たった一つの魔法に込められた破壊力! アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」レビュー!!

   

Re:ゼロから始める異世界生活 5 [Blu-ray]

放送時期 2016年4月~2016年9月
原作 長月達平
公式HP http://re-zero-anime.jp/

何故か異世界に召喚されてしまった引きこもりの高校生、ナツキスバル。
右も左もわからない世界で彼は銀髪美少女のエミリアと出会い、フェルトという女盗賊の少女に盗まれた、大切な「徽章」を一緒に探すことになる。
ようやく徽章にたどり着いたと思われた矢先、二人は何者かに殺されてしまう……。

 

評価得点:★★★★☆ 89点(良作)

※ネタバレを含みません

 

止まらない疾走感、極上のエンターテイメント!

とにかく、面白い作品だった。

ここまで「止まらない」という感覚を覚えたのは久しぶりだ。
アニメ放映当初は未チェックだったので、20話ぐらいまでバンダイチャンネルで一気見したのだが、そのときの高揚感はなんとも圧巻である。
翌日の予定より大事に思えるアニメと出会えると、とても幸せな気分になれる……翌朝までは(笑)

 

古風なファンタジーにプラスされたもの

本作はいわゆる「異世界召喚もの」であり、その世界観は古典的なファンタジー世界だ。
主人公は引きこもり設定であり、彼の周囲には数多の美女たちが現れる。

これだけ書けば一般的なテンプレ作品なのだが、本作はこういった王道的な要素にある一つの魔法を加えることで、面白さを別次元に昇華させることに成功している。

 

「死に戻り」という設定が作り出した、一種の「ミステリー」である。

 

序盤の倦怠感をミステリーが支える

世間一般にサスペンス劇場やら推理小説やらが散乱するように、いわゆる「ミステリー」系の作品は面白い。

一般論として考えれば、ファンタジーやラブコメやSFを差し置いて、恐らくジャンルとして最もエンターテイメント性が高いのがこの「ミステリー」だろう。
もちろん各個人の好みや製作側の技量により一概には言い難い面もあるが、少なくとも「世の中に散乱するドラマや映画はミステリーが多い」という事実から見れば、客観的に説得力のある説だと思う。
少なくとも量産性において、ミステリーが他のジャンルのエンターテイメントを超えていることは間違いない。
単純に人間の興味関心を引きやすい要素として、「誰かが死んだ」という事実ほど衝撃的なイベントはありえないし、「何で死んだの?」「誰が殺したの?」という伏線ほどに結論が気になる要素は存在しない。
人間の興味関心に最も即した単純なエンターテイメント、それこそがミステリーであると私は思う。

 

本作は特殊設定を用いて、ファンタジー世界にミステリー要素を持ち込んだ快作だ。

ファンタジー世界での大冒険という高揚感に、繰り広げられる謎。
あやふやなままに襲いかかる死と、徐々に見えてくる真実。

第1話こそファンタジー序盤、異世界召喚モノという「ありふれた世界観」に興味をそそられない展開になっているが、その終わりでミステリー要素が噴出すにつれ、一気に世界に引き込まれる。
まさに息もつかせないような序盤の展開である。
渦巻く謎へ立ち向かう興奮には、「脱出ゲーム」的なスリル感を伴い、作品前半を支えるキーとなっている。

手法や設定で言えば「ひぐらしのなく頃に」と通じるものがあるが、あの作品ほどミステリー性に徹底していない代わりに、爽快感は高いだろう。(ともにループの頻度的な問題もある)

 

物語とは、「王道」を如何に魅せるか

概略を語るなら本作は、

「西洋ファンタジー的な世界に召還されて、そこで美少女と出会った主人公が様々な困難を乗り越える」

といったテンプレート的な口上で事足りてしまう。
それが数多の凡作と一線を画するのは、そのテンプレートの魅せ方を腐心しているからだ。

 

物語というのは、「王道」こそが正義である。

どこかのマンガでも似たようなセリフを読んだこともあるが、つまり面白い作品というのは、原則として「王道」や「テンプレ」を遵守しているべきなのだ。(その規格を超えて面白いのもマレにあるが…)
多くの人に受け入れられ、称賛されているからこそ、王道は王道なのである。
いわば面白さが確約されたテンプレートを捨てて、別の土壌で勝負する必要はどこにもない。

ただし、ただテンプレートをなぞるだけでは作品に個性が欠ける。
氾濫したテンプレートはすべからくレッドオーシャンであり、要求されるエンターテイメント性の敷居が格段に上がった現在のアニメ作品においては、決定打となりえない。

故に、多くの作品が王道をどのように活かすかを腐心し、テンプレの自己アレンジに熱中する。
そうすることで、テンプレート群に埋没しない新たな個性を作り出し、作品の魅力を創出し、視聴者を引き込む「導入」に利用するのだ。

 

本作においては、「死に戻り」に伴うミステリー性がまさにこれに該当する。

設定とはエピソードを活かすために練り上げられるものだと私は思っているが、特に「王道」を活かし目立たせるためにこそ、設定というのは存在するものだと思う。
本作は、まるで教科書のようにそのことを教えてくれるのである。

 

物語後半に見えた、名作への最後のツメ

とはいえ、本作が完全無欠の傑作かと言われれば、「惜しい」と思うのが私の意見だ。

本作序盤は、徹底したミステリー性に支えられた快作だと思うし、本作後半の盛り上がりはスバル自身の成長譚も相まってかなり優秀な出来栄えだと思う。
ただし、その後半部分の展開に、幾つか物足りなさが残るのもまた、事実だ。

 

考えさせられる主人公のキャラクター性

本作の主人公であるナツキスバルは、恐らくかなり好みの別れるキャラクターだ。

どちらかといえば、数十年前の少年マンガの主人公に近い。
侠気があり、熱血漢であり、かつ物怖じせずに時として暴走するタイプだ。
現在の風潮にある主人公感とは相いれないものを多数持っている。

 

そして、その彼の欠点がにじみ出るのが本作後半だ。

といっても、それは制作側が意図してスバルの欠点をさらけ出したもので、よく脚本が登場人物をコントロールしていることがうかがえるシーンなのだが、少なくとも「反スバル」な視聴者を大量増産してしまったことは想像に難くない。
彼の成長譚のためには欠かせないエピソードなのだとしても、いささかやり方があざとかった感もある。

ただ、物語の展開上の必要性を鑑みても、決して間違ったエピソードだとも思えない。
この部分は、単に好みなのかもしれない。

 

恐らく、ナツキスバルに足りないのは、過去のエピソードだ。

彼の性格も能力もわからないではない。
だが、「引きこもりの高校生」としか説明されていない男と考えれば、彼の社交性や交渉力は得心がいかないものだし、彼の暴走を見ても「ウザい」としか思えない。
客観的に「ウザい」奴だという持っていき方をしたかった物語の方向性もあるだろうが、視聴者に彼を受け入れさせるために、もっと出来たことはあったはずだ。

例えば、かつて剣道をやっていたという彼(wikipediaよりw)の当時のエピソードから、何故彼が引きこもったか…等、ありきたりではあるが、見え方は違ったと思う。

 

スバルの成長譚から結びつくラストの展開は圧巻

とはいえ、スバルの成長譚の描き方は見事と言っていい。
欠点はあるにしても、完成度は非常に高い。

傷つき壊れた彼が再び前を向く様は勇壮であり、この作品において彼が絶対的な主人公であることを強く感じさせるシーンだ。
物語のすべての要素が一つに収斂し、物語が解決に向かって動き出す。
その復活の見事さとも相まって、一種の爽快感を伴う、名シーンだろう。

この主人公が本当の意味で主人公となって、困難に立ち向かうのが後半戦である。
その展開に高揚感や爽快感がついてくるのは当たり前だ。
多くの仲間たちとともに、巨大な敵と戦う本作終盤は、この作品のエンターテイメントとしてのハイライトともいえるだろう。

 

唯一足りなかったモノ、それは「絆」のエピソード

だが、……これだけの名作に難癖をつけるのは少々気まずい点もあるが(笑)、恐らく本作最大の欠点は、描かれたのがあくまでも主人公であるスバルの成長譚にとどまる点だろう。

さっき、あれだけ激賞しておいてなんだが……ww

 

数多のエピソードを乗り越える中で生まれたはずの仲間との絆、これが描かれていないのが残念だった。
作中を通して、スバル以外のキャラクターの描写は薄い。
標準的なラインで描いたのはせいぜいレムくらいなものだったろう。
ミステリー性による仕掛けに比べて、各キャラの心理描写と個々に内包されたエピソードがどうしても薄く見えるのだ。
当のミステリー性故の弊害だとも言えるが……。

 

ただし、これは本作が原作半ばという点を十分に考慮すべきだとも思う。

「ひぐらしのなく頃に」が神展開を魅せたのは続編である「解」においてである。
各エピソードをより入念に描いている本作のこと、きっと続編においては更なる完成度を見せてくれると信じてやまない。

 

時間を忘れさせる珠玉のエンターテイメント!

「名作だ!」と手放しで称揚しても構わない。
確かに欠点はあるものの、これだけ白熱するアニメ作品はなかなかお目にかかれない。
まず間違いなく、万人にオススメできる作品である。

評価点で名作扱いしなかったのは、きっとやがて来る2期がもっと面白いだろうという理由からだと思って頂いて結構ですw

 


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セトシン

セトシン

子育て中三十路副業ブロガー。「天地無用!」の砂沙美ちゃんに魅了され、アニメの世界にどっぷり浸る。 アニメはとにかくシナリオ重視。芯のあるアニメが大好き。泣きたいけど泣かせにかかる要素は大嫌い。とにかくハッピーエンドで泣かせて欲しい人。

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