることになる…。

評価点数:67点 ★★☆☆☆(視聴可能)

*ネタバレは含みません

 

耳が幸せなアニメ

本作品を視聴して最初に思い浮かんだ言葉は、「耳が幸せ」という言葉だ。
自分は声優にあまり詳しくはないのだが、そんな自分でも知っているベテラン声優がこの作品のメインキャストに使われている。
石田彰、関智一、山寺宏一、そしてなんとメインヒロインには懐かしの林原めぐみがキャスティングされている。

こんな名声優の掛け合いこそが本作品の醍醐味と言っても過言ではないだろう。

 

声優と作画が素晴らしい落語シーン

本作品の最大の特徴と言ったら何よりもアニメで描かれる本格的な落語シーンだろう。
このアニメの最も素晴らしいところは、落語という題材に対してアニメーションでしっかりと勝負しているところにある

確かに落語シーンそのものの動きは当然地味だ。
基本的に席を立つことはないから身振り手振りだけの作画になってしまう。
だが、この落語の動きの地味さをアニメーション的誇張表現で表したりせず、あえて現実的に描くことで「寄席」の雰囲気というものをしっかりと表現している。

こうして現実感をだしつつも、しっかりとアニメーションならではの表現を取り入れている。
それはカメラアングルの切り替えである。
基本的に寄席で見るにしても、映像で見るにしても、基本的には演者正面からみることになる。
だが、この作品では、基本は正面からのカットが、落語の内容や伝えたい場面によってカメラアングルが適度に変わっていく。
主人公が初めて笑いを取ったときは客席に、着物のこすれる音で足音を表現しているときは足元に、扇子で何かを表現しているときは扇子に。
映像作品としては当たり前のことではあるが、普段の落語では味わえない独特のライブ感、迫力に、映像作品としての確かな面白みを表している。

声優のキャラとしての演じ分け

こうした素晴らしい本格的落語映像にのせられる音声は、名声優たちのしっかりとした「落語」の演技だ。
アニメらしさをださず、落語家として演じられる彼らの演技に引き込まれることはまちがいない。

特に素晴らしいと思ったのが、彼らの演じ分けである。
例えば、主人公の一人である助六演じる山寺宏一さんならば、中年の男の声なら全く違う声を何種類も出すことができるだろう。
だが、落語の中で複数人のキャラを演じ分けるとき、あくまで「落語家助六」として自然に演じ分けている。
当たり前と言えば当たり前なのだが、自分の演じ分けの技量を見せびらかすのではなく役者として一人のキャラクターになりっきて演じるその姿は本当に素晴らしかった。

 

落語を通して描かれる人情ドラマ

本作の主人公は二人いるのだが、その二人の落語が全くの正反対なのがこの物語の軸となっている。
毎日稽古を真面目に行う菊比古と、ろくに稽古も出ずに遊びほうけているが、天性の才能で客を魅了する助六。
伝統を重んじる菊比古と、新しい落語を作り出そうとしている助六。
この二人が時にはぶつかりながらも、落語に真摯に向き合っていく中で生まれていくドラマが純粋に面白い。

脚本も雑なところはなく、一つ一つのエピソードを丁寧に描いて、キャラクターを立たせ、魅力的な物語にしていく。
地味だが、この地味なところが作風にもばっちりと合い、作品の雰囲気づくりにも貢献している。

 

最大の欠点がヒロイン

本作の最大の欠点がヒロインだろう。
林原めぐみさんが演じる元芸者のみよ吉がヒロインとなるのだが、このヒロインが作品の評価をガクッと落としてしまっている。
林原めぐみさんの演技は完璧で、ちょっと茶目っ気もありながらも、元芸者らしい妖艶な雰囲気を見事に演じ切っている。
久しぶりにたっぷりと彼女の声を聴けてファンとしてはとてもうれしかった。

だが、この人物はいかにも助六や菊比古を堕落させるために登場しましたよ、という感じがチラついて、全く感情移入できない。
助六や菊比古に執着している様子は、言い方は悪いがメンヘラのような雰囲気も感じられ、キャラクターとしての魅力がなく、本当に林原めぐみさんの声のみが魅力になっていた。
あまり明るくないこの作品をさらに暗くしてしまう要因にもなってしまっており、この作品のが良作となりえなかった大きな原因だろう。

地味なのが欠点にもなってしまう

このレビューで何度も書いているが、この作品は地味だ。
落語を通してのスポ根的な物語展開にはならないし、徐々に衰退していく落語界が描写されたりで、暗いと感じてしまう場面も多い。
主人公たちが活躍し、認められていくシーンも、意外とあっさりとしていて、作品の盛り上がりどころにはならない。

こうした地味さが、じわじわと染みこんでいくような面白さにつながっていくのだが、スカッとしたい、毎週ドキドキしながらアニメを見たい、といった層には受けないだろう。
また、丁寧な脚本が、若干のテンポの悪さにつながっていると言えなくはない。
地味な展開を演出の良さと声優の演技でごまかしている、と言われても間違いではないのが悲しいところだ。

だが、作品の作り自体は非常に丁寧なので、万人にはおすすめ出来ないが、しっとりとした雰囲気や地味ながらも丁寧なドラマに好感触を抱いた人なら、最後まで見れるだろう。

現代編の二期には期待ができる

実はこの作品、二期の制作が確定している。
これは非常に良い判断だと思う。

実は第一話で菊比古に弟子入りしてきた人物に、「昔々~」と、菊比古が語る形で本作品のメインストーリーである助六と菊比古の物語が始まる。
この菊比古に弟子入りしてきた人物と、落語家を目指す助六の娘が現代編というか、昭和元禄落語心中落としての主人公とヒロインとなる構造なのだ。
第二期ではこの二人を主人公にして物語が進むことになる。

そしてこの二人は非常に感情移入しやすく、明るいキャラクターなので、この作品の地味さと暗さという欠点を、大きく改善してくれる予感がビシビシと感じる。
おそらく、原作者や監督が本当に描きたかったのは、今作品の過去編を踏まえたうえでの二人のエピソードなのだろうというのが感じられたので、2期には非常に期待している。

 

ギャグ的な意味での落語はあまり期待しない方が・・・

少し蛇足になってしまうが、個人的に感じたことを。

本作品の落語シーンに腹を抱えて笑うようなギャグ的な要素をあまり期待しない方がいいと感じた。
自分は落語にそれほど詳しくなく、親のCDを何枚か流し聞きしたのと、寄席に一回行っただけなので、的外れな意見になっているかもしれないのだが、今作品で出てくる落語の話が今まで聞いてきた落語のようなわかりやすい現代的な面白さを持った話が少ないなと思った。
お笑い芸人のライブのような感覚で期待すると、若干肩透かしをくらうので、伝統芸能としての落語の面白さを味わおうという気持ちで見ると良いかもしれない。

もちろん、今作品の落語シーンの出来は非常に良く、単なるお笑いではない落語の良さというものを十分に表現しているし、今作品で落語に興味を持って、寄席に行ってみた自分なんかもいるので、落語シーン自体には期待して良い。
ぜひともこの作品で興味を持ったならば寄席に行って生の落語を聞いてみるのをおすすめする。
本当に落語というのはいろいろな面白さや話し手がいるのだなと感じられるだろう。


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ビッテンk

ビッテンk

熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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