何がしたかったのか分からない… アニメ「ハイスクール・フリート」 レビュー!

      2016/10/19

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放送時期  2016年4月~6月
 原作  アニメオリジナル
 公式HP  http://www.hai-furi.com/

あらすじ
多くの国土を水没によって失ってしまった日本。
海上交通の発達により、海の安全を守る「ブルーマーメイド」がいつしか女生徒達の憧れの職業になっていった。
そんな「ブルーマーメイド」に憧れ、海洋高校に入学した岬 明乃(みさきあけの)は、陽炎型航洋直接教育艦「晴風」の艦長に任命され、早速初の海洋実習に出発したのだが・・・。

評価点数:46点 ★☆☆☆☆ (駄作)

 

美少女軍事アニメという高いハードルを越えられなかったアニメ

このアニメのジャンルを一言でいうならば美少女軍事アニメというカテゴリに属することになるだろう。
このジャンルは非常に難しい。
まず、軍事ものとして軍事系の描写が甘いと、マニアに指摘されるし、物語に出てくる兵器は現実の兵器と同じスペックに設定しなければならず、脚本に制限がでてしまう。
架空の兵器を出す場合にしても、現実の兵器との差を如実に差をつけると白けてしまうので、とんでも設定は作りづらい。

ただでさえ面倒くさいこのジャンルに、美少女という要素を加えるのは至難の技だ。
なぜなら、美少女が戦う、という時点でまず普通の設定では違和感がでてしまう。
重機関銃をシュワちゃんが持っているのは違和感がないが、アニメちっくな美少女が持つとそれだけで非現実感がでて物語に入り込めなくなる。

なにより、一番重要なのが少女たちを魅力的に描くためには、どうしてもコメディタッチに描く必要がでてくるということだろう。
男だけならシリアスな戦闘シーンだけでも、カッコよさとして魅力を出すことができる。
だが「美少女」という要素を加えるならば、「可愛さ」を主体として描かなければならず、それをシリアスな戦闘シーンだけで出すのは難しい。
どうしてもコミカルな描写をいれていかなければならないのだが、現実感を醸し出さなければならない戦闘シーンにそうした描写を安易に入れてしまうと、一気に視聴者は違和感を感じてしまう。
どうしてもお遊び感がでてしまうのだ。

これを解消するには、コメディパートとシリアスパートの住みわけ、細部まで考えられながらも大胆な設定、何より多少の違和感は吹き飛ばすような魅力的なキャラクターたちが必要だ。
しかし今作品はこれがほとんど達成できていない。

 

描きたいのはシリアスなのか、コメディなのか

この作品の序盤の流れとしては、訓練の途中に教習艦から攻撃を受け、それにとまどいながらも反撃をしたら反乱の汚名を着せられる・・・という、かわぐちかいじ漫画のようなシリアス展開だ。
反乱の疑惑がかかっている時点でもはや登場人物たちの一生がかかっている展開になっているし、戦闘シーンでは相手から実弾が発射される。
命に危機がある戦闘シーンになっているわけだ。

にもかかわらず、登場人物たちの雰囲気は基本的にほとんど変わらない。
最初から最後まで艦内はまるで日常アニメのような雰囲気だ。
水着になった登場人物たちが艦橋で水浴びをしたりもする。
むろん戦闘シーンに入ると多少の緊張感が入ってくるのだが、それでも生死がかかっているという様子は全く感じられない。
何も現状に絶望して発狂したり、ストレスがたまって艦内で殴りあいの喧嘩をするような悲惨でドロドロとした展開をしろというわけではないが、いくらなんでも緊張感がなさすぎる。

結局のところ、監督やプロデューサーが目指している目標地点がぶれてしまっているのだ。
シリアスな状況下で少女たちが繰り広げるドラマを描きたいのか、ただ軍艦に乗った可愛い制服姿の女の子を描きたいのか。
そこがはっきりしていないから視聴者もどういう気持ちで作品を見ればいいかわからない。
冒頭で述べたように、「美少女」要素を活かすためにコメディパートが必要なのはわかるが、あまりにもそれを入れるタイミングが下手すぎる。
シリアスにもコメディにもどっちつかずなスタンス、書き分けの下手さが本作品の最もダメなところだろう。

シリアスパートの描き方も下手

この非現実的な様子にさらに拍車をかけるのが、被弾率の低さとケガ人の少なさである。
敵から激しい砲撃を至近距離でくらっても、ほとんど主人公の艦は被弾しない。
物語だからしょうがない部分もあるが、視聴者に違和感を感じさせてはだめだろう。
仮に被弾しても、乗組員に死者がでるどころか、ケガ人さえ出ない。
このご都合主義を感じさせる展開と、どうせ被弾しても艦が傷つくだけと視聴者が思ってしまうことで、戦闘シーンに緊張感がなくなってしまている。

そしてこのアニメ序盤の最大のげんなりシーンが、「なぜ訓練の途中に教習艦から攻撃を受けたのか?」という序盤の謎の解決の仕方である。
これがまぁひどく雑なのだ。
「主人公たちに戦闘させたい」という制作側の魂胆が丸見えで、何も考えずに作ったことがまるわかりだ。
「少女たちに戦闘させる理由づくり」として大胆な設定を加えることは多々ある。
最近の有名どころでいえば、「ガルパン」の「特殊なカーボン」だろう。
これがあるから戦車が大破しても中にいる女の子は安全、だから女の子でも戦車に乗ってスポーツ的に戦う戦車道を描けるというわけだ。
無茶苦茶でツッコミどころしかないこの設定だが、はいふりの設定と違うのは作中でこの設定について触れることがほとんどないということだ。
一言ほど説明があるだけで、このカーボンがどんな素材かなどのこと細やかな設定を語られることはないし、このカーボンが物語の展開のカギとなっているわけでもない。
「ファンタジー世界で魔法が使える」のと同じように、「特殊なカーボンで守れているから安全」というのは、その世界の常識的事項として使っているのである。
だから視聴者も一度そういうものだと認識すれば作品の世界にすっと入り込める。

一方で今作品では、この「なぜ訓練の途中に教習艦から攻撃を受けたのか?」というのを3、4話ほどひっぱる。
となると視聴者もこれをサスペンス要素と捉え、真面目に考え始める。
これが物語の大きな流れの一つだと認識する。
「もしかしたらハリウッド映画のような、国家レベルでの陰謀か?」なんて思ったりもする。
そうした期待感を膨らませた後で雑な設定を突き付けられるのは、大きな萎えポイントだった。
この時点でかなりこのアニメへの積極的な視聴意欲は失せてしまった。

 

序盤は完成度が高い戦闘シーン

先ほど戦闘シーンに緊張感がない、と書いたが、それは「主要人物はケガすらしないご都合主義戦闘」というのがわかってくる中盤からであり、序盤にはまだ多少の緊張感はあった。

また、戦闘シーンである艦隊戦も高クオリティだと自分は感じられた。
巨大な戦艦と戦うシーンは迫力があったし、自分よりも強いスペックの艦に知略と勇気で挑んでいく展開は熱かった。
自分が軍事オタクではないのもあるかもしれないが、違和感を感じるほどの非現実感はあまり感じられなかった。
何より、ご都合主義を感じさせない、よく練られた戦闘シーンだったのだ。
たまたま、ではなく、主人公たちが頭を使い、自分たちの持っている装備を最大限活用し、ピンチを切り抜けていく展開は素直に魅力的だった。
自分がこの作品を見続けていた最大の動機だったといえるだろう。

 しかし終盤の戦闘シーンは・・・

だが、この面白みのあった戦闘シーンも中盤までだ。
前述したとおり緊張感がなくなったのに加え、明らかなご都合主義展開が増えてしまった。
軍事オタクじゃない自分が見ても、思わずツッコミたくなるような無茶苦茶な展開が続く。
知恵や迅速な判断によりピンチを切り抜けるのではなく、幸運と机上の空論としか思えない作戦でピンチを切り抜けていく。

最終話において、機関が浸水するほどの被弾をしながら、大和級の戦艦武蔵に接近し体当たりをかます、という展開があるのだが、これでも轟沈することなく逆に武蔵を止めている。
いくらなんでもこれはないだろと思ってしまった。
あまりの無茶苦茶に思わず笑ってしまったほどだ。

この戦闘シーンの低クオリティ化は非常に残念だった。
艦隊戦という難しい戦闘シーンではあるが、1クールしっかりと描ききれば、作品の満足度も大きく違ったであろう。

 

ぶれまくりな主人公

美少女軍事アニメを描く以上、どうしてもツッコミどころなどが出てしまうのはしょうがない。
それを補うのはキャラの魅力で突き通すしかないと個人的には思っている。

このアニメでは、サブキャラクターの出来は決して悪くはない。
キャラクター数が多すぎると感じることはあるが、主要人物はキャラデザでしっかりと描ききっているし、キャラ付けはされている。
各キャラのエピソードが不足している感じはあるものの、こうしたアニメでサブキャラクター全員を掘り下げるのは難しいので及第点はとれていると言っても問題はない。

しかし、主人公の言動がぶれまくりで全く感情移入できない。
序盤は艦長らしい優秀さを戸惑いながらも発揮し、それなりに良いキャラにはなっていた。

だが、物語中盤のあるイベントでこのキャラに対する愛着が一気に消えてしまった。
今までさんざん「乗組員のみんなは家族」と言っていたのにも関わらず、その乗組員を放置して敵の攻撃を受けている艦から指揮を放棄し、艦から離れるのである。
その理由も、一応親友を助けるため、ということになっているが、別にその場で艦長が艦を離れる必要もなく、その時助けなくても親友の命は別状はない状態だったのだ。
副艦長に「乗組員は家族じゃないのか!?それを置いてお前はどこに行くんだ!!」と怒鳴られても、
「ごめん、わたしはそれでも…」
などどと意味不明なことを言い放ち艦を離れる艦長をだれが好きになれるだろうか。

ちなみにこの会話は艦内の全員にマイクを通して聞かれている。
こういうイベントがあっても、そのことで他の乗組員の艦長への不信感がつのり、自信を失う艦長、だがそこから成長し、艦長として再び立ち直るという展開がまっていればむしろこの展開は高評価なのだが、そんなことは一切なく、「そういう艦長が、私は好きだよ!」的なノリで乗組員もあっさりと艦長を肯定してしまっている。

ぶれずに芯の通ったキャラクターを生み出せず、全く逆のキャラクター、展開をつくってしまったのは非常に大きな欠点だろう。

 

基本的にはオススメできません…

序盤は勢いと戦闘シーンのクオリティの高さで見られたものの、後半は粗ばかり目立ち、なかなか視聴がつらかったアニメであった…

大量に作られたキャラクターグッズの在庫がヤバいなどというネガティブな噂が流れるのも納得の出来だった。
一部でTwitterの実況勢も盛り上がりはしていたが…
どんどんとダメな方向に向かっていくのを見ていくのは、まるで沈みゆく船にしがみつく感じだったので、そういう感じが好きな糞アニメ好きには良いアニメでしたかね…
基本的にはオススメできません。

 


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ビッテンk

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熱いアニメが大好きな暇人。小池和夫じゃないけど、キャラクターを重視してアニメを見ることが多い。好きなキャラができれば多少の粗は見逃してしまう。飽きっぽいので途中で切ってしまうアニメが多いのが欠点。

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