誰もがきっと求めていた渾身の一作。映画「たまこラブストーリー」レビュー!
2016/10/11
上映開始 | 2014年4月 |
原作 | (なし) |
公式HP | http://tamakolovestory.com/ |
「たまこまーけっと」の続編となる劇場作品。
デラちゃんが帰国したうさぎ山商店街で、3年生になったたまこたちの、変わっていく日常が描かれる。
評価得点:★★★★☆ 89点(良作)
※ネタバレを含みません。
目次
潜在的なニーズに応えた快作!
本作についての素晴らしさは多々あるが、まず快哉をおくりたいのが、「きっと多くの人が、心の奥底で求めていたこと」を具現化させた京都アニメーションの着眼点の素晴らしさだ。
ギャグアニメでも、ユルアニメでもいい。
一見して恋愛事情とは無縁そうな物語のヒロインが、恋をする姿をみてみたい。
それはきっと、今までほとんど手付かずのまま残っていた潜在的需要の一つだ。
そう、みんなラブストーリーが好きなんだよ。
だから多くのアニメ作品について、二次創作が「こな×かが」だとか「ゼル×アメ」(時代を感じる?w)だとかで盛り上がる。
恋愛要素がメインではない作品で、思いっきり恋愛を謳歌する登場人物たちの姿が見たい。
私のような男性的な視点で言い換えれば、「胸キュンしてる可愛い女の子が見たい(*´ω`*)」のですw
ギャグアニメでもユルアニメでも、冒険漫画でもバトル漫画でもなんでもいい。
一つの物語を乗り越えてきた登場人物たちには、圧倒的なキャラクター性が宿っている。
きちんとした物語を重ねられた物語には、魂の宿ったキャラクターたちが登場しているものなのだ。
そして、高い完成度を誇る物語を味わうと、往々にして欲が出てくるものだ。
このキャラクターの、もっと新しい魅力と、もっと新しい一面を知りたいと思うようになる。
もっともっと、この物語とキャラクターの魅力を、たっぷりと味わいたくなるのだ。
では、新しい魅力とは何か。
それこそが、『ラブ』なのである。
ましてや、たいていの物語には、まるで見せ付け焦らすかのように「さらり」とした恋愛要素が垣間見える。
物語の主眼でないために多くは語られることはないが、そのラブは各キャラクターの奥底にある、「見たことのない魅力」をチラ見せするのだ。
本作は、その「新しい魅力」をふんだんにお届けする快作である。
原作である「たまこまーけっと」では、恋なんて欠片も感じさせなかったヒロイン、たまこが、思いっきり恋に悩むお話だ。
コメディ、またはユルアニメの登場キャラクターで、ガチのラブストーリーをやってくれる。
こんなに美味しい展開が、他にあるだろうか……。
オーソドックスな物語に散りばめられた…
さて、本作を単純に恋愛アニメとしてみたときに、決して突出したシナリオが用意されているわけではない。
物語の流れは極めて「一般的」であり、突飛な展開や虚を突くようなウルトラCが用意されているわけではないのだ。
ないのだが……。
とにかく、たまこがカワイイに尽きる……(*´Д`)
恋に悩む少女の魅力
幾度となく力説させていただいておりますが、恋に悩む少女の可愛らしさというのは、別次元だと思うのでアリマス。
女の子を魅力的に演出する手法は多々あるが、一番はやはり、恋愛感情ではないだろうか。
今までそういう要素が全くなかったたまこだけに、本作における彼女の乙女っぷりは、キュンキュン来るw
もっとも、乙女といっても、悩み方はたまこらしい。
恋に悩む彼女の姿は、いわゆる少女漫画的なストレートなものではなく、たまこらしい挙動不審なものだ。
具体的には、モチという単語を必ずモチ蔵と言ったり、ロボットや江戸っ子のような口調になったりする。
前言を翻すようだが、見てくれ上は決して乙女ではないww
ただ、恐らくこういうたまこだからこそ、本作は魅力的なのだ。
同時にこのたまこだからこそ、本作は「たまこまーけっと」でいられるのかもしれない。
キャラクターのアイデンティティを損なわずに、上手に「北白川たまこ」を描いていると思う。
見事なまでの思わせぶりな要素たち
日本語に何だかトゲがあるが、決して攻撃的な意味ではないw
京都アニメーションが得意な(と個人的に思ってる)、物語の些細な描写に青春の思わせぶりな要素を入れてくるやり方が、また情感をググっと高めてくれる。
密接にリンクするのが部活なわけだが、この雰囲気の出し方ががわかりやすいぐらいにわかりやすいw
この部活は物語のラブストーリーとリンクしてるのだぞ~と明言しながら、物語が進んでいく。
なので、本筋のラブストーリーとは全く関係ないこの部活の要素が、何となく、物語の雰囲気を盛り上げてくれる。
こういうアクセントのつけ方、いいな~と思いました。
他にも、コーヒーが苦かった事件とか、いちいち大人なみどりちゃんの表情とか、変わろうとする友達の姿とか、様々な諸要素が物語に少しだけ絡んで雰囲気を盛り上げます。
あざとくないのがポイント高いなー。
シンプルなラストに綺麗な終わり方
ネタバレは避けるが、とにかく終わり方も良い。
余計な描写を残さず、すっきりとしていて、それでいて余韻たっぷりな終わり方で物語を閉めてくれる。
やや強引な展開も感じるが、ラスト付近の展開はハッピーエンドへの渇望で胸がいっぱいになるので、細かいことは気になりませんww
ちなみにデラちゃんは不在だが…
ちなみに、「たまこラブストーリー」に例の珍鳥はいません。
本国に帰った彼の雄姿は、物語の開始と同時に紡がれる短編アニメとして、数分だけ堪能できる。
このショートアニメは、別に飛び抜けたところはないにしても、「ああ、デラちゃん…( ;∀;)」「ああ、チョイ様…(*´Д`)」という動く彼らの懐かしさと、相変わらずの珍鳥のコメディアンとしての才能によって、なかなかの秀作に仕上がっている(本当かよw)
多分、「たまこまーけっと」にもっとも雰囲気が近いのが、本編ではなくてこのショートアニメだろう。
一方で、本編においては不在となるデラちゃん。
しかしながら、コメディ感が全くない作品となっているので、その不在の影響を感じることは特にない。
むしろデラちゃんを帰国させたのは、スタッフの英断だろう。
インタビューでも言っていたが、彼はかなり大人な鳥なので、等身大に思い悩む少年少女を描くには不向きな存在だっただろう。
「たまこまーけっと」の本質はこっち?
何だか、この「ラブストーリー」をやるために、「たまこまーけっと」というアニメがあったのではないだろうか。
そんな感じがプンプンする。(本当のところはシリマセン)
これだけの名作感を見せつけられては、もはや「まーけっと」の印象はどこにも残っていないというか、むしろ「まーけっと」が「ラブストーリー」の前日譚として存在した作品という感じだ。
なので、「たまこまーけっと」はそれだけでも独自に安定した良作ではあるのだが、やっぱり「たまこラブストーリー」とセットで見てこその真価だと思うわけです。
つーかむしろ、「たまこラブストーリー」のために、「たまこまーけっと」も全部見る価値はあるよ?
余談ですが私は劇場で見た&Blu-rayも買っちゃいました。
めちゃめちゃBlu-ray見返してるほど、超好きな作品ですww
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セトシン

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