もはや正史!? アニメ版アルスラーン戦記は原作「+α」の圧倒的完成度!

   

アルスラーン戦記 第1巻 (初回限定生産) [Blu-ray]

放送時期 2015年4月~2015年9月
原作 田中芳樹
公式HP http://arslan.jp/

 

東西を結ぶ陸路の中心地・エクタバーナを王都に掲げ、各地からの人や物資、そして豊かな文化が集まる強国パルス。

この国の王太子として生まれた少年・アル スラーンは、幸福のうちに国を引き継ぐはずだった。
土煙が舞う平原に、パルスの誇る騎馬隊が葬り去られるその日までは……。

 

評価得点:★★★★★ 90点(名作)

※ネタバレを含みますので、注意してお読みください。

 

圧巻の魅力を誇る歴史ファンタジー!

こう言っては何だが、アルスラーン戦記というのは特殊な作品だと思う。

それは、ファンタジーとしての質の問題だ。
軍勢が激突する歴史ファンタジーは多数あるし、少年が冒険する物語も数多い。
本作はその両方の側面を持っているものの、原作の切り口はあくまでも「架空歴史ファンタジー」である。
「自分で三国志をつくってやろう」的な、原作者田中芳樹氏らしい野心が感じられるのだ。

これだけ政治的軍事的要素を内包したファンタジーは中々に類を見ない。
田中氏の数多のフォロワーが、様々な角度からこの名作に挑んでいるものの、アルスラーン戦記の壁は未だに高いというべきだろう。

 

さて、アニメ版である。

アルスラーン戦記が荒川弘氏によって漫画化されたときには、まさに青天の霹靂といったところだったが、その時点でアニメ化は予測がついた。(てかほぼ同時発表だったような…)
従って本作は、「アルスラーン戦記のアニメ版」というよりは、むしろ「マンガ版アルスラーン戦記のアニメ版」ということになる。
過去のOVA作品が決して良質とは言えなかっただけに、完全新作としての再映像化は、多くの人に快哉をもって受け入れられたことだろう。
ましてや、荒川弘氏という巨匠が描くとあっては……。

 

スピード感と独自要素で魅せる

その出来栄えについては、見事である。

アルスラーン戦記というのは意外に映像化が難しい作品だと思っていたが、本作は見事にその面白さを再現してみせたのだ。

 

アルスラーンの逃亡劇は独特

とにかく、流亡の少年が落ち延びていくという話はスリリングだ。
生きるか死ぬか、捕まれば終わりの逃亡劇。
後ろに迫る大軍勢を如何にごまかし、如何に身を潜め、如何に再起を期すか。
これがスリルに満ち溢れないわけがない。

 

……なのだが、アルスラーン戦記の場合は意外にそうでもない。

彼を守る大人たちがあまりにも強過ぎて、負ける予感が全くしないのだ。
しかも物語も前半で、ダリューンやナルサスがこんなタイミングで負けることは全く予想できない。
畢竟、本作の逃亡劇は、スリルよりも「正義のアルスラーン御一行が悪人どもをなぎ倒す」という側面が強くなる。
「助さん格さんが絶対負けない水戸黄門」といった感じだ。

まあどのアニメを見ても、序盤の逃亡劇で主要人物が死ぬことはないのは想像できる話ではある。
ただ本作では、あまりにも周囲の大人たちが無双過ぎる。
誰かが負傷することさえないのが、その象徴といえる。
「一瞬エラムが危なかったね」ぐらいで、ダリューンが重症を負うとかそういう生々しさは全くないわけだ。
逃亡劇独特のスリル感としてはあまりに薄い。

 

ということで、そのままでは盛り上がりに欠ける。

そのため必死に伏線を入れて盛り上げようとするのが、本来のエンターテイメントとしての姿だろう。
「アルスラーンは真の王ではない…」的な感じを、カーラーンがツィートしたりとかね。

ただ残念ながら、視聴者からすれば、誰が真の王だろうが結構どうでもいいと思う(笑)
もちろん気にはなるけど、まあ主人公が順風満帆な王子様ではない可能性は、今時の視聴者は何となくわかってる。

同じように、銀仮面卿の正体ももちろん気になるけど、「もしかしてコイツ?」と思わせるようなキャラクターは存在しない。
謎のキャラ→知らないキャラだったら、視聴者にとっては結局「ふーん、で誰?」でしかないのだ。
正体がわかったところで、謎のキャラであることに違いはない。
本来の手法としては、アルスラーンの過去エピソードとかを描く中に銀仮面卿の中の人を登場させておいて、「まさか○○が…」という展開にするのが常道なのですが、本作ではそういった一般的な伏線の貼り方はあまり見られません。

 

んで、本作がどうやってこの序盤を面白く魅せるか。

これはもう「無双感」と「ナルサス」なのだろう。

 

無双感と「ナルサスぱねぇ!」が命

原作にしてもTV版にしても、この作品はひたすら仲間が敵を蹴散らすのが面白いのだ。
先述した一騎当千の無双感が、本作の魅力の根底だと思う。

とにかく倒す、斬る。
アルスラーン王子に敵対した悪鬼どもを、ばっさばっさと斬り倒す。
まさしく、凡庸な吟遊詩人であれば「斬って斬って斬りまくった」としか表現できない無双感だ(笑)
ルシタニア側の立ち位置が明確に「悪役」なため、この無双はかなりスカっとする。

 

それに加えて、ナルサスの知略だ。
やはり軍師を見るのは、とんでもなく楽しい。
知略をもって大軍を翻弄する様は、ダリューンたちが敵を吹き飛ばす一騎当千の爽快感とはまた違った面白さがある。

しかもこのナルサスのような知略家のキャラクターは希少なのだ。

 

中世ファンタジーにしろ何にしろ、戦争を描く作品の多くは、一度は知略家を描こうと試みるのだろう。
様々な戦記もの、戦争ものに自称「軍師」が登場する。
謀略を巡らし、叡智の限りを尽くして一個人の知略で敵の大軍を翻弄する……正直言って、ロマンだ。

だが、実際に「軍師」を描けている物語は驚くほど少ない。
たいていの自称「軍師」は結果オーライの行き当たりばったりで突き進むだけのラッキースケベだ。
或いは、作戦そのものはソコソコに描けていても、それ以外の政治的判断が「ご都合主義」だったりして、キャラクター性を自ら汚してしまう場合もある。(感情で物事を判断し、合理性が無いキャラクターになってしまう)

なので、ナルサスという知略家は非常に稀有なキャラクターだ。
数十年前のキャラクター(!?)だというのに、この完成度は流石としか言いようが無い。

 

エトワールの使い方に見るエンターテイメントへの回帰

ただ、アニメ版は単純な無双感と「ナルサスぱねぇ」で押しているわけではない。

 

アニメ版序盤の逃亡劇には、上記の「無双的な爽快感」以外にも、エンターテイメントらしい「仕込み」が施されている。
恐らく、上質のエンターテイナーである荒川弘氏が、本作のシナリオ強化のために構築したものだろう。

第一話から登場する、エトワールがそれにあたる。

原作では物語中盤で突如として登場するキャラクターだが、本作は主要人物らしく、第一話のプロローグ部分から物語に登場してアルスラーンとの因縁も作成されているし、それ以後も継続的に登場する。
アルスラーンとのニアミスもあれば、直接対峙することもあるわけで、ルシタニア(の一般兵士)から戦争を見る唯一の視点となる彼女が、アニメ版ではキーキャラクターとなる。
この第一話で登場したこの「実は正ヒロイン」な彼女の使い方が、原作からの最大のバージョンアップと言えるだろう。

 

特にこのヒロイン、原作知ってる人間的には、どう使われるのかのドキドキ感が半端なかったですww

 

息もつかせぬ展開の連続こそ真骨頂

前半の逃亡劇から、ラジェンドラ率いるシンドゥラとの戦争、シンドゥラ内乱への介入、そして王都奪還への進軍。
動乱の時代を象徴するかのような、息もつかせぬ展開の連続である。

本作の根本的な魅力は、やはりこの「スケール感」と「スピード感」にあるのだと思う。
数十万の大軍が絡むスケールの大きな戦いを、次から次へと繰り出してくるこの迫力の連続が、アルスラーン戦記という作品の最大の肝なのだろう。

 

もちろん、それを支えるのはナルサスのような合理的な軍略家の存在と、アルスラーンの周囲に結集した個性豊かな面々のキャラクター性である。

ご都合主義ではなく、軍事的視点を確立した上での戦いの連続。
偶然ではなく必然となる勝利。
そしてその勝利の余韻の気持ちよさ。

すべて、土台であるキャラクターが、圧倒的な完成度を見せているからこそ、可能なのだ。

 

2期への期待が山盛りの名作!

とにかくも、「息もつかせぬ面白さ」という言葉がぴったりの快作である。

もちろん、原作ファン的には、言いたいことがないわけでもない。
カットされた残念なシーンもあった。(「まことに音に聞こえた…」「さらばだヘボ画家、次に会う時まで…」等の名台詞や、バフマン卿の見せ方等)
ヒルメスが名乗るを上げたシーンには「(´・ω・`)?」という人もいたかもしれない。
放送中は少し作画が気になる会もあった。

 

ただしまあ、そんなことどうでもいいぐらいに面白かった。
はっきり言って2期が楽しみでしょうがないww

原作がアンナコトになってしまっている以上、最早アニメ版を正史として仰ぎたい気分なワタシです(´・ω・`)


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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