アニメ版「風のスティグマ」レビュー。私はこれでGONZOが嫌いになりましたw

      2016/08/30

風のスティグマ S・エディション 第5章(限定版) [DVD]

放送時期 2007年4月~9月(全24話)
原作 富士見ファンタジア文庫「風の聖痕」
山門敬弘
公式HP 不明

一般人には知られていないが、この世界には魔術を操る魔術師が存在している。その中には自然の力を司る精霊の力を借りて妖魔を退治する人間「精霊術師」も含まれる。

主人公・八神和麻は、炎術師の名門・神凪家に生まれながら炎術の才をまったく持たなかったために一族から追放され、日本を離れた。4年の月日が流れ、風術師となって再び日本の地を踏んだ和麻は、タイミングよく起こった神凪の術者の殺害容疑をかけられてしまう。

評価得点:★☆☆☆☆ 49点(駄作)

※ ネタバレを少し含みます。

 

あのラノベが遂に!…という期待だけで終わった駄作

私は原作である「風の聖痕」の大ファンだ。
数多あるライトノベルの中でもトップクラスに好きな作品である。

故に、この一報に接したときは小躍りして喜んだ。
「遂にスティグマがアニメになるのか!」と期待で胸が高鳴った。

……そしてその期待は、完全に裏切られることになる。

 

原作「風の聖痕」の面白さとは……

そもそも原作「風の聖痕」は、決してストーリーが奇抜なわけではない。
設定も普通の現代ファンタジーで、当時蔓延していた「ラノベは設定が命」臭は微塵も感じない作品である。

 

では、何が本作のウリだったか?

 

それは「各キャラクターが背景に持つ想いの深さ」がもたらすドラマだ。

主人公和麻は辛い過去を持ち、悪逆非道な行いもいとわない、いわゆるダークヒーローである。
背負った過去と己の罪を客観的に見つめ続けるドライな視点は、常に本作に影を落とし続けていた。

ヒロインである綾乃は一見すればテンプレツンデレだが、その根底には和麻への「嫉妬」と「憧れ」が混在していた。
強さへの渇望があり、己への歯がゆさがあり、そのジレンマの中でときに和麻さえ目を奪われる芯の強さを発揮するのが綾乃だ。
彼女はヒロインであると同時に、読者にシンパシーを感じさせる「凡人」の代表例でもあったのだ。

この二人の心理描写がとてもアツく、冴える。
それぞれの想いが密接に絡み合って、濃密な物語を作り出していたのが、「風の聖痕」である。

 

そして忘れてはならないのが、著者である山門敬弘先生が持つ筆力の高さだ。

その圧倒的筆力が描破する戦闘シーンは圧巻で、痛快娯楽エンターテイメントとしての側面を小説という媒体で構成できていたのは、紛れもなくその筆致の生んだ奇跡だ。
「戦闘シーンが楽しい!」というのは、それまでのライトノベルの読書経験上、私には衝撃的だった。
戦闘シーンが長い、という欠点は存在するのだが、それも著者山門敬弘が描破するからこその魅力。
山門敬弘先生の筆力故に、この作品は面白かったのだ。

 

だが、アニメではそのすべてを捨ててしまっている。

このアニメの問題点は、ストーリー部分を上辺だけなぞったに過ぎないその構成・脚本・演出の総てにある。
「いつか面白くなるに違いない」と思いながら視聴を続けたが、結局最後まで面白くなりませんでした(笑)

 

原作の弱点のみが際立つ…

言い換えれば「風の聖痕」は、著者山門敬弘だからこそ、面白い作品だった。

際だった特徴のない物語は、内面の心理描写に失敗すれば、完全に「平凡」となってしまう。
圧巻の迫力を誇った戦闘シーンも、コンテに失敗したり、作画が崩壊したりすれば、その時点で魅力は失われる。

 

アニメ化が難しい作品であったことは事実である。
だが、GONZOはとてもではないが、それに果敢に挑んだとは言えない。

作中を通してみると、アニメスタッフは本作の特徴を十分に理解していなかったように見える。
「風の聖痕」をアニメにしたかったのではなく、何かアニメにする原作にたまたま「風の聖痕」を選んだかのようだ。

故に本作では、その総てが「安っぽい」。

象徴的なのが、原作5巻に相当する和麻対綾乃のバトルシーンだろう。
綾乃の中で錯綜する様々な感情の揺れ動きと、彼女の出した明快で「漢」な結論は、その戦闘に全く反映されていない。
代わりに読者サービスとして、和麻の風でひるがえるスカートの中から、綾乃のパンツが見えますw 緊張感ぶち壊しww

その他にも、第一話で綾乃が最初の妖魔を倒すあたりから、「あー、予算けちってるなこの描写」というのが散見される。
本作のウリであった戦闘シーンは、基本的に目を覆うばかりの出来映えである。これはファンにとっては、本当に目を覆いたくなるのだ。

 

間違いなく原作で読むべき作品

このアニメを見た後で原作を読み返すと、妙に納得できる。

「あー、確かに上辺だけ物語をアニメにしたらこんな感じだよな~」

 

でも何故か、原作は面白いのだ。

 

小説版は魔法であり、止まりませんw

もちろんGONZOのこと、様々な内容の改悪はある(笑)
あるにしても、上辺だけ見ればストーリーのあらすじは同じだ。

だが、面白さはまるで桁が違う。
本作は絶対にアニメで見るべきではない。
絶対に原作で読むべきだ。

 

その理由は、何度も言うとおり原作者山門敬弘先生の文章力にある。

恐らく田中芳樹先生(銀河英雄伝説等)にインスパイアされたと思われるその筆致は、ライトノベル……というより、アクションエンターテイメントというカテゴリに最適化されており、一文一文のリズムがとても心地良い。

読者にとって、「文章力」がどういった要素を締めるのかは人によるだろう。
だが、この「文章力」を気にする人には、間違いなく「風の聖痕」はオススメできる。
テンポが良く、リズムも良い。故に時間を忘れて、この作品を読みふけってしまうことができる。

 

ハマる人はとにかくハマる。

 

唯一、アニメの利点を挙げるとしたら…

散々に酷評したアニメ版だが、一つ利点がある。
それは、キャラクターデザインは良いということだ。

故にアニメ版の正しい使い方としては、原作読了後に、ファンディスク的に映像化された綾乃を楽しむ、という方向性がベターだろう。
本編だけでなく、短編集の内容も盛り込まれているので、作画の稚拙さや内容の改悪には目を瞑って、動く可愛い綾乃を楽しむことだけに集中するべきだw

恐らく唯一と言える、アニメ版の使い方ですww

 

 

最後になったが、山門敬弘先生は第七巻の執筆中に病気で亡くなられている。
故に本作は永遠に未完のままだ。
7巻が出るのを夢で見るほど本作が好きだった私にとって、これほど残念なことはない……。

山門先生のご冥福を、心よりお祈りしたい。


【PR】「円盤はお布施、実用は動画サイト」のすゝめ

アニメを一気見するとき、ひと昔前ではレンタルDVDが当たり前でした。
しかし、それも過去の話。
金額や効率を考えれば、「アニメ見放題動画サービス」の使い勝手が抜群です!

ということで、PR記事!
アニメ見放題サービスの特徴と、多数のサービスの中から「アニメを見る」ことに特化したお勧めをピックアップしてみました。
是非見てみて下さい!

アニメ見放題サービス徹底比較!「円盤はお布施、実用は動画サイト」のすゝめ


本記事が気に入ったら
イイネ!! をお願いします!

Twitter で
The following two tabs change content below.
セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

 - アニメレビュー, バトル , , , , ,