90年代からの刺客!「天地無用!GXP」は圧巻のギャグクオリティを秘めた良作!
2016/08/30
放送時期 | 2002年4月~2002年9月 |
原作 | 梶島正樹 |
公式HP |
天地無用!シリーズの10周年記念作品。
「ついてない」ことにかけては全宇宙に冠たる才能を持つ、超絶不運男子高校生・山田西南は。
持ち前の不運さから、雨音・カウナックの宇宙船の着陸に巻き込まれ、意識を失っていたところを、彼女に介抱される。
そのときに柾木天地の知人だと間違われた西南は、彼女からGP(ギャラクシー・ポリス)に入らないかと誘われるが…。
評価得点:★★★☆☆ 72点(佳作)
※ネタバレを含みますので、注意してお読みください。
目次
良くも悪くも「天地無用!魎皇鬼」
「天地無用!」は90年代に一世を風靡したドタバタラブコメディのシリーズである。
もっとも、過去のTVシリーズは放映時間帯が午後6時台だったこともあり、原作である梶島正樹氏の天地無用!シリーズ(OVA)からかなり切り離された、万人向けのわかりやすい作品になっている。
本作、「天地無用!GXP」はそうではない。
とにかく裏側のお話が膨大なので…
面白いのは違いない。
一方で知らない人が見ると、わかりにくい部分もあるだろう。
今までの天地無用!シリーズを知らなくても見れる、それは確かだ。
だが良い意味でも悪い意味でも、世界感が半端ではない。
説明が薄いというより、とにかく設定が膨大で裏で何かうごめいている感が非常に強いのだ。
このため、物語の全容をつかもうとすると、結構「?」がうごめくシーンも出てくるに違いない。
これは原作である「天地無用!魎皇鬼」でもそうだった。
最低限の要素しかお話の中では語られない。
表層的な物語を楽しむ分にはそれほど問題はないが、心の中に「?」がつく箇所はぽろぽろ……。
知りたければ設定資料集でも読んでね、的な感じだw
よくも悪くも、「天地無用!魎皇鬼」な感じである(笑)
それでも見れるノリとテンポ。全体はギャグテイスト!
だが一方で、「それがどうした」という話でもある。
つまり、裏側で何かウゴウゴ蠢いている裏設定を知ろうが知らなかろうが、物語の大勢に影響はないのだ。
あくまでも本作は「超不運」の山田西南が成長し成功していくサクセスストーリーであり、彼を囲む美女たちのラブコメディである。
基本的には西南の超不運を武器になんでもかんでもどうにかなってしまうため、シリアス要素はほとんどない。
ていうか、こちらの武器が「超不運」でしかないので、シリアスにできない(笑)
努力とか熱血とか戦略とか、そういうアツい展開は本編には似合わないのだ。
あくまでも、山田西南とその周りの人々の、ボケとツッコミを楽しむカラっとしたギャグストーリーである。
また、膨大な量の裏設定を抱え込む「天地無用!魎皇鬼」シリーズであるが故に、世界観は圧倒的だ。
「天地無用!魎皇鬼」にハマる人は、単純なドタバタラブコメだけではなく、その圧倒的なSF世界観に心を奪われる。
樹を中心にした純和風の文化と、その世界で織り成される様々な陰謀劇がバックボーンにあるからこそ、表面で繰り広げられるドタバタラブコメディがより充実する。
ハーレムアニメの開祖的な存在としての知名度ばかりが先行しているが、「天地無用!」とは本来そういう作品なのである。
アニメとしての欠点は多数
基本的に私は「天地無用!魎皇鬼」大好き人間なので、本質的にはこの作品に対しても肯定派である。
だが、アニメとして見たときには欠点が無数にあるのも事実だ。
ここでは、可能な限り公平な視点から、様々な欠点を逐一あげつらってみようと思う(笑)
無駄な登場人物多過ぎ
本作は「天地無用!魎皇鬼」が好きな人に対するサービス的な意味合いが強い。
そのためか、今までファンが小説や設定資料集でしか見たことがなかった様々な人物が登場する。
この数多の登場人物を「うわぁぁぁ!遂に○○が映像化されたぜやったぁぁぁっ!」と歓喜にむせび泣きながら歓迎できる人はいいだろう。
だが、天地シリーズ初見の人は、この数多の登場人物についていくのが一苦労……なのではないだろうか。
もちろん、それぞれきちんとキャラが立ってて魅力的ではあるのだが……。
ヒロインの魅力が…
従来の天地無用シリーズに比べるとヒロインの魅力には欠ける。
これは否定はあるかもしれないが、間違いないと思う。
というより、雨音と霧子という二人のヒロインは基本的に個性が薄く、押しどころに欠ける。
リョーコ・バルタもヒロインの輪に加わってからは一本調子な好き好きキャラに成り下がってしまい、むしろエルマのままのほうが良かった。
ネージュ様は個人的に最萌えのヒロインでしたが、エピソード量足らずでそもそもキャラクターを描くラインに到達しなかった感もある。
デザイン面については置いておくにしても、ヒロインたちが放つオーラが薄いのだ。
それは、エピソードの不足や、キャラクター設定の作りこみ不足といった要素が影響しているのだろう。
上記の「今までファンが小説や設定資料集でしか見たことがなかった様々な人物」たちのほうが個性が強く、魅力的だ。
また、雨音センセイについては、どうして西南に惚れたのかが最後まで理解できなかった私です。
BGMが味気ない
とにかくBGMはチープだ。
いかにも電子ソフトでぺぺっと作りましたよ感が半端ない(あくまでもイメージだがw)
印象に残る曲はあるものの、それにしても「使われすぎている」感じで、BGM作曲してもらう予算さえ足りなかったのだろうなぁと、想像してしまいますw
作画はお世辞にも…
言うのが気の毒になってきたが、作画もひどい。
時代を考えれば、この時代の深夜アニメなんてこの程度なものかもしれないが、決して褒められた出来ではない。
ただ、少ない予算で頑張って演出しているんだろうなぁと、思えるシーンもチラホラ……あるかもしれないww
山田西南の演技は最後まで終わってる
これは大きな欠点だと思うが、主人公である山田西南は声優がとても下手だ。
はっきり言って、すべてのセリフが棒読みである。
よくこんなヘタクソを声優に抜擢したなぁ……まあ雰囲気は出ているんだけど。。。
宮崎駿が声優に素人使う理由と同じかなぁw
絶望的なのが、この声優の演技が一切向上しないという点に尽きます。
普通、どんな新人声優でもある程度は上手くなるもんなんだが、この声優さんは全く上達の気配がない……ww
とまあ、disるネタというかツッコミどころは無数にあるのですよw
それでもオススメできるだけの完成度
散々disったが、私はこの作品が好きだ。
面白いと思うし、他の人にもおすすめできる。
最大の理由は、前述したとおりのテンポの良いギャグアニメ感。
そして登場人物たちの良キャラクターぶりにあるだろう。
特に「天地無用!魎皇鬼」で天地に敗れた経歴から地球人嫌いになった、天南静竜先生は本作の命と言ってもいい(笑)
監督自らマイクを取るという暴挙に出たガイドロボットのNBも、ギャグ担当として申し分のない働きを魅せてくれますw
特に序盤数話、GPアカデミーに入学するまでは結構退屈な展開が続くが、そこを乗り越えれば安定してみることができる。
今から見れば、そして当時からしてみても、異色な作品だが、だからこそ独特の世界観を味わうことができる。
総じて言えば、快作というべきだろう。
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セトシン

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